新作スイーツとあわいの森(2)
目当てのカフェは駅前の人混みから少し離れた場所にあった。
「静かなところね…」
ミヨがぽつりと呟くと楽しそうに歩いていたカナがはっとした顔でふりかえった。
「静かすぎる…?」
「いや、大丈夫。行こう。」
人混みが苦手という人は多いときくが、ミヨの場合は全く逆だった。人がいない場所で誰かといることが耐えられないのだ。本当に一人きりなら大丈夫なのだが、2人きりは家族ですら遠慮したい。変わっていると言われるし、ミヨ自身でもそう思う。出来れば克服したいと思っているが、恐怖心というのは中々消えないものらしい。カナは当たり前のように一番混んでいる窓側の席をとると、スイーツを持ち帰る人の列が見渡せる位置にミヨを座らせた。
「おお!2種類あったんだ!イチゴとバナナだって!迷う…」
「じゃあ両方頼んで半分ずつ食べる?」
「いいの!?ミヨ天才!女神!愛してる!」
「大袈裟だなあ」
ミヨは苦笑しながらオーダーする。
この謎の恐怖症を分かって付き合ってくれる人は少ない。カナは能天気そうに見えて人を気遣えるいいやつである。
「ん~おいしい!幸せ!」
「カナはいっつも幸せそうね。」
「そう~?明日の小テストが無ければもっと幸せだけどね…」
「ああ、言語苦手だもんね。モッツ語はヒアリングも出来ないの?」
モッツ語は魔法の基礎になる言語だ。魔法を使うときに力を貸すとされる、目に見えない者たち、あわいの住人の公用語とされている。他の外国語や古文と同じく単語と文法を覚えていけば長文を読めるようになると思うのだが、カナはどうも苦手らしい。
「何言ってるか全くわからん!いいもん、私あわいの住人なんて見たことないもん。喋れなくてもいいじゃん。」
カナはスプーンをくわえたまま
歴史専攻するんだもん。古文が読めればいいもん。
とぶつぶつ呟いている。行儀が悪い。
「でも、魔導書は全部モッツ語じゃん。詠唱も大体そうだし。」
「詠唱で出てくる単語くらいは読める…」
「魔導書は?」
カナはしばらく言い訳を探すように沈黙し、諦めてはあ、っと嘆息した。
「…テスト、がんばる。」
見てくださってありがとうございました!
こんなハイペース、きっと最初だけです(笑)
早く全員出してあげたい!