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百拾一

6月15日(金)?時??分


「まさに生ける屍っていうの?話しかけても何の反応も返してこないの」


いくら夢とはいえ、長い期間いればそれだけで精神に影響がでてくる。


俺も一週間近く修行してたことがあったが、現実で目覚めたときには寝る前のこと思い出せなくなっていた。


現実では数秒から数分でも、体感的にはそれだけの時間を過ごしているんだから、


記憶が摩耗するのも当たり前だ。


それにしても…


「夢でも成長するんだな…」


意外と前髪以外はストレートでサラサラの髪を引っ張りながら呟く。


こっちで何年も過ごしたらそれこそ見た目はどれだけ変化するだろう。


肉体には影響あるのかな?


ともあれまずは話を聞こう。


「なんか試練を受けてるだけで¨欠片¨の総量は増えてるみたいでさ…」


数ヶ月も経つと、溜まるに溜まった¨欠片¨はとんでもない量になったらしい。


「その結果実体化できるようになった老師とおれは…」


「老師?」


「ああ、つねの【神器】のトンファーのこと」


なるほど。


「まあおれたちは無気力なこいつをフォローしつつ、試練をクリアしていったんだよ」


変化があったのは第三の試練まで進み、過去の記憶を見ていたときだったと言う。


急に虚ろだった瞳に光が戻り、回想も途中だというのに強制的に試練を突破。


笑いながら親友にジミー(斬馬刀)を突き立て、


そして自らをトンファーで撲殺したそうだ。


「自分を撲殺なんてできんの!?」


ぎやまが驚いて大きな声を上げる。


無理もない。


俺もそんな話信じられない。


「老師も手を貸してたしね。凄い勢いで回転するトンファーに頭とかめった打ちにされてた」


なんかもう狂ってしまっているようだ。


俺はいまだに目を覚まさないつねを見て、若干背筋が寒くなってきた。


そのまま俺達は沈黙してしまい、微妙な雰囲気のまま終幕を迎えた。


6月15日(金)?時??分


どこにもスピーカーらしきものは存在しないのに、おなじみのノイズが空間に響き渡る。


【…ザザッ…あー、あー…うん、聞こえてるね!】


確認するようにマイクテストが入り、そしてカリヤへと切り替わった。


【…時間だ】


平坦な声。抑揚のない口調。


そういえば俺達は一度としてカリヤの姿を見ていない。


いったいどんな姿をしているんだろう?


【…試練を無事に…とは言わないが、切り抜けることができたのは100名だ】


100名…。8人足りないな。


【…残りの数名は精神が崩壊するか、こちらで一年の月日を過ごしたためこれ以上の継続は不可能、脱落とした】


カリヤのその言葉に周囲がざわめき始める。


俺も少しだけ動揺を隠せなかった。


隣で眠るつねの様子を見るに、精神が崩壊云々は本当だろう。


よくよく辺りを見渡してみると、ふらふらしたりぶつぶつ呟く不審な生徒が多々見受けられた。


【…まず始めに、試練を突破するにあたり、諸君が目覚めさせた能力について先に説明しておこう】


能力?なんだそれ


そこでカリヤから別の人物へと切り替わった。


【能力ってのはさ!なんかこう…なんていうか…凄いやつな!】


いや、なんの説明にもなってない。


【…第一から第五の試練に挑戦している最中、不思議な現象を引き起こした者が多数いるはずだ】


再びカリヤが説明に戻る。


【…何もない空間に不可視の壁を出現させる、


手のひらから炎を噴射する、


自らの影から生物を生み出す、


強くイメージした存在に姿を変化させる、


などだ。…中にはドラゴンへと変貌した者や、…特撮ヒーローに変身した者もいたな】


もしかして俺のことか?


ウルト◯マンになったことを言っているのか?


【…そういった【神器】を伴わない事象の変化には多少修正を加えた。


…よって次回からはそこまで大きな変化は使えなくした】


つまりもう俺はウルト◯マンになったりタイマーフラッシュを放ったりはできなくなるのか…


【…ただしそれは本戦のみに限る。…それ以外では変身しようが、口から火を吐こうが好きにしろ】


本戦だけか。


確かにウルト◯マン化するだけで肉弾戦のみで勝てそうな威力だったしな。


例に上がったのが実際にあったやつなら、ドラゴンやら影となんか闘いたくはないしな…


【…もちろん多少の変化ならば許容範囲内だ。…【神器】の切れ味や威力を上げるのは構わん】


なら¨光剣¨は使えるな。


【…それでは次に、試練突破上位者には褒美をやろう】


6月15日(金)?時??分


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