表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/289

拾一

5月11日16時30分


「なるほど、そんなことがあったんだ。覚えてないから実感沸かないけど、それが本当なら俺らは夢の中で殺し合いをするってこと?与えられた力ってやつを使って、神の座を手に入れるために。」


「別に神の座限定じゃないと思うけど。たしかひとつだけ願いを叶えてやるとか…」


「『そのゲームで勝ち残った者には、賞金として、どのような願いでも一つだけ必ず叶えてやる。そしてさらに望むのなら神の座も与えてやる』だよ、阿部ちゃん。」


どうやらテンションも落ち着いてきたようで、つねが俺のベッドで転がりながら訂正してきた。


「よく覚えてるね、宮崎君。そんな長いセリフ、普通覚えられないよ。それでどうして成績悪いのよ。」


「おいちゃん、何故か勉強は覚えようとすると頭に靄がかかっちゃうんだ。いや、年かね(笑)」


「いやいや年って、俺ら同じ年でしょ!」


つねとぎやまのやりとりの合間に、俺は先ほどつねが言っていた内容について反芻してみた。


「ねぇ、つね。たしか夢では『どのような願いでも一つだけ必ず叶えてやる』って言われたんだよね?あと『そしてさらに望むのなら神の座も与えてやる』とも。」


「ん?ああ、そうだよ。それがどうかしたの、阿部ちゃん?」


俺が質問するとつねが不思議そうにそう返してきた。俺は思ったことを正直に言ってみた。


「なんかその言いぐさって、まるで神様みたいだよね。『どのような願いでも』とか『必ず叶えてやる』って。『神の座も与えてやる』なんてまんま神様じゃん。」


その言葉につねは考えこんでしまった。ベッドに横になると、天井を眺めながら額にシワを寄せている。


するとそれを聞いていたぎやまがぽつりと呟きを漏らした。


「…『神を堕とす者』」


「え?何か言った、ぎやま?」


聞き返すとぎやまは首を振って否定した。


「ああ、いや何でもない。なんかふと口からついで出ただけだから気にしないで。」


「なんだよ、ぎやま。気になるじゃん、教えてよ。」


「本当に何となく出てきたんだって。なんか昔そんなゲームをやったようなないような…」


ぎやまは納得いかないような顔をしていたが、すぐに夢の話に戻っていった。


俺たちは知らなかった。このときのぎやまの呟きが、まさか今回の出来事に関係していたなんて、俺たちはそれこそ夢にも思っていなかった。



5月11日16時55分


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