百拾八
【青龍刀(中国刀):全長80~100cm。重量0.7~1kg。中国(7世紀~現在)。日本では中国刀のことを一般に青龍刀と呼んでいる。中でも典型的なのは、刃の先の広がった曲刀で、柄頭に飾りのあるタイプだろう。中国ではそうした曲刀を、柳葉刀や九鈎など、形状により呼び分けている。】
6月16日(土)0時??分
【え~、それでは】
急に静まり返る【コロシアム】。
【【試合開始!!】】
途端に闘技場は再び歓声に包まれた。
俺はゆっくりと闘技場の中央に進み出る。
相手は実況通りなら青龍刀遣いだ。
だとしたら近距離で接近しての打ち合いになる。
俺は油断なく闘技場全体を視界の端で確認した。
闘技場の形は楕円形で、周りをぐるりと高い壁で囲まれている。
壁の高さは5メートルくらい。
そこから直に観戦席だ。
よく見ると乱入したり者を投げ込まないようにするためにか、ガラスのような透明な膜に覆われている。
どうやら歓声を遮ったりはしないようだ。
広さはだいたい大体育館と同じか少し広いくらい。
天井はうっすらとだが確認できる。
どういう仕組みか、天井は吹き抜けになっているように見える。
映像を投射して空のように見せかけているのかもしれない。
もちろん【神器】か何かで創られているのだろうし、もしかしたら本当に透けているのかも。
天井までの高さは10メートルといったところか。
全力で跳んでも届きそうもない。
まあそんなわけで、1対1で闘うにはやや広すぎるフィールドだ。
弓とかで闘うやつもいるみたいだし、これが妥当な広さなのかもしれないけど。
俺は向かい側から歩いてくる男子生徒に注意しながら観察を終えた。
まだ距離は30メートル近くあるが油断禁物だ。
もし縮地を使えたらこんな距離でもあっという間に零になる。
俺達は互いに10メートルの距離で足を止めた。
6月16日(土)0時??分
「…君の闘い、見させてもらったよ」
「え?」
「昨日のやつ。速いね」
「あ、ありがと」
「まぁとりあえずよろしく」
「あ、うん。よろしく」
「それじゃ、勝たせてもらう、よっ!」
青龍刀遣いは言葉を言い終える直前に俺の射程圏に飛び込んできた。
「ぅりゃっ!」
無駄なく速い動きで振り下ろされた青龍刀を余裕をもってかわす。
「はぁ!」
俺は鬼丸を抜刀すると、バランスを崩した青龍刀遣いの脇を浅く斬りつけた。
6月16日(土)3時??分
【勝者、ウルトラマン仮面!】
デュランの宣言でコロシアム全体が歓声で埋め尽くされる。
一戦ごとに休憩を挟みつつ、どうにか三戦を終えることができた。
とりあえず全勝。
正直カリヤのような化け物クラスと闘ったあとでは他の生徒がかわいく見える。
ともあれ一応ある程度のダメージもあるし、浅くない傷も負った。
今日の試合はもう終わったし、俺も観戦のほうに回ろうかな。
6月16日(土)?時??分