表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカンドハウス魔王城 ~悩めるアラフォーおっさんの快適週末異世界暮らし~  作者: 雉子鳥幸太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/52

下見

軽トラに乗り込み、ドリンクホルダーに瓶を置く。

エンジンを掛け、いざ出発だ――。


草原は思ったよりも走りやすかった。

ただ、石もあるので、あまりスピードは出せない。


「まあ、のんびり行くか……」


しかし、良い天気だなぁ。

窓を開け、肘を置く。


方角はこっちであってるはずだよな……。

草の海をまっすぐに進んでいくと、遠くに大きな木々が見えてきた。


「お、あれっぽいな、大体10分くらいか。結構近いな」


これくらいの距離なら通いやすい。

練習にはもってこいだ。


俺は森の手前で車を停めた。


車を降りて、森を見上げる。

近くで見ると、木は相当背が高い。

幹の方にはあまり葉が無く、てっぺんに葉が集まっていた。


森へ続く道はなさそうだ。

草原から急に森に変わっている。


少し入ってみるか?

いや……準備を整えてからにしよう。

遭難だけは避けたいからな。


入りたい気持ちを抑え、俺は森の端から中を覗くにとどめた。


「普通の森っぽいな。特に変な感じはしないか……」


よし、雰囲気だけでも十分だ。

軽トラに乗り込み、森の周囲を走ってみる。


しばらくすると、遠くに岩壁が見えてきた。

たしか、地図だとあそこが川になってるんだっけ。


岩壁は高く、とてもじゃないが俺には登れそうにないな。

ま、今日はこんなもんか――。


俺はUターンして、魔王城へ戻った。



    *



城へ戻ると、ちょうどバッカスがルーフバルコニーに降りたところだった。


「おっ、アナさん達だ」


急ぎリビングに向かい出迎える。


「お疲れさまです」

「待たせたな、ほれ、注文のやつ」


アナさんがマスクを取り、金色の髪をかき上げた。


「ありがとうございます! おぉ~、これが採掘セットか……!」


木箱に入った魔石採掘セットを物色する。

おぉ~、ピッケル格好いいな。ルーン刻印ってこれのことか?

しまった、ホルダーとかも買えば良かったか……。


「クラキって、ホントに魔石掘るつもりなんだ?」

アナさんが俺の顔を覗き込み、不思議そうに言った。


「え、ええ、まずは、この近くの森で始めようと思いまして……」

「大丈夫か? 死ぬなよ?」


「え……そんなに危険ですかね?」

「いくら小さかろうが森は森。人間なんて自然の前じゃ無力だぞ?」

「そ、そうですよね……」


しかし、こればっかりはやるしかないもんなぁ……。

人を雇うにしても、まずは自分で経験しておかないと。


「ガイド雇うにしても、変な奴を雇うとそいつに襲われることもあるからな」

「えっ……」


「まあ、少しずつ探索範囲を広げていくのがいいな。自分で目印や地図を作るくらいはやった方が良い」

「なるほど……ありがとうございます」


「ま、頑張りな」

アナさんは、俺の肩をポンポンと叩き、

「あ、来週家具が届くぞ」と思い出したように言う。


「えっ! もう出来たんですか⁉」

「みたいだな、昼くらいに持ってくるから」


「わかりました!」

「じゃあ、今日は戻るわ。ちょっと用事があってな」


「そうですか、わかりました」


ちょっと残念だな。

一緒に飲めるかと思ったが……忙しいんだろうな。


「じゃあ、来週な!」

「はい! お待ちしてまーす!」


飛び立つアナさんに大きく手を振る。

小さくなっていくバッカスとアナさんを見届け、俺はリビングに戻った。


買った道具を並べて、質感を確かめる。

うーん、かなり良い気がする。


これであの値段ならお買い得だよなぁ……。


安っぽい感じもしないし、何よりこのリュック!

めっちゃ不思議! どうなってんだこれ⁉


全部の道具を入れても大きさが変わらない。

背負っても、何も入ってないみたいに軽い!


これが魔導補助か……。


試しに冷蔵庫の中の物を全部入れてみた。


「すげぇ……いくらでも入る……」


広げて中を覗いてみると、空中に入れた物が浮いていた。

何なんだろう、この空間は……。


まったく意味がわからないが、とにかく便利だ。

これなら食料もかなり持って行けるな。

うん、良い買い物をした。


あとは、これだ。

魔晶端末の箱を取り出す。


箱には魔法使いのお爺さんの絵が描かれている。

何か凄そう。


箱を開けると、黒い石版が入っていた。


「意外と軽いな……」


これなら持ち歩くのも便利だ。

ポケットに入れても気にならないだろう。


箱の中に説明書が入っていた。


えーっと、まずは設定からか……。

『両手の指を石版に押し当て、版面に魔方陣が現れたら名前を唱えてください』と書いてある。


俺は両手の人差し指を押し当て、少し待った。

緑色の魔方陣が浮かび上がる。


「おぉ! えっと名前だな……倉城 渉(くらき あゆむ)!」


魔方陣が回転しながら消える。

そして、下の端から緑色の炎が立ち上り、初期画面になった。


「へぇ、格好いいエフェクトだな。これも魔導ってやつなのかな」


もはやスマホと変わらない。

操作も直感的にわかるぞ……。


アプリセンターから目的のアプリを投影してください、か。


「えっとどれだろう……お、これだな」

ウェザーマートのロゴが入ったアイコンを見つけた。


ウェザーマートアプリと連携をしてっと……。

ものの数秒で連携が完了した。


おぉ~……スマホより早い。


あとは、支払いのやつってどうやるんだろう?

説明書を見ると、コインマークのアイコンから読み取るように書かれていた。


「これか?」


金貨っぽいイラストの描かれたアイコンに触れると、石版に四角い枠が表示された。


「あぁ、枠の中に紋章を入れるのか、この辺はQRと同じでわかりやすい」


うん、これなら俺でも使えそうだ。

スマホはこっちでなくしたらヤバいもんな……。

今度からスマホは地球宅へ置いておこう。


「ビール、ビールっと……氷壁(ICE WALL)にするか」


とりあえず一段落したってことで、やっぱりこれだよな。

氷壁(ICE WALL)を開け、グイッと一口。


「くぅ……くぅううう!」


脳天を貫くような刺激――。

かあぁああ、これ凄いな!


恐ろしく冷えているが、ちゃんとホップの風味が鼻から抜ける。

常温でもいけそうだ。


「こりゃアナさんも気に入るわけだ……」


よし、着々と準備が整っている。

来週は家具も届くし、後は魔石採掘をスタートさせて、余裕ができたら畑も作りたいよなぁ……。


俺は寝室へ行き、ベッドに横になった。


「いやぁ、こっちのベッドは広くて天国だな……」


大の字になり、天蓋を見つめる。


準備が進んでいるのはいいが、そうのんびりもしてられない。

いくらこっちが安いとはいえ、かなり買い物してしまったからな……。


地球に戻ったら、バイトでもするか?

うーん、デリバリーとか?


少しでも稼げればこっちでの資金になるもんな。

あれだけ働きたくないって思ってたのに、人間って目的があれば変わるもんだな……。

この俺が自らバイトをしようと考えるなんて。


思わず吹き出しそうになる。


さ、もう寝るか……。


俺は大の字になったまま、眠りに落ちた。


★毎日お昼12時更新中★

気に入ってくれた方はぜひブックマークや評価をいただけると励みになります!

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