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セカンドハウス魔王城 ~悩めるアラフォーおっさんの快適週末異世界暮らし~  作者: 雉子鳥幸太郎


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畑仕事の用意

待ちに待った週末だ――。

ハンドルを握る手にも、自然と力がみなぎってくる。


「ルートのやつ、ちゃんとお留守番してるかなぁ……」


軽トラを城の脇に停め、車を降りると背中にドンッと衝撃が走った。


「うわぁっ⁉ ル、ルート!」

「ワウワウ!」


ルートは嬉しそうに飛び跳ねながら頭を擦りつけてくる。


「ははは、よーしよーし、良い子にしてたかぁ?」


いやぁ、本当に可愛いなぁ……!

おっと、なぜかちょっと涙ぐんでしまう……最近、めっきり涙腺が弱いんだよなぁ。


俺は思いっきりモフモフを堪能した後、魔王城の中へ入った。


「へぇ、すごいなルート! 全然散らかってないじゃないか!」

「ワウッ!」


当然だと言わんばかりに、ルートは胸を張った。


「これなら安心して留守を頼めるな。いやぁ、本当にウチの子は天才じゃないだろうか……(親馬鹿)」


ソファに腰を下ろし、早速、ウェザーマートで農作業用のグッズを物色した。


「ワウ?」

トトッとルートがソファに上がってきて、画面を覗き込んでくる。


「気になる? 畑を作ろうと思ってさ。土を耕して作物を育てるんだ、ほら、こんな感じに……」


俺は畑仕事の本を開いてルートに見せた。


「ワウワウッ!」


ルートは嬉しそうにその場でぴょんぴょんと飛び跳ねた。


「ははは、面白そう? ふふっ、一緒に作ろうな?」

「ワウ!」


ルートは、まだまだ子供って感じだな。

やっぱりコボルトも土遊びって楽しいんだろうか?


「えーっと、肥料と鍬……へぇ、ルーン付きの鍬があるじゃん! あのピッケル良かったもんな、これは間違いなく買いだろう。お、長靴もある……他にはタオルとか、あ、そうだ! 種も選ばなきゃ」


いろいろと買う物は多いが、なんたってwzには余裕があるからな。

道具はいいものを買っておこう。

魔石様々だ。


種はいろいろあった。

家庭菜園コーナーで並んでいたのは、ほとんど地球と変わらない野菜達だった。


「え、ピーマン……?」


ただ、どれもサイズがかなり大きめ。

キュウリに至っては子供の腕くらいありそう……。

でも、どれも知ってる野菜ばっかりだし、これなら育てるのも大丈夫そうだな。


「うーん、ピーマン、ミニトマト、ホウレンソウ、ニンジン、キュウリ……あっ! イチゴの苗がある! よし、これも買っておくか」


本に書いてある「初心者向け」の野菜を一通り買ってみる。


もしかして……本当は違う名前とか?

俺の認識が補正されてるみたいなこともあるんだろうか?


