1話 時の魔女
昔々、
時の魔女と呼ばれる美しい魔女がいました。
時の魔女は全てのものの時間を持っていました。人、動物、植物…全ての時間を知り、手にしていたのです。
時の魔女を人間たちは忌み嫌いました。自分たちの持っていないものを持っていたので、恐れたのです。時の魔女は人間たちの前に姿を現さず、一人、深い森に棲んでいました。人間たちのためでした。
そんな時、まだ人間たちが争いをしていた頃。人魚の森に棲む人魚たちが人間を滅ぼそうと企みました。時の魔女はsの企みを知り、人間を守りました。時の魔女はとても心のやさしい魔女だったのです。
その時、時の魔女は人魚の呪いを受けました。
人間たちは時の魔女にとても感謝しました。そして、時の魔女を人間たちの棲む村に棲もうと誘いました。しかし、時の魔女はその誘いを断り、人魚たちのいなくなった人魚の森に棲むことにしました。
それから、何百年も時は過ぎ、時の魔女はある日一人の人間に恋をしました。二人は愛し合っていましたが、二人は結ばれることはありませんでした。時の魔女が人魚から受けた呪いは、人を愛すると永遠の眠りについてしまう呪いだったのです。
時の魔女は大切な宝物を人間たちに託して眠りにつきました。
深い深い、人魚の森にある湖の底で。