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百四拾三

6月19日(火)?時??分


三日月の刃から飛び散った光の一つが俺に向かって飛んできた。


見とれていた直後だったため、俺にはそれを交わす余裕がなかった。


(やば…!)


その時、俺の目の前に飛び出た影があった。


『阿部君!』

「ジミー?」


ジミーは斬馬刀の状態で俺の盾になるように倒れてきた。


そして俺の代わりにジミーが光の直撃を受ける。


「ジミー!(ガキン!)」


目の前で粉々に砕け散った斬馬刀。


飛び散った破片は地面(巨大亀の甲羅)に落ちる前に淡い光となって消えていった。


ジミーが死んだ。


「阿部君!?ジミー!?」


その時、離れた位置から驚いたような声が聞こえてきた。


ぎやまが三日月から目を離しこちらを見ている。


「ぎやま、前!」


とっさに叫ぶもその隙を見逃す相手ではなかった。


三日月は今度は光を拡散させず、一点に集中してぎやまに放つ。


鎖を縮めて回避しようとしたぎやまの右足首がなくなった。


「油断、大敵」


どこか幼さを残すような、逆に艶やかで色っぽい声音で三日月は淡々と呟く。


ぎやまは顔を歪め(すでにお面は破壊されている)てこちらに移動してきた。


「ぎやま!」


右足からはおびただしい血が流れ出ている。


俺が駆け寄るとぎやまは三日月から目を離さずに俺を手で制した。


「大丈夫…《カルラの光よ、我が肉体の翳りを祓いたまえ》!」


傷口が塞がり出血は止まったが、流れ出た血液と右足は戻らない。


「なんで阿部君がここにいるの?」


ぎやまは焦ったようにそう聞いてきた。


「いや、最近学校に来ないし、メールの返信もないじゃん。だからつねにぎやまの居場所を聞いて…」


そう言うとぎやまは苛立った様子で頭を掻いた。


「宮崎君か…。ほっといてって言ったのに!阿部君も邪魔しないでよ!あと少しであいつに…!」


ぎやまは焦っているようだ。


この闘いにではなく、もっと他の…


「ぎやま、何があったんだよ!」


「阿部君には関係ないよ!」


「関係なくなんて…」


「…油断大敵と、言った」


「「!?」」


しまった!


戦闘中だというのに…!


「とりあえず…」


三日月は目深にかぶったフードの合間からどこまでも澄んだ綺麗な瞳で俺のほうを見ていた。


「っ!《龍槌…」

「…遅い」


俺の動きをまるで読んでいたかのごとく制すると、三日月は鋭い蹴りを俺の腹に放ってきた。


「がふっ!」


「阿部君!」


足場は巨大亀の甲羅のため傾いている。


しかもここは甲羅のてっぺん付近の比較的平らな所。


俺は蹴り飛ばされた勢いのまま、急勾配な位置まで転がっていってしまった。


しかも勢いがついてるせいで止まらない。


ついには甲羅の縁まできてしまった。


そしてそのまま空中へ放り出され…


(やば!この高さはシャレにならな…!)


すると足に鎖が巻きついた。


ぎやまが俺を追いかけながら錘ごと放ったらしい。


しかし…


(ヤバい!またぎやまが…!)


かろうじて上を見ると、ちょうど鎖を構えたぎやまの胸から血に染まった美しい刀身が飛び出たところだった。


6月19日(火)?時??分


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