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サイ・リンリ  作者: 天宮蓮
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十三章 辻行

 絶望に打ちひしがれて座り込んだまま微塵切りの前を動こうとしない辻行を浪勢二人がかりで本部に運んだ。




 浪勢の本部に戻った辻行はひどく落ち込んでいて駆け付けた浪勢達も命明も責めようとはしなかった。


 ただ一人、ヴァン・レイだけはその姿を見るなり怒鳴り散らした。

 これほどまでに感情的になる彼女を見るのは初めてだったが、一体何を言っていたのか辻行は覚えていなかった。





 再び、辻行の目に光が戻ったのは、翌日の朝に病院からの一報が伝えられた時だった。


 知らせを聞いて辻行はテレポートすることを強く望んだが、周囲の人間は今の辻行の精神状態では危険すぎると断った。


浪勢の本部から中央都市を通って反対側の病院へは四十分近くの道のりを走るつもりで飛び出そうとした辻行はその場で抑え込まれ、同行する浪勢の支度ができるまで待たされることになった。

 一時間後、ようやっと病院区域に到着した。


 二つある巨大な病院の内、ミリアッドが利用する第二種国立病院で受け付けを済ませ、一つの病室を案内された。

 ひらいたドアの先のベッドの上には確かにリンガベルの姿があった。




「リンガベル……」


 彼女は、こちらを向いて驚いてから目を伏せた。


 今朝聞いた病院からの知らせによると、リンガベルが搬送されたのは昨日の夕方で遮要壁の外壁の傍に倒れていたところを壁の職員に発見されたらしい。

 発見時、リンガベルは大きなヘッドフォンをしていて、コードの先に黒焦げで原形をとどめていない何かがあったという。

 外傷はなかったものの、意識が戻ったのは今朝のことだという。そこで名前が判明し、本部に連絡が行ったとのことだった。




 辻行は、彼女に何て声をかけていいのかわからなかった。

 リンガベルではない、彼女に。



 ここまで同行してきた浪勢が気を利かせて病室を後にしたところでようやく沈黙を破り、辻行は口を開いた。


「で。お前は誰だ?」


「ふっ……ふふふふ……もう少し誤魔化せる自信はあったのですが」


 肩を揺らして笑って、彼女はやれやれとベッドの上で立ち上がった。

 そして勢いをつけて、大きく両手を広げた。


 風圧で病衣の裾が揺れた。

 リンガベルに出会ったあの日、彼女に似ていると思った。



「私は人間補助機械生命体試験体01。ホーリィ・レイ。あなたが恋い焦がれていたホーリィはここに。もっと喜びなさいよ」


 口調、乏しい表情、彼女の面影をリンガベルに重ねていた辻行だが、ホーリィとリンガベルはあまり似ていなかったことにこの時、気付いた。

 リンガベルの向こう側にホーリィを求めていただけで、少ない似ている部分を探しては肩を落として、多くの似ていない部分を見過ごしていた。

 過去の辻行だったら、リンガベルと過ごした日々がなかったら、彼女の手をとっていた。

 二人から迷わずホーリィを選んだ。




「帰ろう、リンガベル」


「馬鹿な……冗談でしょう。浮林檎で暮らした二ヶ月を忘れたなんて言わせないですよ。あなたが私を裏切ったんです」


 リンガベルの姿をしたホーリィは口早に捲し立てた。

 目を見開いて、その顔は確かに怒りを露わにしていた。

 両手を広げた時も得意げに笑っていた。


 そのことを辻行は嬉しく思った。

 浮林檎で暮らしていた時のホーリィは平坦な感情で、喜怒哀楽を表すことが得意ではない子だった。


 それは彼女の個性というよりは、実用に向けて作られていたミリアッドの試験体に過ぎなかった彼女にはまだまだ足りないものが多く、無表情であることもそれが原因であった。


 ホーリィは、こんなにも笑えるようにも怒れるようにもなったのか。



