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百四拾四

6月19日(火)?時??分


「ぎやまー!!」


胸を貫かれたぎやまは、ゆっくりと膝をついた。


そして少なくない量の血を吐く。


「とりあえず…任務、完了…かな?」


三日月はぎやまから引き抜いた刀を振るい、血を払うと鞘に収めた。


同時にぎやまが地面に倒れ伏す。


「…君は、今回のターゲットじゃない。…見逃す?」


淡々と俺に向かってそんなことを聞いてきたが、そんなの聞いている場合じゃない。


俺はぎやまに駆け寄り傷口から溢れ出る血を止めようと必死だった。


ここは¨夢¨と違って何が起こるか分からない。


もしかしたら現実で目覚めるだけかもしれないが、


それでも目の前でこんな大怪我をしていたら放っておけない。


そもそもこいつはぎやまを殺そうとしていた。


¨夢¨だったら死ぬことになんの意味もない。


ただ死んで現実で目覚めるだけだ。


だけどこの様子だと、この【無制限共有フィールド】では何かしらの意味があるのかもしれない。


現実で目覚めないとか、しばらく体が不自由になるとか。


最悪現実で死…


「ぎやま!」


俺が呼びかけると、ぎやまはうっすらと目を開いた。


「ぎやま…」


何かを目で合図してくる。


三日月からは顔を背けているので、俺にしか見えてない。


「ぎやま…?」


何度も瞬きをしてくるが、あいにく俺はモールス信号も何も分からない。


じれたのかぎやまが口を開きかけると、


「消えない?…ってことは、死んで、ない(ザクッ)」


三日月があっさりとぎやまの首を切り落とした。


「あ…ぎやま?」


ぎやまの呆然と目を見開いた首が甲羅の上に転がり、そして淡く光ったかと思うと消失した。


「あ…(ドクン)」


俺の中の奥深くで何かが鼓動した。


「任務、完了」


三日月は淡々と呟き、踵を返しす。


このまま立ち去るらしい。


「ま、待て!」


俺は胸の内の鼓動を抑えながらとっさに呼び止めていた。


「あ、あんた、何が目的だったんだ?どうしてぎやまを…」


「……。」


三日月は軽く考える素振りを見せると、こちらを軽く振り向いた。


「ん…鬼丸殿に免じて、教えてあげる」


「え…!?」


鬼丸殿…?


「鬼丸殿の情報を規制、していた。だから鬼丸殿の外見は【神器】になっていても分かるし、所有者も、知ってる」


「え…?」


『…だからあいつは俺に気づかなかったってわけか。といっても、規制していたのはあいつだけだろ?』


「そう。童子切殿と鬼丸殿は、因縁深い」


『…否定はしねえよ。もしあの時俺が万全な状態だったら斬りかかるところだ』


「もう、接触済み?」


『ああ』


二人が何やら親しげ(?)に話し始めた。


あの三日月って人(男?女?)も天下五剣だって言うし、知り合いなのだろう。


しかし今はそんなことを聞いてる暇はない。


先ほどから脈打つような鼓動が体中に響いている。


「ねえ、それよりなんでぎやまを殺したの!?それにここで死んだ場合どうなるの?」


「『……。』」


二人とも俺に中断されて口を(鬼丸は…まあいいや)閉じた。


「君の言うぎやま、さっき片付けた青年は、カリヤ様の妨害、などをして回っていた。それによって起こった、イレギュラーな問題、それを解決するため、今、天下五剣が散らばってる。大元である、青年を片付けるのが、仕事」


「ぎやまが…」


そんなことをして回ってたのか…


「じゃあ、ぎやまはどうなる?こっちで死んだ場合…」


「現実でもそれ相応のフィードバックがある」


「!?」


「…らしい」


「?」


「詳しくは、知らない。任務だから片付けた。それだけ」


「…!じゃあ…」


「関係ない」


「!!?」


「弱いから、死んだ。…それだけ」


その言葉を聞いて、俺の怒りが爆発した。


6月19日(火)?時??分


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