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百二拾八

6月19日(火)?時??分


「やあ少年(笑)浮かない顔をしているね。何か楽しいことでもあったのかい?」


2Lの教室にはすでにつねが来ていた。


つねは仮面越しだというのに雰囲気から俺の表情を予想したらしい。


それにしてもめちゃくちゃなことを言ってる自覚はあるのか?


「ちょっと忍者みたいなやつに負けちゃってね」


俺は簡潔に理由を答えた。


別に観戦席にいけば俺の試合を¨リアルタイムで¨見ることができるし意地をはる必要もない。


「おや少年、負けたのか。ほっほっほ。流した涙の数だけ強くなるものじゃよ、若いの(笑)」


「そういうのはいいから。さっさと教えてよ。ぎやまのこととか、不審者のこととか」


俺がそう言うと、つねは教卓の上に腰掛け伸びをした。


「ん~(‐ω‐)

じゃあ場所変えようか」


つねはそう言うと斬馬刀、ジミーを呼び出した。


「ジミー、いくぞ~」


『え?何?何を…』


「ほあちゃ~」


つねはふざけたかけ声とともに窓をジミーで粉砕した。


「は?お、おいつね!何を…」


突然の奇行に焦った俺はつねに駆け寄ろうとした。


「うん、予想通り、かな」


すると満足そうにつねがジミーを仕舞った。


「予想通りって、何が…」


つねの一撃で窓は二枚とも粉々だ。


向こう側には教室から洩れた光で植木と駐車場が照らされている。


「ん~。いちいち扉を念じながら開けるとか面倒だからね。これでまっすぐいけるよ(笑)」


つねはそう言って躊躇いなく窓から飛び降りていってしまった。


俺が窓辺に寄ると外の芝の上で手を振っている。


二階から飛び降りたってのに、余裕だな…


いくら夢とはいえ痛みや体感はほぼ現実と変わらないのに。


とはいえこの程度の高さなら大丈夫…かな?


俺も窓枠に足をかけ、思い切って飛び出した。


6月19日(火)?時??分


「それで少年よ、いったい何が知りたいんだったかな?」


つねは正門のほうに向かって歩きながらそう言った。


俺もつねの後をついて歩きながら言った。


「昨日言ってたぎやまのことと、あとこのフィールドについてとか。あ、ついでに不審者のことも言ってたよね」


「ついで、ね。まあ少年にとってはそんなもんかね」


「え?」


「ああ、気にせんといて。じゃあぎやまとフィールドね。ん~、ぎやまの説明はフィールドの後のがいいかな」


「どういうこと?」


「阿部ちゃん、阿部ちゃんはフィールドについてどの程度知ってる?」


質問を質問で返された。


知ってることと言っても、最初に説明されたことくらいしか知らない。


その事を言うと、つねは大げさに肩をすくめてため息をついた。


「まったく最近の若いものは探索することの楽しさというものを知らんで…」


どこの年寄りだよ。


なんかいつも以上に変だな、今日のつねは…


「とりあえずこっちきてみ」


そう言ってつねは正門を飛び越えて行ってしまった。


いや、高さは2メートルもないし、飛び越えるくらいは簡単なんだけど…


「ちょ!敷地から出られるの!?」


てっきりあの遊園地みたいに外に出ることができないものと思い込んでいた。


「ほら早く~(怒)青春は待ってはくれないのだぜー(棒読み)」


つねはさっさと先に行ってしまう。


俺も正門を飛び越えるとつねを追って走った。


6月19日(火)?時??分


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