「忘れるはずがないだろう。俺が君を殺したんだ。君の事を忘れたことは十年間で一度もなかった。裏切って、殴って、首を絞めた感覚も全て覚えてる」


「そうでしょう。よくも、よくも余計な事をしましたね。計画通りにしていればあなたは十年も壁に入れられる必要はなかったのに」


「俺が決めたんだ。その話をこれ以上するつもりはない。リンガベルをどこにやったんだ。何故、十年前に死んだ君がここにいる? 答えろ」


「ああ……酷い。酷いですよ……それが再会の挨拶だなんて酷いわ」


 ホーリィは深くため息をついて、ベッドから飛び降りた。

 床に着地すると身軽さを自慢するように爪先立ちで歩いて辻行の胸を指で一突きした。


「私の身体でしたらあなたを見上げるんですが、この子は見下ろすほど身長も高い……それに動きも滑らかだわ。傷物だけど。あなたの言うリンガベルの身体はこの身体で間違いないですよ。この子は私の撒いたウイルスをわざわざ拾ってくれたのですよ。私の可愛い感染者……」


 突いた指を引いて、根本から爪の先まで舌を添わせた。



「君は……」


 スッと出した左手で舐めた人差し指の第一関節辺りをつまんで、不気味な笑みを浮かべた。

 目を見開いた辻行の目前でゴキィッと音を立てホーリィは人差し指の関節を逆方向に折った。


「てめぇっ!」


 掴みかかろうとする腕をかわしたホーリィは折れて宙ぶらりんになった指の隣の中指をつまんだ。



「……俺の知っているホーリィ・レイは姑息な真似をする奴じゃなかったぞ」


「十年の間、私がただ死んでいたと思ってます?

 生前、私は一つのウイルスを作ったのですよ。私は死をもってそのウイルスと一体化し、誕生歌を聞いた者と者の間を渡ってきました。リンガベル・レイの身体は以前から欲しいと思っていた……私のもとに彼女は自らの意思でやってきた。

 どうせ死のうとしていたのだから乗っ取っても問題はないでしょう?

 この子は私の欲しいものを全て持っている」


 そこにいるのは、以前のように無表情で薄い感情しか抱かないホーリィの姿ではなかった。

 改めて彼女から聞かされる気持ちに驚きはしたが、全く理解できないわけではなかった。




 ホーリィがどれほど孤独であったかをよく知っているのは辻行であった。

 後世のミリアッドの為に犠牲になった。


 研究に貢献し、実験を重ねる為だけにホーリィは作られた。

 彼女は外に出ることも許されていなかった。

 彼女が唯一、触れることのできた外部の人間が辻行であった。一番、傍にいた辻行は十年間、想いつづけていたホーリィを忘れようとしていた。

 リンガベルと共に歩くために。

 その気持ちにホーリィが気付いているのなら、面白い、とは思っていないだろう。



「ウイルスなんかに……ウイルスなんかになってどうするんだよ……」


「徐々に感染源を増やしてミリアッドを壊滅させて国へ復讐しようと思っていましたが、それもやめましょう。これ以上、ウイルスを撒くのもやめます。まあ……出回っているものを根源から絶つのは無理そうですが。

 だから辻行、共に生きましょう。

 私は復讐を諦めます。あなたはこの子を諦めてください。

 本当のところ、あなたの傍にさえいられれば復讐なんてどうでもいい。私は感染者を媒体にすることで永久に存在することができるんですよ。不死身のあなたの孤独を癒せるのは私でしょう。この子のように朽ちることも、人間のように死ぬこともありません。

 私はあなたの罪を許しましょう」



 大切な人が傍にいても、本当の意味では辻行が孤独であることをホーリィは見抜いていた。


 もしかしたら生前から知っていたのかもしれない。

 大切な人達をどれほど愛おしく思っても、それがミリアッドであっても人間であってもいずれは辻行の前から消える。人間よりミリアッドのほうが寿命は長い。朽ちても解体され再生することで生きることができるが、解体をした時点で辻行に関しての記憶は失われる。



