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百拾九

6月16日(土)?時??分


どうやらこの試合にはいくつか制限があるようだ。


まず傷を癒せない。


一試合目の途中言霊を唱えてみたが傷が全て塞がることはなかった。


とはいえそれも完璧ではなく、擦り傷程度なら効果はあった。


他に¨覚醒¨状態にしてみようとしたが、せいぜい手首から指先にかけてか、履いていた靴がブーツ状になっただけだった。


全身は無理でも部分的にはいけたってことは、制限が中途半端だということを露見している。


もしかしたらわざと数割だけの実力しか出せないようにしているのかもしれない。


とにかくまだ初日だし、これから分かってくることもあるだろう。


6月16日(土)?時??分


入ってきた扉を開けて中に入ろうとした。


「…あれ?」


するとそこは一ハではなく中庭だった。


中庭には何人かの生徒がいる。


『行き先を告げずに扉を開くと別の空間に繋がる。そう言っていたな』


鬼丸に言われて思い出した。


まさにどこ○もドア…


もし女子トイレや女子更衣室だったらと思うと冷や汗ものだ。


「えっと、とりあえず、《コロシアム:観戦席》!…でいいのかな?」


今出てきたばかりの扉を恐る恐る開いてみると、どうやら正確だったようだ。


扉の向こうは観戦席へと繋がっていた。


6月16日(土)?時??分


【レディース、エーンド、ジェントルメーン!


これから血肉踊る闘いが幕を開けるぜ!ヒャッハー!】


【第一試合は10分後に開始します。それまで観客席ではマナーを守って、節度あるこうど…】


【盛り上がってるか~!?】


【…節度ある行動をとっていきましょう】


あー…


確か時間軸がどうとか…。


なんかもう頭がグチャグチャになりそうだから細かいことは考えないようにしよう。


【えー私は試合の解説を仰せつかっております数珠丸です。


まだ初日ですし、生徒のみなさんは重複空間や時間軸の流れ、異空間との矛盾で混乱していると推測されます】


【難しいことはなしでいこうぜ~?とりあえず闘って闘って闘うのを見れればいいんだし】


【そうはいきません。カリヤ様よりこの任を任せられた以上、私はこの解説兼説明係をまっとうします!】


【お前堅いな~。まあそういうのめんどいし、適当にやっちゃってよ】


【ゴホン、ではまずあらかじめ言っておきますが、これから行われる試合は全てランダムで行われます。


皆さんと闘技場を隔てている透明な壁が見えますね?


これは簡単に説明しますと、重複空間と時間軸との間にある層です。


例えるならば¨矛盾¨が視覚化されたものです。


観客席から闘技場に向かって声をかければ闘技場側にも声は届きますし、闘技場側からも観客席が見えるし声も届きます。


しかし闘技場側と観客席側とでは流れる時間も空間も異なります。


皆さんは1日目の試合をすでに終えていますね?


しかしこれから闘技場で行われるのは、¨あなた方の試合¨です。


あなた方は観客席側で、少し前に闘ってきた自分の試合を¨リアルタイムで¨見ることができるのです。


あ、ちなみにパラドックスについてはご心配なく。


この¨矛盾¨の隔たりはそういったものにまで作用しますので】


【解説と実況はこっち側とあっち側で内容が違うけど、この壁を通してこっちに聞こえたりしないから混乱しないんだぜ!】


【こちらからの歓声は全て伝わりますが、試合内容に関する事柄や、勝敗や過去の行動を変化させるような言葉は¨矛盾の壁¨に阻まれて向こう側には伝わりません】


【うまい具合に放送規制がかかってるよな(笑)ピーとか鳴ったら笑える…っと!そろそろ始まるぜ!】


【それでは皆さん、お静かに。第一試合…】


【【開始!!】】


6月16日(土)?時??分



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