表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドハウス魔王城 ~悩めるアラフォーおっさんの快適週末異世界暮らし~  作者: 雉子鳥幸太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/52

深山くんのお誘い

地球の家に戻ると、袋小路さんからスマホに連絡が入った。


『どうも、お世話になっております、きさらぎ不動産の袋小路です。いま、少しお時間よろしいでしょうか?』

「あ、はい、大丈夫ですよ」


『ありがとうございます。魔石の査定が出まして、そのご報告を』

「おぉ! 出ましたか!」


『はい、今回、コモンクラス、スタンダードクラスが1個ずつですね。コモンクラスは300円、スタンダードクラスが572,000円となりました』

「ごごっ…ごっ…ごっ……⁉」


思わず言葉に詰まる。

あまりの衝撃にスマホを落としそうになった。


『倉城さん? 大丈夫でしょうか……?』

「は、はいっ! 大丈夫です! すみません、前回よりも多かったのでびっくりしてしまって……ははは」


『ふふっ、頑張った甲斐がありましたね。おめでとうございます』

「い、いやぁ……ありがとうございます!」


『振り込みは完了しておりますので、ご確認をお願いします。あと、今後は査定のご報告をメールにさせていただいてもよろしいでしょうか?』

「ええ、それは構いませんが……」


袋小路さんの声を聞く機会が減るのは、ちょっと寂しいが……。

お一人でやられているのだろうし、俺なんかのために時間を取らせたくはない。


『ありがとうございます。では、メールでのご案内にさせていただきますね』

「はい、あ! そうだ、あのコボルト……ルートって名付けたんですが、一緒に暮らすことになりました」


『えっ! それはおめでとうございますっ! う、うらやましいです……実は、私、もふもふに目が無くて……いつか飼ってみたいと思ってるのですがなかなか……』

「ほんとですか⁉ もう、可愛くて仕方がないですよ! あ、良かったら、いつでも遊びに来てください。ルートも喜ぶと思いますから」


『……⁉ ほ、本当ですか……ぜ、ぜひっ……!』

「週末ならいつでも居ますので」


『は、はい! ありがとうございます! その、もし、倉城さんが良ければなんですが……ルートちゃんの写真を送っていただけると……』

「ああ、わかりました、じゃあ送っておきますね」


『ありがとうございます! で、では、今日はこれで失礼させていただきます。何かありましたら、ご連絡ください』

「わかりました、ありがとうございます」


――通話を切る。


「袋小路さん、動物好きなのかぁ……へへ、ホントに遊びに来てくれたらいいんだけどな……」


さて、と。

俺はスマホの銀行アプリを開き、残高を確認する。


「うぉ……ぉおおっ……!!」


本当に572,300円が振り込まれていた。


どうする……どうするよ⁉


こ、これはマジでFIREも夢じゃないぞ……。

心臓が早鐘を打つ。


いや、待て待て待て……落ち着け!


俺はスマホを置いて深呼吸した。

両手を拝むように合わせ、口元に当てる。


数十万でFIREって、さすがに舞い上がりすぎだろう。

安定して魔石が採掘できる保証はないんだぞ?


「むぅ……」


まずは、地球の方の負担を減らしていくべきだよな……。

いっそのこと、軽トラのローンを完済してしまうか?

金利も高いし、その方がかなり節約になるはずだ。


毎月の支払いが減るし、あ、その分、wzに換金しておくかな。

使い切れないくらいのwzが貯まったら、向こうに定住することもできる。


そうだ、袋小路さんが投資もできるって言ってたよな……?

インデックスファンドみたいなのが向こうにもあれば、もし地球に戻れなくなっても運用益で暮らしていけるぞ……。


まあ、その辺はおいおいだな。

焦らず確実に地盤を整えて行こう。



    *  *  *



仕事終わりのウォーキング。

いつもは一駅前で降りるのだが、今日は二駅前で降り、ウォーキングをしながら家に帰っていた。


ちょっと奮発して新しいスニーカーを買ったのだが、これがまた調子が良い。

やっぱ、高い物は違うよなぁ……。

足が全然痛くならないし、弾むように歩けるのが楽しい。


歩きながらスマホの銀行アプリで残高を確認する。

軽トラのローンを前倒しで完済しても、まだ口座には少し余裕があった。


来週も発掘できればかなり楽になる。

それに、そろそろ畑の方も始めたいよなぁ。


ルートもいるし、街道を歩いてタイレルの街まで行くってのも楽しそう。

となると、野営グッズも必要か……。


しかし、野盗みたいなゴロツキに襲われる可能性もあるし、やっぱ護身術が必要かなぁ……。でも、俺みたいな素人が、格闘技を習うにしても、モノになるまで何年かかることやら……。はあ……。


ルート、ちゃんとごはん食べてるかなぁ……。

アナさんと上手くやってればいいけど。


その時、スマホが震えた。


「あれ? 深山くんだ……めずらしいな」


メッセージアプリには、一時間くらい飲みませんかと書かれていた。

仕事が終わってから、突然連絡があるのは初めてだ。


何かあったのかな……。

メシもまだだし、財布にも余裕がある。

断る理由はないな。よし。


俺はOKの返事を送る。

すぐにメッセージが返ってきた。


『あざっす、じゃ、肉正宗集合でお願いしまさむねー』


思わず吹き出しそうになる。

わかりまさむね……いや、了解しまさむね?


返事を返そうとして、ハッと思いとどまる。

ここで乗るといい歳してやべぇ奴って思われないだろうか……?


でも、深山くんだし、許される気もするが……いや、調子に乗っちゃだめだ。

俺はおじさん……全てが許されないと思った方が良い。


震える指でOKスタンプだけ送って、俺は肉正宗に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