 辻行は不死身である痛みも自覚もまだまだ浅い。

 それは、不死身になったのが身体の成長が止まった十四歳の時であるからだ。


 そこからホーリィを殺して十年壁で過ごした。

 不死身になってから辻行はたったの十年しか生きていない。それは老いないことを除けば、普通の人間として生きるのと変わりない。十年分、不死身でいる程度では周囲の人間も殺さない限り、死にはしない。

 大切な人たちが自分を置いて死んでいく壮絶な孤独もまだ味わってはいない。



 辻行の場合の問題は、これから永遠に生きるというところにある。

 その事実だけは確実なものだった。


 辻行は自分の死期がない事を悟る手立てはないが、命明の目には見えているらしい。

 人の死期さえ見てしまう命明が言うのだからそれ以上の根拠はない。

 ドライアドとはいえ命明も、ミリアッドのリンガベルもいつかは目の前からいなくなる。

 一人で生き続ける未来が恐くないなんて思えない。



「勝手に許してんじゃねえ。許すな、俺を。

 君を殺してから十年間、思い出すことは昔の辛いことばかりだった。泣き出しそうになるほど悲しかったこと、悔しかったこと、痛かったことが次々に浮かんだ時に、記憶の中で生きてる君に何度も救われた。一緒に暮らした二ヶ月間を思い出すと心が楽になった気がした。そのあとにそれ以上の後悔が押し寄せても君は俺の光だった。

 壁から出ても君のことばかり考えていた。店先の綺麗な花をあげたら君は笑ってくれるのかとか、君ともお気に入りの紅茶を共有したかったなとか。どこに行っても何をしても考えるのは君のことばかりだったんだ。

 君が感情を持ったことで変わっても、ウイルスになったとしても変わらず好きだ。俺の隣で一生、永遠に傍にいてくれるのも君だけだと思う。

 だけど、その誘いは断るよ。

 どうやら俺は、君の姿を求めて傷つけてきたその子のほうが好きみたいだ」




 ホーリィは俯いた。


「……そっか。殺すほど愛してくれた私より、この子が好きなんだ」


 その顔をあげたホーリィは口角をあげて笑って、つまんでいたままの中指を反対方向に折った。

 ゴキィと鈍い音で骨が鳴った。


「じゃあ、お前死んじゃえよ」


 折れた中指を捩じり上げ、引き千切って床に捨てた。

 落ちた指先は床に血溜りを作り、指先を失った関節の断面からはドクドクと血があふれ出た。



 辻行は疼く腕で高鳴る胸をおさえつけた。

 抑えつけきれない衝動と笑いが腹の底から湧き上ってくる。

 浅はかさを呪った。


 人質をとられている状況で要求を飲まないことは人質を危険に晒すような事であるのはわかっていた。

 わかっているつもりでいた。

 もしかしたら、本音で向き合ったらホーリィが簡単にリンガベルを引き渡してくれるというような甘い期待が最悪な結果を生んだ。


「ひぃぃいあははははははっはははははぁっ」


 目の前の世界が滲んで見えなくなった。

 こんな時に思い出すのは、最後にホーリィを殺すことを選んだあの日々のことだった。











 中央都市にきた十年前、辻行には頼って生きるものがなかった。


 命明によって勧められ、辻行は手厚い生活保護と引き換えに不死身である自分の一切を浮林檎に預けた。

 行われた多くの実験の一つとして辻行は、試験体との共同生活を送ることになった。

 浮林檎が所持する研究員の為に作られた集合住宅とは異なるところに二人の住居はあった。

 ワンルームの平屋ごと実験室の一部として鉄壁に覆われている空間で半年にわたって試験体のデータをとる実験だった。


 未だ人間と暮らしたことがない研究段階のミリアッドが実際に人間の補助として役割を果たせるのか、人間の行動や言葉によってどのような反応をするか、どのように応じるかをはかり、実用に向けて大きな前進となる実験だと期待された。


