ダンジョン作り♪(出来るまでの間10)
酒場は、お祭り騒ぎ状態だった。
村へ帰って来た俺たちはギルドにクエストを報告した後酒場へ直行した。
「では、討伐を祝して乾杯!」
サタクがカウンターで皆に聞こえるよう大声で乾杯の合図をした。
辺りでは今回の報酬を何に使うなど自分の活躍ぶり自慢するものがいた。
酒に酔った勢いで力比べを仕出すものもいた。
「ナオキ、ニナどうだのんでいるか?」
陽気にサタクが話しかけてきた。
俺とニナは、酒を飲まず果実水を飲んでいた。
俺は元の世界では、未成年だしね。
「ええ、それなりに楽しく飲ませてもらっているわ」
「ま、それなりに・・・」
「おお!それは、良かった。」
「今回の討伐、結構お前らを心配してたからな楽しくやってくれてなによりだ」
心配していてくれたらし。
「今回の大猪は、思った以上に大きかったからなお前らが参加してなきゃ結構やばかった。ありがと」
まさかお礼を言われるなんて思ってもいなかった。
酒に酔って心配していたことをつい口に出してしまったんだろう。
「俺たちは、クエストをこなしただけだ。そうだろ?」
「まあな。お前たちのおかげで難なく討伐できたことは、変わらない。改めてありがとう」
礼を告げたサタクは、他のテーブルへ移動した。
だが俺の中で不安になっていることがあった。
俺は、このままでいいのだろうか?
今までの人生、命がかかった戦いを経験してこなかった。
大猪狩りでは、魔法を使うことを忘れ、刀もろくに使いこなせなかった。
こんなことを繰り返していればいずれ死んでしまう。
魔法を使いこなせるようにならないと、刀を扱えるようにならないと。
「ニナ・・・ちょっといいか?」
「なによ、そんな暗い顔して?」
俺は、すぐに感情が顔に出てしまう性格なのだ。
改めて気持ちを落ち着かせたところで切り出した。
「俺を誰にも負けないぐらい強くしてくれ」
「覚悟はある?」
今まで感じたことが無い雰囲気だった。
ニナの眼が真剣に俺に問いを求めてる。
その眼は、これまでのおちゃらけた軽い雰囲気なものではなく、まるで氷のような冷たい眼だった。
「覚悟はできた。自分がどれだけ甘かったことも十分にわかったつもりだ」
「分かったわ。ダンジョンが出来上がったあとみっちりしごいてあげるわ。それまでは、ゆっくりしてなさい身体強化したあとは慣れないと全身筋肉痛になるから」
「さあ楽しく飲みなおしましょ♪」
それからの俺は、気持ちが落ち着きこの世界での様々な料理を味わった。
それなりに時間がたったあとこの騒ぎはお開きになり宿へと戻った。
そのままふとんに倒れこみその日は眠りについた。