幻術の森
「で、着いたけど迷わずにどうやってこの森を抜けるんだ?」
森を抜けるのはいいが、迷っては意味がない。
実際にこの目で森を見てどうみても入ったら迷いますよ~と誰もが言うと思う。
「この森に私の知り合いがいるのよ。その知り合いに道案内してもらおっかなって」
「この森に棲んでいるのかよ!?あれか隠れ里みたいなところだっていうのか」
「まあ隠れ里では、ないけど棲んでいるのは確かよ」
ここに棲んでいるらしい。
こんなところよく棲めるな、でもニナの知り合いだから何かしらの性格だろう。
「どうやってそいつと会うんだ?」
まずは、会わなくてはすぐに迷って森から出られなくなってしまう。
「ちょと待ってね」
マジックポーチを探り始めて卵ぐらいの大きさの水晶玉?を出した。
「これはね、登録した相手に通話が出来るマジックアイテム。これも私が作った中で最高傑作と言ってもいいぐらいの物なのよ。この世界では、連絡手段が乏しくて手紙くらいしかないのよ」
そりゃあそうだ。この世界では、手紙が一般かもしれないが、通話出来るマジックアイテムがあれば手紙など使わなくていいものだ。
「知り合いにこれと同じものを渡してあるから、これで呼び出せばいい。なら早速連絡してみるね。流石に距離があり過ぎると通話が出来ないから森の周りを歩きながらになるけど」
流石にどこからでも繋げることはできないらしい。だけども通話が出来るだけでもすごいものだ。これが多く出回ったら戦場などでは、大助かりだろう。
森に沿って歩いているが本当にこんなところにいるのだろうか?霧は深いしモンスターの唸り声が聞こえてくる極めつけは、風が吹いているわけではないのに草木がざわざわしていることだ。
俺だったら気が参ってしまう。
クレナは、歩いている時にたびたび見つける花で冠を作っていた。
「あ!繋がった」
ようやく繋がったらしいかれこれ一時間ほど歩いたんじゃないか?
「もしもし♪元気にしていた~。いきなりで悪いんだけど森を抜けたいんだけど案内してくれない?」
相手側の方は、オッケーが出たらし。
ニナが笑顔だからだ。
「案内してくれるって。かわりにいろいろ面白い話してくれってさ」
「そういや。ニナの知り合いってどんな感じの人だ?」
「う~んなんていうか見たまんまって感じ?」
まあ、来るまで楽しみにしているか。
話か~なんかあったかな?アドリブで話せるほど話の引き出し少ないんだよな。