 その実験に抜擢されたのが、不具合や暴走が起きたとしても死なないであろうと予測されていた不死身の辻行と、試験体として作られたミリアッドのホーリィ・レイだった。

 この時は、ミリアッドは人間と目視で識別ないほどよく作られてはいなかったことや、ミリアッド自体がそう多い個数ではなかったこともあり、研究員のほとんどは、レイを省いてホーリィのことを呼んでいた。



 手厚い生活保護の中には辻行の夢である学校に通うことも含まれていて、辻行は毎朝、浮林檎から直接、中学校へ行き、夕方には浮林檎の二人の家に帰った。

 見送る時も、出迎える時もホーリィは悲しそうな顔をした。

 ホーリィに自由など生まれた時から存在していなかった。


 データをとる以上、ただ二人に勝手に生活してくれ、などと研究員が言うはずもなく、二人の生活は二十四時間、天井近くに設置されている複数の監視カメラによって見張られているものであった。

 その事に関して辻行は強いストレスを感じていたが、中学校へ行くことも許されず日中も監視下にいるホーリィは息抜きをすることも叶わなかった。



 当初、それらのことについてホーリィは何も感じていない様子だった。

 しかし、実験の中で彼女が少しずつ感情を覚えたことで彼女自身が違和感や不快感を抱くようになった。


 ホーリィに惹かれていた辻行は、彼女の異変にいち早く気付いた。


 その時には既に、彼女は未来に絶望し、死すら望んでいた。

 知るのが遅れたのは、二人の会話の全てが録音されていたせいであった。



 ホーリィはその気持ちを研究員に悟られまいと、辻行の制服の裏地に覚えたての言葉でSOSの文字を刺繍した。

 辻行がふと一見、裾上げをしたようにしか見えない一本線は全てSOSの文字でできていた。


 その夜、辻行は床に地図を広げ、自らの体の影を利用したカメラの死角を作り、地図記号を書いて説明をしながら、地図の端に文字を書いた。「死ぬな」。

 それに対してホーリィは言葉で受け答えをしながら、地図上にバツを描いた。




 二人が暮らす家で必要なものは全て浮林檎からの支給品で賄われていた。

 必要と判断された支給品以外のものは家におくことができなかった。


 辻行はホーリィに言葉や気持ちを教える為に読み聞かせる本が欲しいと要請した。

 許可が下り、何冊かの本が支給されると辻行は毎日、ホーリィに読み聞かせ、漢字の読み方がわからないところには、ひらがなを振った。


 ホーリィは、日中の間に支給品のノートに読み書きの練習をした。


 実際は、振ったふりがなの全ては二人の脱走計画の提案や相談であり、その返事をホーリィはノートに書いた。

 本とノートが収納された棚の上にホーリィは花瓶で花を生けた。

 とっさにそれらを濡らして証拠を消すつもりだった。



 やがて脱走計画は不可能であると悟り、破綻した。

 そして二人は次の計画に移った。


 ホーリィを殺害し、問われる辻行の罪が軽く済む方法を二人で模索した。

 辻行は悲しく思っていたが、ホーリィを救うことはできなかった。


 ホーリィを生きるように説得する為の希望も見つけることができなかった。

 それなのに彼女が絶望する気持ちだけは制服の裏を見た時にわかってしまった。

 どんな顔をしてホーリィが縫っていたのか考えるだけで心が張り裂けそうだった。




 その頃から辻行は変わった。


 ホーリィに対して暴力を振るようになった。

 それもDVの果てに殺害してしまうという二人の作ったシナリオに沿ってのものだったが、辻行にとっては淡い期待でもあった。


 研究員が閉鎖された家からホーリィを保護してくれたのなら、その隙にホーリィは逃げることができるかもしれない。


