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百二拾七

【仕込杖:全長50~80cm。重量0.5~1kg。日本(17世紀~現在)。江戸から明治時代にかけて作られた隠し武器。周囲に警戒されずに武器を持ち歩くために開発された。また、明治時代になると廃刀令により民間の刀の携帯が禁止されたため、西洋風のステッキに偽装するのが流行した。】


6月19日(火)3時??分


「よく避けたナ」


離れた位置に杖をついて直立しながらそう言ってきたが、俺は無言で返す。


鬼丸を止められ、危機一髪で体をひねって突き出さた杖をかわした。


たったそれだけの動作で若干息が乱れた。


それだけ集中していたとも言えるが、相手はまったく息を乱していない。


あらかじめ受け止められることは予想していたが、杖でなく直刀で止められるとは思わなかった。


どうなってんだ?


いつの間にあんな直刀を出して仕舞ったんだ?


その疑問はすぐに氷解した。


「今の一撃で折れるかと思ってヒヤヒヤしたヨ。仕込みは強度が低いのが弱点だナ」


そう言って杖の握り手を引くと刃が現れた。


「仕込み杖だったのか…!」


仕込み杖なら【る○うに剣心】に出てきたので知っている。


杖の中に隠された暗器。


強度は従来のものと比べればだいぶ劣るが、持ち運びに優れていて、警備をくぐり抜けることだってできる。


なるほど、あの杖は体を支えるためのものじゃなかったのか。


「あれ、気づいていたんじゃないの?」


不思議そうにそう聞いてくるがとりあえず無視。


あれが仕込み杖だと分かった以上、今度はあの杖を破壊することを優先する。


確か相手の【神器】を破壊しても勝ちになるはずだ。


しかし先ほどの一撃は結構力を込めて打ち込んだのに止められた。


あんなに薄い刀身の腹で受け止めるには相当な技術と集中力がないとできない。


あの一瞬でそこまでのことをやってのけた相手だ。


多分二度目は通用しない。


「ハアァァ!」


俺は出せる最大出力の¨光¨を鬼丸に宿す。


だいたい五割ってとこか。


言霊ほどでないにせよだいぶ制限されている。


だがこれで今度こそ破壊できるはず。


「ん?何か企んでる?まあでも全力で相手してやるヨ」


勘がいいのか軽くこちらを窺っている。


忍者は杖を握り直した。


そして再びギリギリ目で追えるかどうかというほどの速さで迫ってくる。


「やあっ!!」


俺は鬼丸を最短距離で振るう。


忍者は目にもとまらぬ速さで仕込み杖を抜刀する。


交差する2つの刃。


キンッ


あっけなく折れたのは仕込み杖の方だった。


「よ…」


勝利を確信して、よし!と言おうとした次の瞬間、


「何いきなり油断してんのヨ?」


背後から呆れたような声が聞こえてきて、同時に首を後ろから貫かれた。


「もしかしてこいつしか武器持ってないとでも?忍者ってのは武器を隠し持ってるもんだヨ?」


そんな言葉を最後に俺の意識は途切れた。


なんだよ、仕込み杖があいつの【神器】だったわけじゃないのか…。


6月19日(火)?時??分


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