四章 リンガベル
前回、暴走した辻行は、教室にいた生徒七人に怪我を負わせ、とめに入った教員四人の内、一人が第一種(人間)総合病院に搬送された。 骨にひびが入る重傷だったが致命傷ではなかった。
そして、今回。授業中の教室から離れていた廊下であったこともあり、生徒達が騒ぎに気付くのも教員がとめに入ることも遅れた。
リンガベルは、十一人分の暴力を一身に受けた。
止めに入った教員の二人がかりで辻行は床に押さえつけられ、動きを封じられた。
他の教員が救急車と浪勢を呼んだ。
前回の騒ぎの時には浪勢を呼ばないでほしいとリンガベルが地に頭をつけ、校長に頼み込んだため、免れたが今回、そのリンガべルは同じように校長や教員を追いかけて詫びて、頭を下げるような事など到底できない状態にあった。
第二種(人造人間)総合病院に搬送される救急車の中で救急隊員が何度もリンガベルの名を呼んだ。
「リンガベル・レイ! もう少しで病院だからね。あと少しの辛抱だからね」
救急隊員は意識が朦朧としているリンガベルに絶えず隣で語りかけた。
運転する隊員が憤りを押さえられず舌打ちをした。
「なんて酷いんだ……っ。なんて酷い、あんまりだ」
助手席に座る隊員は病院と繋がっているらしい電話に冷静にリンガベルの状態を説明していた。
「とにかく出血が酷いです。
右の手首から上は原形を留めていません。骨も肉も見えてます。
左の肩が外れていて、肋骨も何本かいかれてます。
顔もパンパンに腫れてて、上半身が主にひどい状態です。
下半身は、脚の骨が折れてるかもしれないです」
薄れる記憶の中、リンガベルは親切にされること、こんなに大勢に心配してもらえることはこんなにもうれしいのかと、助けようと必死になってくれる人たちに感謝した。
病院に運ばれて全身麻酔をかけられた。
その場にいた誰なのかわからない病院の人に言われた通りに何回かゆっくり呼吸したのち、リンガベルの意識は失われた。




