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セカンドハウス魔王城 ~悩めるアラフォーおっさんの快適週末異世界暮らし~  作者: 雉子鳥幸太郎


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22/52

「家具は揃ったからなぁ、あと一個でもスタンダードクラスの魔石が採れれば、精神的に大分違うんだけど……」


真新しいソファの感触を楽しみつつ、俺は淹れたてのコーヒーに口を付けた。

リビングの窓に目を向ければ、抜けるような青空が広がっている。


「最高に贅沢だなぁ……」


しかし、赤竜肉のステーキは旨かった。

アナさん達も喜んでくれたし、誰かに料理を作る楽しみってこういうことなんだな。


さて、少し休んだら『魔石サーチ』もあることだし、もう一度川に行ってみるか。



    *



軽トラに乗り、前と同じ場所に向かう。


今回は護身用にクマスプレーも持参した。

念のため持っておいた方が良いとアナさんに忠告されたからだ。


いくら手前の森とはいえ、森は森。

いつ魔獣が現れるかわからないそうで、クマスプレーなら魔獣にも効くらしい。


魔獣が現れた時に気をつけるポイントがあるらしく、まずは相手が四足歩行かどうか、そして会話をするかどうかが運命の分かれ目だそうだ。

会話をする魔獣に遭遇したら、死を覚悟しろとも言われてしまった……。


後で調べたところ、そんなヤバい魔獣は、おとぎ話で語り継がれているだけだそうで、実際に遭遇することはないという。


ま、アナさんが俺をからかったのだろうな。


森へ着き、車を降りる。

リュックを背負い、俺は川を目指して歩き始めた。



「ふんふ~ん♪」

二度目となると、大分気持ちに余裕がある。

ちょっとしたピクニック感覚だ。


しばらく行くと、急に目の前に何かが横切った。


「ひっ⁉」


見ると、野うさぎだ。

長い耳を立て、こちらを見て鼻をヒクヒクさせている。


「へぇ、可愛いな」


野うさぎがいるってことは、それを捕食する獣も……。

ゾクッとして、思わず周囲を警戒する。


狼なんかに囲まれた日には、生きて帰れないだろう。

そう考えると、スプレーだけでは、ちょっと心細い気がする。


「帰ったら護身用グッズを見てみるか……」


大きな音や光を出す物とかありそうだもんな。

別に相手を倒さなくても逃げられる隙さえ作れれば十分だ。

漫画なら主人公のチートでぶっ殺すんだろうけど。


そんなことを考えつつ、目的の河原に着く。

初めての時よりも近く感じた。


「さぁて! 稼ぐぞ~!」


めぼしい石を探しながら辺りを歩く。

少しでも怪しいと思ったら魔石サーチだ。


「ん?」


川の水の中に赤色っぽい石がある。

いいね、まずはこれからサーチしてみよう。


俺は水の中から石を拾い出し、地面に置いて魔晶端末をかざした。


------------------------------------

◇◆魔石サーチ結果◆◇

クラス:--

推定内包魔力:--

------------------------------------


「だめか……それっぽいんだけどなぁ……」


どうやらただの石だったらしい。


――待てよ?

てことは、一見普通の石でも魔石ってパターンがあるってことか?


うーん、物は試しだ。やってみるか。

目に付いた少し大きめの石をサーチする。

見た目はただの石だけども……。


------------------------------------

◇◆魔石サーチ結果◆◇

クラス:コモンクラス

推定内包魔力:60~80

------------------------------------


「えっ⁉ ま、魔石なの⁉」


どう見てもただの石なんだが……。

まあ、コモンクラスでも数百円くらいにはなるんだもんな。

とりあえず一個目をゲット。

ちゃりんちゃりーんっと。


それから目に付く石を片っ端からサーチしていくが、それ以降、魔石が見つかることはなかった――。


「ふぅー……、休憩すっか」


手頃な岩に座り、ゴブチーサンドを頬張る。

今日はコーヒーも持ってきた。


「うん、うまい!」


雄大な自然の中での食事は本当に癒やされるなぁ……。


あれ? これって……闇雲に探すよりは、区分けしてサーチしていく方が効率的なんじゃないだろうか。


確か……遺跡の発掘現場とか、警察の鑑識さんとかがやってるのをドラマとかで見たことがある。


本格的なやり方は知らないが……ま、物は試しだ。

簡単に決めてやってみるか。


ゴブチーの残りをリュックに戻し、俺は河原に足で目印の線を引いた。


「ま、こんなもんか」


大体、十メートルくらいのお宝発掘ゾーンを作ってみた。

そこからさらにマスの目みたいに細分化して線を引く。


「よし、今日はこのブロックの中だな」


一メートル四方くらいの小さなブロックだ。

だが、石は意外に多い。ついでに地中も少し探ってみるつもりだ。


「サーチが終わった石はどうするかな……」


このままだと、線が消えて何が何だかわからなくなるだろうし……。

次に来る時は、ロープ止め用の金具と紐でゾーン分けしておくか。


焦りは禁物。長引いて暗くなったらまずい。

今日はこのままこのブロックだけサーチして終わろう。


手早く石をサーチしていく。

うーん、これも駄目……これも……これも……。

ここも無さそうだよなぁ……。


ミニスコップで地面を削っていると、カチッと何かに当たる。


「おっ⁉ 石か?」


ピッケルで周りの土を掘る。

ルーン刻印の効果なのか、驚くほど簡単だ。

殆ど力を使っていない……。


「すげぇな、これ……」


手で土を払うと、大きめの石が出てきた。


「よっ……と」


とりあえず引っ張り出して川で洗ってみる。


「見た感じは普通……あれっ⁉」


何か水晶のようなものが、石の表面からほんの少し突き出している気がする。

もしかして、袋小路さんが言ってた石の中にある魔石か?


「たしかハンマーとタガネが……」


リュックから道具を取り出し、俺は慎重に石を割っていく。

一気に割るのではなく、ガイドのような溝を作りながら徐々に掘っていく感じ。

まさか、バーのバイトでロックアイスを作っていた経験が生きるとは……。

人間、何でもやっておくべきだな。


「おっ、割れた!」


パカッと二つに割れる。


「おぉ! 何かある!」


見ると、中に水晶のようなものが!


「これは来たでしょ!」


魔晶端末を向け、サーチする。


------------------------------------

◇◆魔石サーチ結果◆◇

クラス:スタンダードクラス

推定内包魔力:770~920

------------------------------------


「よっしぁ来たぁあああーーーっ!!」


いやぁ、運が良い!

ふぅん、内包魔力はこの前のより少ないのか。

でも、いいや、これも二桁万は堅いぞ!


このままだと周りの石が邪魔だな。

少し削ってっと……。


あまりやりすぎると魔石が割れちゃうかもだし、ほどほどに……。

ある程度周りの石を落として、俺は絶縁袋に魔石をしまった。


「順調、順調! さ、帰りますか!」


荷物を背負い、森へ入ろうとしたその時――


『キャイン! キャイキャイン……!』


「え?」


どこからか、犬が悲痛な声を上げているような声が――。


「犬⁉ え、でもこっちにも犬っているの……? まさか狼とか⁉」


獣同士で揉めているのかも……。

巻き込まれるのはまずいな……早く森を出よう。


足早に進む。

心臓の鼓動が早い。


焦るな……こういう時こそ冷静に……。

慎重に足場を確認しながらその場を離れる。


が、さっきの魔石で運を使い果たしたのか、まさに狼が小さな獣を囲んでいる場面に出くわしてしまった……。


「ど、どうしよう……」

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