 しかし、その期待は裏切られ続けた。

 研究員は、それも実験としてデータになると判断したようでいつまで経ってもドアがノックされる日は来ず、辻行は歯を食いしばって拳を振り上げた。


 その一方、監視の目が外れるトイレの隅に置いた茶筒の中に辻行は血を溜めた。

 毎日、少量ずつの血を見ないように採取し、固まらないように半量の水で溶いた。






「あなたは、道を踏み外した。……あなたの更正を願います。さような……」


 ついに実行の日が来た。

 DVを違法行為だと指摘するホーリィの言葉から口論が始まり、殴ろうとする辻行に向かってホーリィは抵抗し、部屋のものを投げつけた。

 ホーリィが投げたマグカップは正確な軌道をえがいて監視カメラを破壊した。

 全てのカメラの位置を二人は知っていた。


 同様にして全てのカメラを壊し、監視の目から外れた二人は迅速に次の行動にうつった。

 辻行はトイレから二つ分の茶筒を持ち運び、その間にホーリィは本棚から本とノートを出しページを破り捨てて床に撒いた。



「辻行……さようなら」


「力になれなくてすまないと思ってる」


 向き合って最後に言葉を交わした。全ての証拠の上で辻行は茶筒を逆さにした。

 DVの果てに口論になり、暴力を振るおうとする辻行に抵抗したホーリィが辻行に大怪我を負わせ、自らの出血を見て辻行は暴走する。


 その力には抗えず、傍にいたホーリィを誤って殺してしまった。

 そこに殺意はなく、辻行の罪は多少なりとも軽くはなるはずだ。

 それが二人の計画の全てであった。



「何故……っ」


 床の血溜りが広がる中で辻行は自我を保ったまま、立っていた。

 直前まで血と水の入った茶筒の中身は便器に流され、赤黒い絵の具にすり替えられていた。


 最後の最後で辻行はホーリィを裏切った。



「本当にごめん」


 背を向けてドアに手をかけようとするホーリィを追い、彼女が生けた花瓶で脳天を殴打した。

 もう一度、花瓶を振り下ろし、床に放った。既に息絶えた細い首を締め上げた。



 辻行にとって罪を軽くされることは少しも嬉しくもありがたくもなかった。

 恋人を殺した罪をちゃんと受け止め、ちゃんと苦しみたかった。


 血と見せかけ、絵の具を撒いたことは心神喪失を狙ったと思われるだろうが、暴走して気が付いたら恋人を殺してしまっていたなんていうシナリオよりずっとマシだった。


「愛してたよ。ホーリィ・レイ」












 殺したくない。

 辻行は暗闇の中で強く念じた。

 もう失いたくない。ホーリィもリンガベルも。

 殺さないでくれ。殺すな、殺すな、殺すな……。


 戻れッ。




「八重辻行!」


 急速に広がる世界の中で、肩を揺すられ辻行は我に返った。

 そこには白い頭巾で顔を覆って白い分厚いローブを着たガスマスクの男女かも不明な人物がいた。



「私達は、血眼共(ブラッドアイズ)だ。立てるか?」


「血眼共……? リンガベルはッ」


 見渡した辺りは酷い有様だった。

 ベッドが真っ二つに折れ、カーテンは辛うじて吊り下げられているだけのボロ布になっていた。


 割れた床に穴のあいた壁。

 その先に、暴れ狂うリンガベルの姿があった。


「安心しろ。君は彼女に指一本触れていない。あとは我らに任せろ」



 サイバー犯罪専門の特殊部隊、血眼共を目にしたのは初めてのことだったのに彼らの存在は無条件で安心することができた。

 肩をポンポンと叩いた血眼共の一人を筆頭に何人もの同じ姿をした背中が横をすり抜けていくのを見たのを最後に辻行は意識を失った。


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