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分断社会の陰謀

作者: さきら天悟
掲載日:2017/05/14

人類の歴史は分断の歴史と言っても過言ではない。

仕方のないことだった。

それは、本能である。

人は自分と異なるモノを排除する。

生命の危機と感じるのだ。

こうして人種間との分断が始まった。


人類の成長する。

人種が集まり、国を形成した。

そして、緑の大地に見えない線が引かれ、

領地として分断された。


さらに人類は成熟する。

しかし、分断社会も成熟した。

その成熟は、良い面とは言えなかった。

陰謀が加わったのだ。

陰部とは聞こえが悪いが、

司る者の都合が良い意思、

これを陰謀と言べきものだろう。


実感が湧かない?


例えば人種差別問題、中東の紛争がその例だ。

これは西洋諸国の陰謀だ。

宗教布教という名目でアフリカ、アジア、南米を侵略し尽くした。

黒人を奴隷とし、中東に勝手に国境を引いた。

これが今日の禍根となって、世界にはびこっている。

こうして、分断の性質は本能からイデオロギーに変質していった。


それから、宗教対立、資本主義と共産主義、民主主義と独裁政治など、

色々な仕方で分断されていった。

現在社会においては、何といっても、貧富だろう。

これも陰謀がある。

十数年前には理想的な国があった。

それは、日本である。

一億、総中流社会と言われた。

それが、今ではこのありさまだ。

この陰謀は、中国、ロシア、北朝鮮でもない。

アメリカだ。

アメリカは日本の平等社会を恐れ、仕掛けたのだ。

そして、知らぬ間に、競争社会が正しいと刷り込まれていった。

と言うのも、貧富の格差が激しいアメリカのすぐ近くに、

理想的な平等社会だと困るのだ。






しかし、最近、新たな分断の幕が上がったのだった。

それは、なんと・・・

潔癖とそうでないモノ。

人類の新たな局面を迎えたのだった。

これにも陰謀があると噂された。

そうでなければ、変だろう。

人気の女性タレントが自分のガサツ、不潔の自虐ネタをバラエティー番組で語る。

笑ってしまう。

でも、眉をひそめる人がいる。

そう、潔癖人間。

こうして、日本は選別され、分断されていった。



2021年、驚くべき構想が持ち上がった。

『潔癖マンション』の建設である。

マンションごと潔癖にするという。

冗談のような話だが、技術的には難しい事ではなかった。

なぜなら、半導体工場のクリーンルームを応用すればいいのだ。

入棟時にエアーで埃、花粉、菌などを洗い流す。

室内は空調により、清浄化されている。

ただ、食品の持ち込みができないと言う一部の不満があるが、

配給される食事はカロリーが計算され、バランスが良いモノだった。

こうした不満を解消させたのが、ペットだ。

しかし、当然、ペットの持ち込みは禁止である。

指定の無菌ブリーダーからは、ペットを購入が許されていた。


2030年には潔癖都市構想が浮上した。

潔癖人間は耐えられなくなっていた。

そうでない人と仕事をすることに。

それで、仕事場、生活環境ごと潔癖にしたいと主張した。

馬鹿馬鹿しいと思われたが、これが日本で実現した。

経済が行き詰まった日本には、大きな開発が必要だった。

新都市の建設は国家の一大事業となり、

その次のステージに向けての第一歩になるだろうと予想された。


ここである噂が流れた。

その噂を聞きつけた人々はこぞって、このプロジェクトに参加した。

当人たちは無理だが、孫の世代では可能だという。

それは火星移住だ。

火星に移住する際、地球のウイルス、菌を持ち込ませないため、潔癖人間が選ばれるという。

全国で7箇所、募集人員は約10万人だが、応募倍率は3倍を超えた。



2050年に入ると、さらに次のステップに進んだ。

サハラ砂漠でドーム都市の建設が始まった。

日米の共同プロジェクトで、仮想火星移住計画と噂された。

もちろん、無菌・無塵である。

また、人工照明で昼と夜を作り、天気まで管理した。

これに改良を施せし、火星に持ち込めば、移住も可能であろうと言われた。



ただ、このドーム都市の成功が火星移住の計画を狂わせたらしい。

それはそうだろう。

広大な砂漠に人が住めるようになれば、何も火星に行く必要はない。

ドーム都市が次々建設されていったが、

宇宙船が造船されるというニュースは聞かなかった。



2070年、とうとう火星への移住船が旅立った。

10万人規模の移住だ。

選ばれた人々は笑顔で旅立って行った。



それから、2年後、世界中に衝撃的なニュースが駆け巡った。

良いニュースだった。

それは、火星移住とは無関係のニュースであるかのようだった。

『ガンの新薬開発成功』の見出しが躍った。

完全に癌が消滅するという。

決して、罠ではない。


記者会見で製薬会社の社長は、


「なぜ、新薬の開発に成功したのですか」という記者の質問に対し、


「苦労して育てた、無菌の良い動物が大量に手に入ったので、

動物実験の精度が上がりました」と答えた。

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