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超獄丸の独語  作者: 京子
2/3

独語2

坊っちゃんが殺された時を同じく姐さんと娘さんにも危機が迫っていました。

強欲の眷属が誘拐を企てようとしていたのです。

然し、この動きを読んでいた我等は先回りして姐さん方を保護したと同時に眷属を始末し、魔界へと連れ去りました。

何が起きているのか解らず混乱する姐さん方に事の経緯を話すのは気が引けましたが、知らせない訳には行かない。

我等が保護しなければ、娘さんやお腹の中の子供は殺され、姐さんは殺されないまでも精神を作り変えれられて壊のペットとして残される可能性が高かったですからね。

奴等の計画を阻止する為には姐さん方の協力も必須条件なのです。

なので、選択肢が有りそうで1つしかない選択をさせました。


気丈に振る舞うが深々と頭を下げる空様の顔から一雫の液体が零れ落ちるのが見えました。

気が付くと私も雲海様も目から雫が零れ落ちてました。


涙…?

何故…?

何故こんなに悪いことをしたと感情が沸き起こるのか…

これが罪悪感と言うものか…


生まれて初めての涙…

そして我等にも罪悪感と流せる涙と言うものがあるのを初めて知った日となりました。


然し、動き出した計画を止める訳には行かない。


ママ…


震える手で娘さんが選択します。

その選択を受けて決意した姐さんの気持ちを受けて転生の儀を行いました。


その後、息子を喪った悲しみで暴走状態となった楓夏様を空様が止めたりとか細々したトラブルはありましたが、坊っちゃんが復活する迄の期間、我等は妖怪強化計画を発動させ来たるべき戦いに備えることにしましたので暇することは無かったです。


そうそう、怪レンジャーの面々にはこの時の記憶は取り除いて置きました。

楓夏様が何も覚えていなかったのは、本当に忘れていただけです。

怪レンジャーには引き続き坊っちゃんの監視をさせる為、坊っちゃんが復活した後にウッカリ喋られたら終わりですからね。


そして…


黄泉と呼ばれる魂回収装置の影響で目覚めた坊っちゃんには当然ながら記憶が有りません。

坊っちゃんは楠木コヨミと名乗る女性の祓い屋にレイと名付けられた様子でギブアンドテイクみたいな関係を結んだみたいです。

あのコヨミと名乗る祓い屋は間違いなく姐さんですね。

それと、坊っちゃんと同化したあの魂は昌子様と坊っちゃんの融合魂ですね。

何故、真智子と呼ぶ様になったのかは謎ですが、魂の奥底にその名が刻まれていたのでしょう。

兎に角、空様の加護は上手く機能している様で安心しました。後は娘さんが無事に合流したら良いのですが、そればかりは判りません

然し、あの笑い方、悪戯好きな性格…

あの性格は坊っちゃんの性格ではありませんね…

あの笑い方もそうです


間違いなく前川善兵衛ですね。


私が人間界で関わった数少ない人間の1人

何故…?

