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調査任務(2)

 ズシンとポッドが大きく揺れる。


「着いたみたいね」


 SP消費リストと睨めっこをしていたクオンは、自分が調査基地に到着した事実を感じとった。


『肯定。到着と同時に、基地に関する機密情報が解除されました。閲覧しますか?』

「基地のスレイブユニットに関する情報は表示できる?可能なら私と同水準のスレイブが、処理している任務を生存率が高い物から順に表示」

『了、スレイブユニットの稼働状況と任務ごとの生存率を表示します』


 スクリーンに映るサクヤが軽く手を振ると該当情報が大きく表示される。

 アバターを動かす必要がないと思うのだが、何故か律儀にスクリーンに映るアバターを動かし存在をアピールしてくる。クオンとしては、処理の無駄遣いしていると思わなくもないのだが、無機質に対応されるより百倍マシなので黙っておく。


「スレイブの稼働状況は事前情報通り低いね。要因はロストが16%、外傷による治療が54%、隔離30%か。思ったよりロストが少ないけど、隔離対象が多すぎるかな?原因は分かる?」

『肯定、ログを精査……三日ほど前に、とある調査部隊に参加した全ユニットのステータスが丸ごと変更されています。恐らく調査中に未知のモノに接触したと思われます』

「詳細は調べられない?」

『該当情報の取得に必要な権限が不足しています』


 予想通りの返答を受け、クオンはシートにもたれ掛かる。

 下っ端には重要な情報は流れて来ない。当然の事だ。

 しかし、自身に関わる情報を得られないのは、生存を戦略に置いて非常に不利であるのは間違いない。やはり自身の権限を高めるのは急務だろう。

 クオンの記憶では、アクセスレベルの上昇にはSP 500が必要だった筈だ。

 現在の保有はSP 1185。元々、SP1200を保有。

 AI機能拡張で「-100」サンプリング任務で「+20」、激マズレーションで「+10」、戦闘訓練で「+55」 を獲得している。

 アクセスレベルを高めるのは、急務だがこの状況で四割の消費は厳しすぎる。


「SP消費以外でアクセスレベルをUPする方法ってある?」

『該当情報の取得に必要な権限が不足しています』


 サクヤの回答にガックリする。

 だが、情報は得た。SP消費以外でアクセスレベルを上げる方法は存在する。でなければ情報を伏せる意味がない。

 やっぱりと思いつつ、条件はなんだろうかと思考を巡らせる。


『ユニット不足による基地の処理能力が低下しております。その影響で当基地のミッション報酬が10~20%程に引き上げられているようです』


 クオンの思考を遮る形で、サクヤから新しい情報が投下される。


「ミッションを処理する件数を上げろってことね。私が処理できそうなのは?」

『現状の技能レベルで処理可能なミッションは三件、いずれも調査任務です。生存率がもっとも高いのは、原生植物や希土類の採取ミッションになります。報酬はSP72』

「装備は支給される?」

『肯定。調査用の専用装備が貸与されます』


 スクリーンに支給される装備の情報が表示される。

 ご丁寧に人型のシルエットにオブジェクトを表示してくれたので、クオンは一目で内容を把握できた。

 サンプル収集用キットと専用バックパックに加え、携帯武器としてレーザーガンとコンバットナイフ、更に情報取得用のインカムが支給されるようだ。


「支給されるのは本当に最低限の装備ね。防護服とヘルメットへの装備変更は可能?」

『大気&細菌防護を考慮した装備一式であればSP3で変更可能です』

「なら、消費して装備変更」

『了、データを元にミッションに最適な装備を選択します』


 クオンの要求に従い、スクリーン上の情報が更新される。

 現在のプラグスーツから肌の露出を無くしたプラグスーツへと変更されている。他にも頭部からインカムが取り除かれ、ヘルメットがセットされる。


「サクヤ、他に追加した方がいい装備の提案はある?」

『時間の短縮のため、移動用バイクとドローンパックの利用を提案します。SP10』



 サクヤの声に合わせてスクリーンの情報が切り替わる。

 今度、表示されたのは無骨なコンテナを左右と背面に装備した二輪駆動車だ。


「エアバイクはないの?そっちの方が安全性も高そうだけど」

『現在、当施設のエアユニットが不足しております。スレイブランクの高いユニットに優先権があるためミッションでの使用は不可能です。当施設周辺で単独で行動する場合、最適解になると思われます』

「それならコレで行きましょう。バイクのコンテナ群は採取ドローン?」

『肯定、左右のコンテナにそれぞれ三機の採取ドローンが格納されています。背面はサンプルの追加格納コンテナになります』

「ん?採取量が増えるなら短縮にならなくない?」


 貰えるSPが変化しないのであれば採取量が増えた分、時間をロスすることになる。活動時間が限られているクオンとしては、時間管理はしっかりとしたい。


『採取量を増やさない場合、関連装備の貸与にSP20が必要となります。計算上では採取量を増やした方が効率的です』

「ミッションに必要な装備を増やすだけで私のSPが消えていく」


 返答を聞いて、やれやれとシートにもたれ掛かるクオン。

 成功すればミッションの消化実績とSP 72を入手。しかし、安全と効率のために報酬のおよそ二割を消費しなければならない。

 何とも世知辛い。


『安全確保の為には必要な経費です』

「分かってる。変更はないからリクエストをお願い」

『了、バイク及びドローンの利用に対し技能情報のインストールが必要です。追加でSP10を必要としますが、よろしいですか?』

「それ拒否権ないよね」


 更なるSPの消費要求にクオンが眉を顰める。


『否定、拒否権は与えられています』

「装備を使えなくなるなら拒否しても意味ないでしょう。もういいからさっさとインストールして」


 無機質な返答をするサクヤに、ヤケクソ気味に応えるクオンだった。

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