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百拾四

数珠丸じゅずまる重要文化財。太刀。刃長81.1cm。反り3.0cm。銘『恒次』。作者古青江恒次。


日蓮が所持していたとされる太刀で、日蓮が甲州身延山へ入山したとき、護身用として信者から贈られたと伝えられ、柄に数珠を掛けていたことからこの名が付いたとされる。


日蓮没後は他の遺品とともに身延山久遠寺に保管されていたが、享保年間に行方不明となった。】


【デュランダル (Durandal) は、フランスの叙事詩『ローランの歌』に登場する英雄・ローランが持つ聖剣の名前。イタリア語読みでドゥリンダナ (Durindana) とも読まれ、デュランダーナとも呼ばれる。不滅の刃の意。


由来には幾つか説があり、ローランの歌では天使からシャルル王に渡すように授けられ、その後シャルル王からローランに授けられた剣として登場し、『狂えるオルランド』では『イーリアス』に登場するトロイアの英雄ヘクトールが使っていた剣とされる。語源は不明だが、アラビア語起源だという説もある。


当時の剣の形態を考えると、ロングソード(馬上では片手、徒歩では両手で使う剣)の一種としてみなされる場合が多い。黄金の柄の中には、聖ピエール(聖ペテロ)の歯、聖バジル(バシリウス)の血、パリ市の守護聖人である聖ドニ(ディオニュシウス)の毛髪、聖母マリアの衣服の一部と多くの聖遺物が納められている。ちなみにローランの歌でシャルルマーニュが使う剣は“ジュワユーズ”(fr) と呼ばれる。


『ローランの歌』の作中では「切れ味の鋭さデュランダルに如くもの無し」とローランが誇るほどの切れ味を見せる。


『ローランの歌』では、ロンスヴァルの谷で敵に襲われ瀕死の状態となったローランが、デュランダルが敵の手に渡ることを恐れて岩(もしくは大理石)に叩きつけて折ろうとするが、剣は岩を両断して折れなかったというエピソードが有名。ローランの死後、デュランダルはシャルルマーニュの元に帰り、その後の戦でも使われ続けたという。


『狂えるオルランド』では、セリカン(絹の国、古代中国の呼称)からグラダッソ、タタール人の王マンドリカルドなどの強敵がデュランダルを獲得しようと死闘を繰り広げた。】


6月15日(金)?時??分


「カリヤ様、いささかやり過ぎでは?」


「……。」


『暴れたりないぜ、カリヤ!この際他のやつらも殺っちまうか!』




圧倒的。


勝負なんて言えない、ただの一方的な狩りだ…


俺達はデュランを軽く振るうカリヤに一分も保たなかった。


目を覚ましたばかりのつねは状況が飲み込めなかったのか、ぼうっとしている間に一撃で吹っ飛ばされた。



¨蜘蛛の繭¨と¨舞乱霞鎌¨のコンボでカリヤを捉えたぎやまも、刃を出す直前に懐に入られ昏倒させられた。


最後まで残った俺も相手にすらならず、正面からの剣技で瞬殺された。


本当に実力が違い過ぎて話にならない。


そこそこ強くなって浮かれていた。


俺達はまったくの¨井の中の蛙¨だった。


「デュランダルよ、これはあくまで【神を堕とす者】の崇高なる儀式だ。お前の浅はかな行動でカリヤ様の計画を破綻させるわけには…」


『だあー!うっさいな、数珠丸は!天下五剣とか言われてるくせに、お前簡単に吹っ飛ばされてたじゃん!足引っ張ってるくせに指図すんなよな!それにデュランって呼べって言っただろ!』


「き、貴様!言わせておけば…!」


デュランと数珠丸が互いに殺気を向け合い、先ほどとは比べ物にならない殺伐とした空気がこの場を支配し始めた。


先ほどまでの闘いを端で見ていた他の生徒達はもはや一人残らず戦意喪失している。


「…黙れ」


それを一言で抑えつけると、カリヤは倒れたまま動けない俺の所まで歩いてきた。


「…どうした。お前のことだ、数珠丸の姿を見れば取り乱すものだと思っていたが…」


「…?」


何を言ってるんだ?


そもそも俺達は初対面の…


『…ちっ』


すると俺のすぐそばに転がっていた鬼丸が舌打ちした。


『実体化して暴れ回るとでも?はっ!お断りだね。何でもお前の思い通りになると思ったら大間違いだ』


鬼丸とカリヤは知り合い…?


ダメだ、意識が朦朧として思考が…


『天下五剣はいずれ全て解放する。だが好き好んでてめえに仕えてるその馬鹿のことなんざ知らねえよ』


「鬼丸…」


数珠丸は複雑そうな顔をして首もとの数珠を握った。


『それに今回の¨これ¨はそこの¨多節棍¨の喧嘩だ。他人の喧嘩になんざ首を突っ込む気も、助ける義理もねえ』


「…そうか」


カリヤは一言そう言って踵を返した。


もはや用済みと目の前に扉を出現させる。


「…ま、待て…!」


それを瀕死のぎやまが呼び止める。


「待て、薫!オレは…!」


ぎやまの必死な問いかけに、カリヤは立ち止まることはおろか、振り向きもしない。


「…知らん」


「!」


そしてカリヤはデュランを鞘に収め、数珠丸を置いて扉をくぐっていった。


すぐに扉は閉まり、そして消失する。


「やれやれ。カリヤ様は私に残りの説明をしろと言うのですかね」


数珠丸は立ち上がり、真っ白かった空間全体に声を張り上げた。


「これにて四回戦を終了とする!」


6月15日(金)?時??分


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