百拾五
6月15日(金)?時??分
俺は¨現実¨で目を覚ました。
なんとなくだるい。
それと寝汗がひどく気持ち悪い。
手探りで携帯をつかみ、時刻を確認する。
[06:15]
これ以上横になっているのも不快だし、さっさと起きてしまうことにした。
6月15日(金)8時10分
いつもより少し早くに登校。
まだ男子はほとんど来ていない。
俺はトイレに行ったりして時間をつぶした。
6月15日(金)8時35分
「おはよーごさいます。誰かいないやつはいるか?…今日は杉山が体調不良でお休みです」
ぎやまは学校を休んだ。
メールしてみたけど返信はこない。
一応つねは学校に来たけど、チャイム直前に教室に入ってきたためまだ話していない。
まだダルい。
それと妙に学校が久しく感じる。
6月15日(金)16時03分
とうとう1日つねと話す機会がなかった。
いざ話しかけようにも、休み時間になると同時につねが姿を消してしまうのだ。
そして授業ギリギリで入ってくる。
昼休みもつねは弁当も食べずにどこかへ出かけてしまった。
午後の授業は違う講座だし、掃除場所も別だ。
そして帰りのSHR。
今度はその時に聞いた話のせいでつねを見失ってしまった。
「はい、号令~、お願いします。
え~とぉ、皆さんにお知らせがあります。
何でも各ハウスで鬱病の生徒や、情緒不安定な生徒が多いとのことです。
休んでる生徒も多いそうだ。クラスは違うのに一斉にってのは何かあったのか?
保険センターが満杯だったそうだし、とりあえず気をしっかりな。
終わりでやんす」
「起立、礼」
「「「ありがとうございました」」」
おそらく休んでるのは昨日の段階で試練を受けていた生徒だろう。
精神的な疲労感は俺にも分かるし、メンタルの弱い生徒じゃ休んでもしょうがないかもな。
6月15日(金)23時55分
俺は高鳴る鼓動を抑えられずにいた。
後5分で再び闘いが始まる。
いや、今までとは少し形式は異なるかもしれない。
いわばニューゲーム…
「……。」
俺はほぼ24時間前に聞いたことを思い出した。
6月15日(金)?時??分
突然倒れていたはずの俺の体が椅子に座った姿勢に切り替わった。
あまりに急な変化に声もあげれない。
周りには俺と同じように戸惑う生徒。
見渡してみれば壁や床にあった傷跡もきれいさっぱり消えている。
俺のワイシャツやズボンには埃一つない。
「とりあえず試練突破おめでとうございます。
カリヤ様よりこの空間の支配権を貸与されましたので、少々整えさせてもらいました。
私のことは数珠丸とお呼び下さい。
さて、先ほどはカリヤ様直々の説明を邪魔されてしまいましたが、以後同じようなことのないようにお願いします」
落ち着いた物腰で数珠丸が声をあげて説明を始める。
この状況はどうやら数珠丸の手によって作られたらしい。
いったいどうやったら一瞬でこんなことができるんだ…
「修正されたのは見かけのみです。消費した¨欠片¨や精神力は戻らないのでご了承下さい。」
確かにかすかに倦怠感や疲労感は残っているし、何より¨欠片¨がほとんどなくなったままだ。
「それではご連絡させていただきます。
第五回戦が行われるのは7月の13日の金曜日です。
内容に関しては当日に説明があります」
約1ヶ月か…
長いな。
「そしてここからが重要事項です」
数珠丸はここでいったん言葉を切り、全体を見渡して関心を煽った。
「次回の13日の金曜日まで、生徒諸君には毎晩とあるゲームをしてもらいます」
6月15日(金)?時??分