「……うーん」

「ワウ?」


まあ、考えてもわかるはずもないし、ラッキーくらいに思っておこう。


「あ、そうだ、護身用グッズも買っておくかなぁ……」


クマスプレーの効果は、身をもって実証済みだ。

これは外せない。箱買いしておこう……。


あとは……。

へぇ、異世界らしく、剣とか槍とかも売ってあるのか。


「剣聖モデルか……有名な人かな?」


甲冑姿のイケメン騎士の写真が添えてある。

ふぅん、この人が剣聖なんだろうな。

漫画の主人公みたいだ。


他にもいろいろと種類が多い。

ただ、さすがに刃物系は扱いが難しそうだよなぁ……。

どこかに、剣術道場的なものがあれば通いたいくらいだが……。


「あっ……弓! そうか、弓があったか!」


長弓とかボウガンとか色々と種類がある。

弓なら遠距離だし、小心者の俺にも向いてるかも……。


「うーん、種類が多すぎて悩むな……。ちゃんと下調べしてからにするか。今日はとりあえずこの辺にしておこう。まずは畑だ」

「ワウ」


隣で「うむ」みたいにルートが鳴く。

俺は小さな頭を優しく撫でた。


さーて、アナさんが来るまで、少しプールでも入るかな。


「よし、ルート、プールでも入るか?」

「ワウワウッ!」


ルートが嬉しそうに三階へ向かって走り出した。


「ははは、待て待てー!」



    *  *  *



プールで少し遊んだ後、アナさんがバッカスに乗ってやって来た。


「よぉ! クラキ、持ってきたぞー!」

「いつも助かりますー」


アナさんがひょいっと木箱を肩に乗せる。

相変わらず凄ぇ力だ……。


「ワウ!」

ルートがアナさんの周りを飛び跳ねている。


「おぅ、ルート、出迎えご苦労。ははは、なんだ? 酒が欲しいのか?

「さ、酒⁉ ま、まさか……ルートに酒なんて飲ませてないですよね⁉」


「え、あ、あぁ、の、飲ませるわけがないだろう!」


アナさんは、しどろもどろになって目をそらした。

俺は覗き込むようにして目線を合わせる。


「……飲ませましたね?」

「うぐっ……」


「アナさん……?」

「……す、少しだけだ……舐める程度だし……」


くっ、この不良配達員め……。


「アナさんっ!」

「ひっ!」


「ルートはまだ子供なんです! もし何かあったらどう責任を取るつもりですか! いくらアナさんでも許せませんよ!」

「わ、悪かった、悪かったよ、この通りだ!」


アナさんが俺を拝むようにして頭を下げた。

まったく、油断も隙もないな……。


「次はないですからね、お願いしますよ?」

「もちろんだ、なぁルート? あは、あはは……」

「ワウ~?」


ルートは不思議そうに小首を傾げている。

……まったく、反省してるのかしてないのか。


「そ、そうだ、荷物はここでいいか?」

「あ、はい、お願いします」


来た来た、待望の農作業グッズ!

これで畑が作れるぞ!


「こんなもん買って、畑でも作るのか?」

「そうなんです、いろいろ育ててみようと思いまして」


「ふーん、野菜なんて育ててどうするんだ?」

「え? 普通に食べますよね?」


「あたしは野菜なんて食わないね、肉と酒さえあればいい」

「……」

また蛮族みたいなことを言って……。


「でも、肉にはサラダが合うじゃないですか」

「そんなもん邪道だぞ、邪道! 肉に謝れ!」

「なんで怒ってるんですか……」


アナさんを宥めつつ……。

「ほら、ゴブチーサンドにも野菜入ってるけど美味しいじゃないですか」

「あ……ま、まあ、あれは別っていうか」


焼き肉のサンチェとか最高だけどなぁ……。


「焼いた肉を野菜で巻いて食べたりしませんか?」

「野菜で巻く?」

「ワウ?」


ピクンっとアナさんとルートの耳が動いた。

どうやらふたりとも興味を持ったらしい。


「じゃあ、今度ごちそうしますよ」

「ほんとかっ⁉ いつだ? 明日か?」

「そ、そんなすぐには……来週とかどうです?」

「よし、しかと聞いたぞ、絶対だからなっ! もう取り消せないぞ!」


アナさんがグイッと顔を近づけてくる。


「わ、わかってますよ、ちゃんと用意しますので……」


アナさんって、ちょいちょい残念な感じになるよな……。

美少女なだけにギャップが激しいというか……。


「よぅし! じゃ、今日はこの辺で帰るわ」


そう言って、バッカスに飛び乗り、

「あ、酒も用意しておいてくれよな!」と声を上げた。


「はーい、わかりましたー! じゃあ、また来週!」


「おう、あたしは毎日サボりに来てるけどなぁ! はっはっは! じゃあなルート!」

「ワウワウッ!」


ルートは大きく尻尾を振っている。


『キェーーーーッ!』


バッカスが舞い上がり、あっという間にアナさん達は点になった。


ルートとも仲良くなってくれてるみたいで良かった。

酒を飲ませたのは許せないが……。


「サンチュってこっちにもあるのかな……? ま、なかったら地球で買えばいいか」

「ワウ!」


ルートが長靴を咥えて持ってくる。


「お、やる気満々だな、ルート。よし、じゃあ早速始めるか?」

「ワウワウッ!」


俺は作業着に着替え、ルートと一緒に道具を持って、魔王城の外へ出た。

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