表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/289

百二拾三

6月18日(月)16時02分


「はい、これでロングは終了だぁ。終わり~」


「起立、礼」


「「「ありがとうございました」」」


LHRが終わり、各々が部活やら帰宅の準備を始める。


俺は朝のSHRでの話題についてひっかかりを覚えていた。


「…日本刀を所持、ね」


同年代でしかも帯刀していたとなると、そいつは¨神を堕とす者¨の参戦者である可能性が高い。


【神器】は契約した当初、持ち主と【神器】所持者以外の目には見えなかった。


だが強くなったいまではその存在感は桁違い。


多分鬼丸も今ここに出現させれば参戦者以外の生徒にも姿が視認できるはず。


不審者がもし参戦者だった場合、どういう目的で【神器】を晒していたんだ?


席についたまま考え込んでいた俺は、背後にぴったりときっつく影に気がつかなかった。


6月18日(月)23時59分


零時まであと一分をきった。



俺は今日放課後にあったことを思い出していた。


6月18日(月)16時02分


思考に没頭していた俺は背後に立つ気配に気づくことができなかった。


(ハァハァ…)


「…ん?」


(ハァハァ…阿部ちゃんの【ピ───】)


「!!?」


バッと振り向くと、まさに目の前につねの顔があった。


「うああっ!?」ガッ!


「ヘブッ!」ゴスッ!


俺の放った拳はきれいにつねの顔面にめり込み、


何故かつねは満足そうな無表情で吹っ飛んでいった。


「もーなにすんだよー阿部ちゃん。いきなり殴るなんて酷いじゃないかー」


見事なバク転を空中で披露しつつ、着地したつねは棒読みで言ってきた。


すでに教室には数名の生徒しか残っておらず、運良く今のは見られずにすんだようだ。


「いきなりなんだよ!?」


気を取り直して俺があまり声が大きくならないようにそう言うと、


「まったくー。迷える青少年におじちゃんが道を指し示してあげようと思ったのにー。


杉山少年のこととかフィールドの秘密とか最近話題の不審者のこととか宮崎おじちゃんの3サイズについての情報は教えてあげないよー?」


両肩をあげてわざとらしくため息をつかれた。


「えっ!?」


俺はつねの口から飛び出た気になるワードに反応した。


「今なら無料でおじちゃんの若かりし頃のヌード写真もつけちゃうよー」


それは全力で拒否する!


それにしてもいきなりどうしたんだ?


こっちから話しかけようにもすぐ姿を消していたつねの方から話しかけてくるだなんて…


まあ細かいことはどうでもいいか。


今気になるのは他のことだ。


「今夜の試合が終わったら2Lに来てみー。おじちゃんの知ってること全てを教えてあげよー」


つねは棒読みかつ無表情のままそう言うと、いつの間にやら持っていたエナメルを背負ってさっさと教室から出ていってしまった。




俺はそれを呆然と見送ることしかできなかった。


6月18日(月)23時59分


俺は横になりつつ、零時になるのを待った。


これから始まる試合のことよりつねの言葉の方が気になってしょうがない。


「ふぅ…」


ため息をついて目を閉じる。


そして次の瞬間には俺は¨現実¨から¨夢¨へと目を覚ましていた。


6月19日(火)0時??分


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