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百六

6月15日(金)?時??分


¨俺¨自身との打ち合いが始まってから、おそらくもう10分は経過しているだろう。


実力はまったくの互角。


当たり前のことだが、


スピードも


パワーも


技も癖も


まったく同じだ。


どちらかが優勢になることがあってもすぐに拮抗してしまう。


「「《双龍閃》!!」」


飛◯御剣流の二段抜刀術《双龍閃》を放つが、¨俺¨も同じタイミングで同じ技を放ってくる。


キンッガッキンッ!!!


一撃目の刀も二撃目の鞘も、そして《双龍閃・雷》に繋いでも弾かれる。


まるで鏡と闘っているようだ。


違うのは左右の向きだけ。


拮抗し続けて一向に終わりが見えてこない。


このままじゃジリ貧だ。


むしろちいを守りながら闘っている分こちらのが先にやられてしまう。


できる限りちいから¨俺¨を遠ざけたが、距離を取って闘えばすぐにちいに向かって行ってしまうだろう。


俺がちいを背後にしながら闘わなければ、こいつは優先的にちいを狙う。


だからおちおち立ち位置の変更もできない。


先に走り出されてしまえば、同じ速度で走る¨俺¨には絶対に追いつけない。


かならず動作一つ先にちいを殺されてしまう。


だから俺は極限まで集中力を発揮し、決して後ろに下がることだけはできない。


「はっ!」


俺は鬼丸の刀身に¨光¨を纏わせる。


¨俺¨は別に闇に染まっているわけでもゾンビになっているわけでもないが、


¨光¨を纏わせているだけでも切れ味がまったく違う。


俺が光剣を構えたのを見ると、あいつも同様に¨光¨を纏わせてきた。


「「っ!!」」


先ほどまでとは比べ物にならないほどの打ち合いが幕を開ける。


¨光¨を纏わせているため、ぶつかる度に激しい光が炸裂してフラッシュのようだ。


1秒の間に数回斬り込み、数回斬り込まれる。


俺が喉元に鋭く突き上げれば、見越していたかのごとくかわされる。


逆に袈裟懸けの一撃を俺は自然と受け流す。


まるであらかじめ打ち合わせしていた舞いみたいだ。


常人には俺達の動きが速すぎて目で追えないだろう。


だが俺の目には余す所なく¨俺¨の全てが見えている。


¨俺¨も同様だろう。


そんな状態が5分ほど続いた。


まるで産まれてからずっとこうしていたような錯覚さえしてきた頃、


唐突に¨俺¨が打ち合いをやめて距離を取った。


「?」


いきなりのことに思わずたたらを踏んでしまう。


そんな一瞬の隙をついて¨俺¨は走り出した。


¨俺¨の向かう先を見て、完全にちいの存在を忘れていたことを思い出した。


たぶんいきなり闘いを始めて姿を消した俺達を探しにきたのだろう。


ここから少し離れた位置にちいの姿があった。


¨俺¨は優先順位の高いちいの姿を見つけて、それで走り出したのだ。


「待て!!」


俺は思わずそう叫んだがそれで止まるはずもなく、むしろ加速してちいに向かっていく。


「くそっ!!」


普通に追いかけただけじゃ絶対に間に合わない。


すでに俺との距離は20メートル近く開いてしまっている。


ちいのいる場所まではまだ100メートル近くあるが、そんな距離ないに等しい。


こっちで修行して少しずつ強化された俺の身体能力はもはや人の域を超えている。


現実ですら50メートルを6秒をきるだろう。


¨夢¨だったら100メートルを5秒でだって走りきる自信がある。


俺は1秒の間で体勢を無理やり整える。


重心を低くして足の裏、地面に接地してある部分に集中する。


息を短く吐き出し、鬼丸は鞘に収める。


¨俺¨との距離はすでに30メートル以上、ちいとの中間近い。


「ふっ!!」


急に無理な体勢変化をしたせいで体中の関節が軋む音が聞こえる。


俺は構わずに前に踏み出した。


6月15日(金)?時??分


「!!?」


目の前にはいきなり現れた俺に驚愕する¨俺¨。


お面越しとはいえ、十分にその気配は感じられた。


すでに¨俺¨はちいを射程に捉え、走りながら日本刀を振りかざしていた。


後1秒弱遅ければ間に合わなかった。


俺は硬直している¨俺¨の顔面を殴り飛ばした。


6月15日(金)?時??分


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