私は古い記憶を呼び起こして当時のことを思い出しました。

前川善兵衛は当時、雨音村を悪政を持って牛耳っていた濱田家を滅ぼした一族のトップでした。

前川善兵衛は善政で知られた名君でしたが、幽霊となった坊っちゃんの性格に似ていて、暇だと言う理由で家臣に悪戯を仕掛けては困らせていました。

悪戯が成功するとこう笑うのです


ヒャ〜ヒャッヒャッ…


とね。


その笑い声を聞いた家臣は、「またヤラれた。殿の悪戯癖には困ったものだ」と苦笑いを浮かべてました。


懐かしいですね


坊っちゃんが誕生する際に降りた魂が彼だったのでしょうか

でしたら、生前の性格も違っている筈なのですが…うーん…

経緯は解りかねますが、ベースは彼で間違いありません

然し…

街を守るとの理由はあるのでしょうが、観測者としての一面を見せる坊っちゃん

あの一面は善兵衛には無かった一面です。


空様も首を傾げながらも坊っちゃんを見守る姿勢を崩していません。


私もまた、坊っちゃんの変化に首を傾げながらも見守ることにしました。


坊っちゃんと真智子さんの関係はまるで親子の様です。

姉としての枠に収まっている様ですが、私には親子の様に写ってますよ。

真智子殿は魂レベルでの性別変更は簡単だと言っていた様ですが、そうではないですよ。

昌子様の魂を使用していたから出来たことです。

シッカし…美人ですね…

生きている姿でお会いしたかったですよ。

この2人は街に蔓延る悪霊や怨霊のことをR級SSR級と呼んでるみたいですね。

逆に幽霊絡みではない事柄には殆ど興味を示さない。

これは間違いなく坊っちゃんの性格です。

我等は一体何を降ろしたのでしょうか…


謎です…


いくら考えても解らないものは解らないので、この話はこの辺にして坊っちゃんが妖怪と初遭遇した時の話に移るとしましょう。


その日、何処へ行くつもりだったのか解らないのですが、雨土山の工業地帯へのバスへ乗り込んだコヨミ殿と坊っちゃんでしたが、結界に阻まれて行くことは叶いません。

それはそうです。

あの場所は雲海様と空様が念入りに結界を張り巡らせているので幽霊や妖怪は地上から行くことは叶いません。

強欲に食われて無駄にパワーアップされても困りますからね。

無理矢理通過しようとすると、保有しているエネルギーを吸い取られて下手をしたら消滅なんてこともあり得ますから。

因みに、街全体を覆うように結界を施しているのですが、この結界の発生源は、あの学び舎の側の地下に設置しています。

緑発様のエリアロックだけでは心許ないとの判断からです。

工業地帯に行くことを諦めた2人は、そのまま映画館へと行ったみたいですね。

最初から映画館へと行っていたらアイツと遭遇しなくても良かったのですが、工業地帯へと行ったことでアイツに目を付けられてしまいました。


妖怪の名は淫鬼…おっと…人間界では色魔と呼ばれているみたいですね。

ヤツの狙いはコヨミ殿でしょうね。

それと、坊っちゃんを捕食すること。

この2つだと思います。

私の見立てでは坊っちゃんは食われて終わりだと思ってました。

案の定、坊っちゃんはもう少しで食われるところまで追い詰められてしました。

コヨミ殿も操られていていましたし、真智子殿もコヨミ殿の手前、出て来る訳には行かないでしょう。

坊っちゃんを喪う訳には行かないので、私は少しだけ干渉しようと思った時、ブルーとイエローが坊っちゃんを救いました。

どおやら彼等は彼等で坊っちゃんのことを気に入っているみたいですね。

もう少し早く助けてあげたら良いものの、テレビ番組のヒーローと同じようなタイミングで助けに入ってましたよ。

恐らくは恩を売るのと近付くキッカケを作りたかったのでしょう。

それが証拠に、怪レンジャーの面々は事あるごとに坊っちゃんと真智子殿と接触しては情報提供していたみたいです。


次はあのラーメン屋の一件です

料亭みず乃の社長一家が住んでいた家を取り壊して建てた店「ガチ鳥」のお話。

飛ばしても良いのですが、社長のお話でもあるので無視は出来ないですよね。

然し…人間の持つ欲と悪意と言うのは恐ろしいですね。

私はこの一件で実感することになりました。

と言うか、悪いことをやっていながらも自分は悪くない悪いのは相手だと言い切るところなんて妖怪にはそうそういませんからね。

然し、このお話には妖怪は絡んでいないので我等は一切手を出すことは出来ません。

私はあの店のラーメンは食してないので何とも言えないのですが、あの社長が不味いと言うのなら不味いのでしょう。

社長は人柄もさることながら、料理を見た目と香りである程度の味が理解できてしまう程の人間でした。

あのラーメンが社長の眼鏡に適う逸品なら良かったのでしょうが、不味いのならあの対応も仕方がないでしょう。

社長は美味い料理には称賛しますが、不味い料理には厳しい対応をする人でした。

そんな社長が3回の猶予を与えたと言うことは、あの店主にはまだまだ伸び代があったと言うことでしょう。

