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百四拾七

その後俺たちは巨大亀の甲羅から飛び降り、舞霞の鎖をたどって鏡まで戻ってきた。


途中何体かの¨断獣¨(名前は鬼丸が教えてくれた。多分三日月から聞いたんだと思う)と遭遇したが、ぎやまが舞霞の鎖を使って足止めしてくれたおかげで闘わずに済んだ。


巨大亀が移動していた分長く移動することになったけど、どうにか稲穂学園に繋がる鏡をくぐり抜けることが…


6月19日(火)?時??分


鏡をくぐり抜けたら目の前に変態がいた。


「うわあああ!?(ガッ)」


「ぐるひあっ!?(ベゴッ)」


変態は俺が繰り出した右ストレートをまともに顔面にくらい、時計台(高さ数十メートル)から落下していった。


「阿部君、何があったの!?」


後から鏡をくぐり抜けてきたぎやまが荒い息で肩を上下させる俺に聞いてきたが、混乱しているせいでうまく答えられない。


「か、鏡を抜けた途端、目の前に、おかめのお面をつけた、変態が…」


あの変態も鏡を通ろうとしていたのか、危うく顔面どうしが衝突(キス、あるいは接吻)しそうになった。


なんで時計台の上に変態がいるんだよ…


「阿部君!おかめのお面ってそれ宮崎君じゃないの!?」


……あ。


おかめのお面をつけている=変態=つね。


……。


「つね~!!!」


急いで時計台の縁から下を覗き込んでみたが…


「ふー、死ぬかと思ったー(汗)」


おかめのお面をつけた変態つねが時計台の壁に張り付いていた。


「うわあああ!?(がっ)」


「うごへっ!?(ベキョ)…(ドゴンッ!)」


驚いてつい殴っていた。


「阿部君!?」


やべっ!


「つね~!!!」


とっくに手遅れだが一応手を伸ばす。


つねは数十メートル下のアスファルトで一輪の鮮やかな花を咲かせていた。


…見た感じ薔薇かな?


現実逃避して誤魔化そうとしたが、後ろで上がったぎやまと舞霞の悲鳴は消せなかった。


6月20日(水)8時23分


「本当にごめん!」


俺は教室でつねに頭を下げていた。


さすがにあれは理不尽すぎる攻撃だったと反省してる。


あの後目覚めたつねは妙に高いテンションで意味不明なことを呟きながらどこかに行ってしまったので心配していた。


椅子に座るつねはどこかぼーっとした様子で宙を眺めていて、俺の声をまともに聞いていないようだった。


「つね?」


事実俺に殺されたわけだし、怒って無視してるのかとも思ったがどうもそうじゃないみたいだ。


『我が説明しようかの』


するといきなりどこか悟ったような厳かな声が聞こえてきた。


「もしかして…トンちゃんさん?」


声を潜めて(周りから見たら独り言を言ってるようなものだし)聞いてみると『うむ』と返答があった。


「つねはどうしたんです?」


『昨晩のダメージが残っておるのだろう。阿部佑樹よ、おぬしにも自覚があるであろう?』


そう言われてピンときた。


確かに今日俺を目覚めたさせたのはとんでもない激痛だった。


夜中だってのに悲鳴を上げてしまい、親を起こしてしまったくらいだ。


激痛は数分ほどて嘘みたいになくなってしまったが、しばらくは幻痛のようなものが残っていた。


思い返してみると三日月にやられた所と、ついでに忍者にやられた所が特にひどく痛んでいた。


『あちらでダメージを受ければ痛みもこちらで共有する。


まさに【無制限共有フィールド】。


『常春は何度か高位の¨断獣¨に八つ裂きにされておるからの、慣れたものだ』


八つ裂き…大丈夫なのか?


『昨晩は特にダメージがでかかったからのお。安綱に何度も体を破壊されていたし、それにおぬしがトドメを刺したわけじゃの』


安綱とは童子切の銘のことだ。


あー


どうしたもんかな…


ちなみに今日もぎやまは欠席。


もしかして体調不良ってのは【無制限共有フィールド】でのダメージのせいなのか?


6月20日(水)16時03分



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