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セカンドハウス魔王城 ~悩めるアラフォーおっさんの快適週末異世界暮らし~  作者: 雉子鳥幸太郎


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家具到着と赤竜肉のステーキ

「おっ、来た来た! おーい!」


バルコニーから大きく両手を振る。

小さい点だった飛竜が、ブワッと俺の上空を通り過ぎた。

凄まじい突風に身を屈めながら、バッカスが着地するのを待つ。


バッカスの背から、タシュさんとウルーさんが飛び降りた。

その後、アナさんがマスクを外して降りてくる。


「よぉ、クラキ! 待たせたな」

「いえいえ、とんでもないです」


「魔王城か?」

「魔王城⁉」


タシュさんとウルーさんがビクビクしながら辺りを見回している。

すると、アナさんが二人の背中を叩いた。


「ははは! 心配すんなって! クラキみりゃわかんだろ? こいつは魔王なんて柄じゃねぇさ。まぁ、酒はいける口だけどな」

「「……」」


「あはは……」


なんて雑な紹介……。

まあ、いいんだけど。


「よし、家具を運んじまうか」


アナさんが、大きな藁のようなものに包まれた荷物を解く。

ソファやテーブル、椅子などがその神々しい姿を見せる。


「おぉおおお! 素晴らしいっ!」


あのカタログ通り……いや、実際に見るとカタログの数倍は良い。

質感もさることながら、このデザイン……いやぁ、これが150,000wzなんてちょっと罪悪感がある。


「はは、気に入ったってよ。良かったなタシュ、ウルー」


「当然だろ」

「当然だね」

二人の猫獣人は得意げに胸を張った。


そして、二人は木材を手に、

「本棚はどこに?」

「本棚はどこです?」と聞いてきた。


「ああ、ご案内します」


俺はリビングの壁に二人を案内した。


「えっと、この壁一面に、本棚兼飾り棚を作っていただきたいんですが……」

「わかった。測るか」

「測ろう」


二人は頷くとすぐに作業に入った。

手際良く作業を進める姿を見ると、やはり職人さんだなと感心する。


「おーい、ソファはどこだ?」

「あ、はーい……っ⁉ す、すごいですね」


振り返ると、肩にソファを担いだアナさんが立っていた。


「言っただろ? あたしは力が強いんだ」

「そ、そうでしたね……あ、ここへお願いします」

「よっと……」


アナさんがソファを置く。

俺が椅子を運んでいるうちに、テーブルやサイドボードなどの大物は全部アナさんが運んでくれた。


「いやぁ、助かりました、ありがとうございます」

「いいっていいって、酒の礼だからな」


「ちなみに……今日もみなさんの分を用意してますんで」

「本当か⁉ クラキは良い奴だなぁ、おい!」

「ふぐぉっ⁉」

バシーンっと背中を叩かれ、思わず息が止まる。


さすが半分とはいえドワーフの血、恐ろしいパワーだな。

こんなに華奢で小柄だというのに……。


「お、棚も出来たんじゃないか?」

「あぁ、良いですね……! すごい、最高ですよ!!」


壁には想像の上をいく洒落た本棚が出来ていた。

やっぱり、ダークブラウンの木材は落ち着いた雰囲気が出るなぁ……。


「こんなもんかな」

「こんなもんだね」


「ありがとうございます! いやぁ、素晴らしいです!」


俺は二人に何度も頭を下げた。


「照れるな」

「照れるね」

二人は頭を掻いている。


「えっと、お代の方をお支払いしたいのですが……」


「これ」

「ここ」


タシュさんが木札を取り出し、ウルーさんが木札を指さした。

木札には紋章が描かれている。

支払用の紋章か……。


「ちょっと待ってくださいね」


俺は魔晶端末で紋章を読み込む。

そして、150,000wzを送金した。


「どうでしょう?」


「入った!」

「入ってる!」

二人は自分たちの魔晶端末を覗き込んでいる。


「あの、お礼といっては何ですが、食事と酒を用意しましたので良かったら……」


「メシ⁉」

「お酒⁉」

二人は凄い勢いで頷いた。


真新しいテーブルにウェザーマートで買った料理と酒を並べる。

基本はつまみ系だが、人気が高そうなものを色々と選んでみた。


「おぉ~! さすがクラキ、太っ腹だな!」

「うまそう!」

「おいしそう!」


良かった、喜んでくれてるみたいだ。


「どうぞ先に召し上がっててください。私はこれからメインディッシュをお作りしますので……」


「メインディッシュ?」

「なんそれ?」

「なんだろ?」


「まあまあ、出来てからのお楽しみです」


俺は一人キッチンに向かい、発注しておいた「特上赤竜肉ネック」を冷蔵庫から取り出した。ククク……。


ウェザーマートの商品説明によれば、赤竜のネック(首の部位)はステーキに最適なんだそうだ。王族用に出荷される部材でもあるらしい。


――よし!

この日のために培った焼きテクを披露するぞ!


まずはお肉を切り分けてっと……。

厚さは三センチくらい、分厚く切るのがポイントだ。

これで焼きすぎの失敗がほぼなくなる。


軽くキッチンペーパーで押さえたら、地球から持ってきた塩で下味を付ける。


フライパンに竜脂を滑らせて……。

まずは30秒、お肉の表面をしっかり焼いていくぞ。


――ジュワァーッ!


うーん、いい音。

さっそく食欲をそそる香ばしい香りが漂う。


人数分のお肉を乗せて……。

そろそろいいかな……。


反対の面も30秒。

ここで一旦、フライパンから肉を避けお肉を休ませる!

ゆっくりとお肉に火を通していくのがポイントらしい。


2分くらい経ったら、指で肉の弾力をチェック。

指でOKサインを作った時の親指の付け根の弾力と合わせることで、焼き加減を決められるのだ。


ミディアムレアくらいがいいので、この場合は中指でOKサインを作った時の弾力が目安となる。


二度目の焼きを行い、再度お肉を休ませる。

弾力をチェック……。


「うん、こんなもんかな……」


「おぉ! 旨そうだな!」

「肉!」

「お肉!」


いつの間にか、アナさんたちが目を輝かせながら後ろで見ていた。


「もうできますからね」


「早くしろクラキ!」

「急げ!」

「はやく!」


「ちょ……」


皿にステーキを乗せ、とっておきの秘密兵器を取り出す。

「ステーキしょうゆ」だ!


これはアナさんたちは味わったことがないはず……。

ふふふ、地球の叡智を十分に味わうが良い……。


だばだばーっとステーキしょうゆをかけ、赤竜肉の特上ステーキの完成だ!

(付け合わせは他のつまみがたくさんあるのでカット)


「できましたよー! さぁ、食べてください!」


テーブルに置くないなや、アナさん達はステーキにかぶりついた。


「――んんっ⁉」

「「⁉」」


雷に打たれたようにアナさん達が硬直する。



「「「う、うまい……!」」」



そこからはあっという間だった。

余程気に入ってくれたのか、結局、赤竜肉がなくなるまで俺はステーキを焼き続けることになった……。

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