2回も失格して後が無い状態で坊っちゃん達の助けが入ります。

然し、それでも社長が満足することは無かったのです。

3回目も失敗した店主の魂は一時的に把握されてしまいます。

勿論、店主に何の罪もございません。

それが解っていながらも、あんな行動に出たと云うことは、飛んだ見込み違いだったと言うことでしょう。

とは言え、本当に殺すつもりは無かった様です。

現に即死させなかったのが何よりの証拠です。

そこで動いたのが森田と言う人物。

彼もまた、坊っちゃんを利用する人物の1人ですが、ギブアンドテイクが成り立っているみたいでしたのでヨシとしなければならないでしょう。

坊っちゃんの悪戯好きが炸裂したこともあって事件は解決しました。

事件解決後、社長を裁判の陣…坊っちゃん方は黄泉送りの陣と呼んでいるみたいですが、あの陣は裁判の神と繋がる陣です。

やったことは褒められませんが、事情が事情だけに執行猶予が着いたと云ったところでしょうか。

本来は天国か地獄かの2択になるところなので、執行猶予は非常に珍しい現象です。

何者かの意思が働いたのでしょうか

それとも裁判の神の気まぐれでしょうか

謎です…


然し、あの祓い屋…

ムカつきますね

恨み満載の幽霊を封じ込めただけでは無意味だってことが解らないとはね

弱いくせに口八丁手八丁で依頼者を丸め込んで大金をせしめる手口は詐欺師と変わらないです。

まぁ、それ相応の報いが下るでしょうからほおって置くことにしますよ

この一件で解ったことは社長に坊っちゃんの記憶がなかったことですが、完璧には消せてないと言うことです。

それが証拠に、社長は「覚えている筈なのに思い出せない」と言っていましたからね。

いや、これまでのことでもしかしたらと思ってましたけど、強欲のヤツやってくれましたね。

坊っちゃんと関わった者達の記憶を喰らい、その上で悪評を流していたなんてね。

とは言え、我等は魔界にいましたし、オマケに我等はヤツより上位の存在なのです。

喰われる筈がありません。

然し、コヨミ殿は大丈夫なのでしょうか

カナリ良くない病に冒されていると見受けられます。

復活してくれたら良いのですが

まぁ、強引?騙し?とは言え、婚姻届に名前を書かせていたので戻って来るとは思いますが、生きたままとは限らないですよね。


坊っちゃんは弱い人間の側に立つ幽霊なのだなと思い知った出来事をお話しましょうか

事情を知らなければ、あの少女は救えなかったでしょう坊っちゃんや真智子殿のせいではないと思いますと言うことは最初に書いておきます。

コヨミ殿がいなくなって5年程経過したある日のこと。

坊っちゃんと真智子殿は自殺寸前の女子生徒を救いました。

然し、後処理を怠ったが為に自殺されてしまいましたがそれは女子生徒が犯人の女子生徒に深く依存していたせい。

しかも犯人の女子生徒は何人もの人を殺していたある意味殺人狂みたいな性格をしている模様。

それはR級が関わっていたからと言うからではなく、彼女の父親が金に物を言わせて庇っていたから増長したに過ぎません。

彼女がどの様な末路を辿ったかは後日談と言う形で語ってくれていますよ。

自殺を止められなかった坊っちゃんの悲しみは如何ほどなものなのでしょうか判りませんが、確実に逆鱗に触れる行為でしょう。

坊っちゃんは当時行動を共にしていたチョロ松と言う幽霊と真智子殿、そして社長の手助けを受けて事件を解決していますね。

チョロ松と言う幽霊はランク的に言うとSR級がシックリと来るようですが、坊っちゃんとの相性は悪くないと思いました。

彼には最後までお付き合いして欲しかったですよ。

それと、森田警部や箕浦刑事もですね。

幽霊の影響が大きかったとは言え、人間が引き起こした事件なのですから人間が解決するのが筋と言うもの。

然し、あの黒尾とか言うR級はシツコイですね。

坊っちゃんにボコられて楽しみを奪われたのが余程悔しいのでしょうか。

あと、坊っちゃんの母校でもある、あの学び舎は何時の間にかR級やSSR級の巣窟となっているみたいですね

朴っておくと手遅れになりますよ。


とか考えていたら案の定、学び舎の生徒達による事件と言うより暴走が始まりました。

悪事を働く生徒を止めなかった教師にも責任はあると思うのですが、背後に妖怪が潜んでいたとなると、それも致し方がないと言ったところでしょうか。

この話で登場した芳賀俊哉と名乗る売れないマンガ家は坊っちゃんの行動に感銘したのか、坊っちゃんの物語を描きたいと言い出しました。

然し、この男は絵は非常に上手なのですが、話しを創るのは下手くそだったのです。

彼は彼なりに悩んだ様ですが、どおしても話しが上手く創れない。

そこに導かれる様に現れたのが三上秀一と言う男子学生

この男子学生は後に女子となる様なのですが、人間界で言うとエロ小説?漫画?みたいな扱いを受けて男の部分を壊されてしまった挙げ句、自殺するところまで追い込まれてしまいました。

