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理想と現実
コミュニケーションは社会学にとって重要な問題であるから、今になって突然問題になったのではない。ドイツのコミュケーション研究で名高い社会学者ユルゲン・ハーバーマスは確かに同意というのを、コミュニケーションの要件には挙げる。だが、これは規範的理論なのであって当為、わかりやすく言えば理想である。事実的判断ではない。必ずしも信頼という結果が約束されているわけではない。
もう少し突っ込んで調べると、原発コミュニケーションというのは全くおかしなものであることがすぐにわかってきた。1995年にもんじゅのナトリウム漏れ事故があったので、1996年から原子力政策円卓会議というのをやることになった。原子力政策円卓会議のホームページはまだ残っているので、これもWeb検索すれば内容はわかる。見ればわかるのだが、官僚がしゃべる人を選んで、勝手にしゃべらせて、結局議論は官僚がまとめて報告書にしている。原子力委員会付きの官僚がである。もうだいたい最後にはなにを言うかわかっている、ご理解予定調和的公共圏なのである。