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異世界日記4日目〜ツノヤロウと煙毛虫との出会い〜

〜異世界転移より4日目〜


俺はトカゲ竜の集合体から神殿を奪還するため、SNSで視聴者に討伐方法について問いかけていた。


すると、貴重なコメントが1件。いいねは0。


俺のアカウントなんてどこの誰よりも過疎っているだろう。どうやって見つけてきたか本当に疑問だ。


(神様の思し召しか?そうに違いない。ありがとう神様。ありがとうみんな。ありがとう俺)




それにしても、親切な視聴者もいるものだな。世の中捨てたもんじゃない。


その視聴者様によると、『範囲魔法をぶっ放せ!(俺訳)』とのこと。


(なるほど。それはいい考えだ。さすがだ。俺は思いつきもしなかったよ)


「よし、その案乗った!」


俺は頭の隅々まで思考を巡らせ、具体的な討伐計画を考えた。そして1つの結論に辿り着いた。


◻︎◻︎


「俺、魔法使えなくね?」


(節穴だった。そういえば俺、魔法使えなかったんだ)


(え?異世界に来たのに?だろ!)


俺だってそう思う。そりゃ俺だって魔法使えてたら使ってるって!魔法使えるのが異世界の醍醐味だろ!


「ねえ!お願い!魔法の使い方教えて!ねぇ、お願い!知ってるんでしょ?本当にお願い!」


俺は目の前を横切ったツノの生えた小型モンスターに手を合わせて懇願する。すると、モンスターは威嚇されたと勘違いしたのか、突進モードに入り俺にツノを向けてきた。


「嘘嘘嘘!ごめんって!」


俺は咄嗟に謝る。


(あぁ、やっちまった)


頭のおかしい俺の悪い癖だ。


あんなにトラブルを避けてここまできたのに!ここに来て連続で戦うのはきついって。


「嘘だから!ごめんって!怒らないで!」


俺の声は全くもって届いていない。ツノヤロウは足で地面を強く蹴り、一直線に俺へと向かってきた。


「ちょ、あぶな」


俺はツノが刺さる寸前で真上に飛び上がり、危機一髪回避する。



ーードサッ



「危なかったぁ」


ツノヤロウは勢い余ってそのまま木にぶっ刺さる。その衝撃でその木の葉にくっついていた金平糖のような虫がパラパラと落ちてきた。


「うわ!最悪!こいつら触るとバチバチするんだよ!」


俺は上から落ちてくるキラキラと輝く魔虫を避ける。こいつら見た目は可愛いくせに特徴は全然可愛くない。


ーーバチッバチッ


しかしその数は多く、避けきれずに俺に降りかった。


「痛っ!ほら!バチってくる!ほら!痛っ!!」


どうやら奴らは電気の特性を持っているようで、触れると体感、静電気の5倍くらいの電気と痛みが走る。


「電気痛すぎだろ!」


俺は電気が走った部分をさすり異常がないか確認する。腕に穴が開いててもおかしくない衝撃ではあったが、どうやら皮膚は無事のようだ。


(いいよなぁ。お前らは、そんな特性持ってて)


俺だってせめて特性でもあれば……。




って……特性?


「あぁ、そうか!特性だ!俺が魔法使えないなら、こいつらに代わりに使って貰えば良いんじゃん!」


「よし!」


◻︎◻︎


俺は使えそうなモンスターや魔虫がいないかあたりを見渡す。すると木に突き刺さったツノヤロウを見つけた。


「あ、ごめんごめん、忘れてた」


ツノヤロウは木の幹に深く刺さったまま自力で抜け出せなくなっている様子であった。


(自分で処理できないなら突進なんてするなよな)


「どの口が言ってる!」


(なーんて。まぁ、待ってなって)


俺はツノヤロウのお腹を両腕で掴み、足を地面に固定する。


「せーの!!」


俺は大きなかぶを引っこ抜くお爺さんの気持ちになり一生懸命ツノヤロウを引っ張った。


「ぐぅぅぅ」


「それでもツノは抜けません!」


「おりゃあああぁぁ」


俺は全体重を後ろにかける。足、腕の筋肉全体を硬く強くさせるイメージで全力で引っ張った。


「きたぁぁあ」


少しずつツノが抜けてきた。


「あと少し!!」


俺はさらに筋肉に力を込め、強く引っ張り最後の一押しをする。


ーーズザッ



「抜けたぁぁぁ!」


俺はその勢いのまま後ろに飛んでいく。後頭部と背中に鈍い痛みが走った。


「いてぇ」


ツノは抜けたが、俺は勢い余って後ろの木に激突した。ツノヤロウは俺に見向きもせずにそそくさと茂みに逃げていった。


「ちょ、おい!ありがとう言えよ!」


(まったく、あいつらは礼儀がなっていない)


「まぁいい」


まだ後頭部には鈍い痛みが残っている。


(くそいてえ)


俺は頭を気にしながらゆっくりと立ち上がった。


すると背中にチクッとした痛みが走る。


「いてえ!今日痛いことばっかなんだけど!」


すぐに後ろを振り返る。するとそこにはこの世界に来て初日に見た煙毛虫がいた。


「そういやぁ、こんなやつもいたっけ」


相変わらずその毛虫は口から煙を吐いていた。


「もしかして、この煙使えるんじゃね?」


(ゴキブリも煙で倒すことあるよな?ないか?俺は特に根拠はないが、なんとなく使えそうな気がしたため、そいつを捕獲することにした)


◻︎◻︎


「って全然取れないんだけど!」


煙毛虫は木にびっちりとくっつき、ちょっとやそっとじゃ剥がれる様子はなかった。少し触るだけで奴の全身を包んでいるサボテンようなトゲが刺さってそれがかなり痛い。これは一気にやってしまった方が良さそうだ。


「この際仕方ない!すまんな!」


俺は勢いよく煙毛虫を木の幹から引き剥がした。


「あっぅぅ!」


煙毛虫の本体を引き剥がすこと成功した。しかし、毛虫の煙の部分に指が触れたようで、その熱さに指が驚き咄嗟に煙毛虫を投げてしまった。


ーーバンッ


爆竹のような音が響いた。


「うおお」


俺は突然の音に驚きその音の方を咄嗟に見た。

どうやら煙毛虫が爆発したようだ。


「え、あいつ爆発する感じ?」



ここまで読んでいただきありがとうございます。


今日も1日お疲れ様でした。

花粉がひどいみたいですね。季節の変わり目で温度差も激しいので、みなさん体調には気をつけてください。


皆様の応援が力になります。もし良かったら評価やブックマークをお願いしますm(._.)m

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