それを坊っちゃん達が自殺寸前の所で救った訳です。

前回の反省を生かした救出方法だったのでは?と私は考えています。

ケアもシッカリ出来てますしね。

まぁ、此処で死なせていたら私は坊っちゃんに失望してましたよ。

その時は私が坊っちゃんに成り代わり、空様の計画の代行者になることまで考えていましたからね。

このお話には村岡と言う男子学生が深く関わっていた様ですね。

この男子学生は坊っちゃんの後輩に当たる生徒みたいでオカルト研究会最後の部長でした。

彼は非業の死を遂げた後、SSR級として目覚めてしまい、学び舎を恐怖と混乱に陥れた人物でもあります。

因みに、初期スペックは坊っちゃんより上であったと想像しています。

自らの死が犯人共の私利私欲の為であったのが災いしたものと考えています。

怒りのままに教師と生徒を殺し、剰え、悪魔召喚で出現した悪魔と手を組んで妖怪と対峙していました。

この妖怪は寄生虫妖怪 虚栄 人間界では提督と呼ばれていたみたいですが、この妖怪もれっきとした強欲の眷属になります。

人間が持つ5つの欲

食欲・性欲・財欲・睡眠欲・名誉欲(承認欲求)

この内の名誉欲を司る妖怪となります。

提督と言う名からも解りますよね。

この提督を倒したのが坊っちゃんではなく村岡だったと言うのと怪レンジャーが関わったのは正直驚きました。

自らの人生を潰された一端を担いでいたと有れば本懐を遂げれて良かったですねと思いますが、それを加味しても学び舎全体を…罪のない生徒を巻き込んで良いことではなかったと私は考えます。

坊っちゃんと黒尾の決着もひとまず着いた様子ですが、あの技を食らってしまって負けたと思いましたよ。

空様は何の心配ていなかったみたいでしたが、全てが終わった後は安堵していましたよ。

このお話で特筆すべきは一時的にせよ坊っちゃんの中で眠る神が目覚めてしまったと言うことでしょうか。

お二人の怒りに呼応したのだと予想していますがどおでしょうか。

後は、幽霊より人間の持つ悪意の方が怖いとおもいましたよ。

然し…

奇特戦隊 残念ジャー

ですか…

絶妙過ぎて笑いましたよ

そうそう、この騒動の中でゆう子と言う幽霊が仲間になっていましたが、間違いなく坊っちゃんの娘でしょうね。

ゆう子さんはブルーとイエローと協力して財欲の化身であるネズミ妖怪 金魔

人間界ではマネーキングと名乗っていたみたいですね。

その金魔と戦ったみたいですが、ハッキリ言ってあの腕前では足手まといでしかありませんよ。

それを感じたのでしょうね。

イエローが鍛えていましたが、後ほど合流したピンクに横取りされてました。

と言うか、拝み倒されたと言った方が早いでしょうか

忍者に憧れる少女となっていたのには驚きましたよ。

ゆう子さんはピンクのお気に入りになった様子。

これからが楽しみですね。

勿論、弄れると言う意味ですが

それと、それとなく楓夏様が援護射撃していたみたいですが、依代も無しに結界から出るなんてバカなのでしょうか?

その後、レッドから村岡の伝言を聞いた坊っちゃんは図書館へ向かい、五平殿が書き残した妖綺譚を読んでいた模様。

あの書物の存在は知ってはいたものの、実際に読んだことが無かったです。

私が人間界に関わったのは、あの話の後のことですし、坊っちゃんが翻訳した後の朗読会で聴いたのが初めてでした。

然し、あの書物を読んでも坊っちゃんの記憶を呼び覚ますキッカケにもならなかったと言うのは、とても厄介な呪いをかけた様ですね。

強欲は魔界で暴れまわっていた頃に妖怪呪術師 魔僧 を食っていたとの記録も残っていますので魔僧のスキルでも発動させたのでしょう。


エッ?

妖怪とは何ぞや?

ですって?


・・・さぁ・・・


何なのでしょうか…

考えたことも有りませんよ。

私達は私達ですしね…(笑)


おっと…現魔王様が呼んでいますので少しの間、席を外しますね。

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