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拾二

5月11日16時55分


「それで結局どうなんだろうね。阿部ちゃんたちの言う夢は本当にあったことなのかな?」


夢についてぎやまと話し合っていたのだが、一段落したあたりてぎやまがそう言った。


「もしかしたら阿部ちゃんと宮崎君が偶然同じような夢を毎日見ていただけかもよ?夢にみんなが集められたとか漫画とかアニメならともかく、実際ありえるのかな。」


たしかにぎやまの言い分は一理ある。というか普通に考えたらそうなんだろう。


他のみんなは聞いた限りでは覚えていないと言っていたし、これがただの偶然だったというほうが自然なことだ。


「まぁ確かにね。偶然つねと俺が同じような夢を見ただけだったのかもなぁ。いろいろ考えてみたけど、たしかに現実的じゃ…、ッ!?」


そこまで言ったとき、突然俺の胸のあたりにざわざわとした感じが広がった。


俺がつっかえると、ぎやまも同様に何かを感じたらしい。胸のあたりに軽く手を当てている。


「…阿部ちゃん、今何か変な感じしなかった?地震かなぁ…」


「いや、揺れなかったし地震じゃないでしょ。それに胸のあたりに何か違和感が…」


「あ、阿部ちゃんも!?何だったんだろう、今の…」


胸のあたりに残る違和感は、最初のインパクトほどでないがまだ続いている。


ふとさっきから静かにしているつねの方を見ると、ベットの上で苦悶の表情でうなされているのが見えた。


まだ涼しい季節だと言うのに顔面に脂汗を浮かべ、苦しげな顔をしながら震えている。


「宮崎君大丈夫!?すごい汗かいてんじゃん!!」


同時にぎやまも気づいたらしく、ベットのそばに寄って顔を覗き込んでいる。


「つね、しっかりしろ!どうしたんだ!」


俺が何度か軽く揺すると、つねは唐突に目を開いた。


5月11日17時03分


目を覚ましたつねの表情は、今まで見たことがないほどに歪んでいた。


一瞬誰だか分からなくなるほどの、激しい殺意を込めた眼差しをしている。


そしてそれはすぐさまなりを潜め、切り替わったようにキョトンとした顔になった。


「うわっ!?」


ぎやまはつねの表情に驚いたのか尻餅をついている。かくいう俺も一瞬本気で殺されるかと思った。


「んあ?何やってんの阿部ちゃん、ぎやま。」


さっきまでうなされていたのが嘘みたいに、つねは起き上がると首を傾げた。


「はっ!もしかしておいちゃんの寝顔を写メ撮って一斉送信!?いやん、もうお嫁に行けない!!」


いきなりのテンションにぎやまもついて行けてないようだった。俺も唖然としてしまって何も言えなかった。


「ん?あれ、何かあったの?」


つねはただただ首を傾けるだけだった。いったい何が起こったんだ?


5月11日17時05分


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