表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/12

異世界日記4日目〜トカゲ竜激怒、視聴者に助け求ム~

~異世界転移4日目~


俺は神殿の中を探索していた。


神殿の奥には石でできた7つの扉があった。しかしどの扉もずっしりと重く、押しても引いてもびくともしなかった。扉は大小形様々であり、ただのシンプルな石の扉もあれば鍵穴がついているもの、エジプトのピラミットの中の壁画にあるような古代文字や絵が刻まれたものなど、1つとして同じ見た目のものはなかった。


どの扉も俺に心を開いてくれていないようであったため、俺は試しにかの有名な魔法の呪文を唱えてみた。


◻︎◻︎


俺は腹に力を入れ、大きく大きく息を吸う。神聖な空間に緊張感が走る。


(では、参ります。みなさんせーの!)


「開けーごまあああああ!」


(いけえええええ!)


俺は大声で叫んだ。



ゴマァゴマァアァ(神殿に響くこだま)


「……」


俺の威勢の良い声は儚く(?)神殿の中にこだました。俺の気持ちを表すかのように、悲しみは静かに沈み、あたりは静寂に包まれた。


◻︎◻︎◻︎◻︎



「仕方ない」


俺は手に精一杯の愛を込めた。


◻︎◻︎


「しつれいしまーす。診察させていただきますね」


俺はベタベタとその扉を撫で繰り回した。


(こういうのにはどこかに隠しスイッチみたいなのがあるかもしれないからな)


しかし何の発見もないまま、俺の手の残像と熱は冷たい扉の奥へ奥へと吸い込まれていった。


◻︎◻︎


「くそ、諦めるしかないのか」


俺は四つん這いになりその悔しさをこぶしに込め、床を叩いた。


「いてえよ。いてえよ。俺の心が」


静寂の冷たい目が俺を見つめている。



「……」


「なーんて。こんな茶番は置いといて……。これからどうすっかなー」


俺はふざけるのは辞め、自分でも驚くほどの切り替えの早さで次のことを考え始めた。


「とりあえず拠点は見つかったわけだし。食料集めかなあ。緑石実ももうないし。暗くなる前に取りに行っときたいよな」


俺はそんなことを口にしながら入口に向かって歩いた。


◻︎◻︎


ーーグニャ


外に出た瞬間、足裏より柔らかい気持ちの悪い感触が伝わってきた。


それと同時に足元より『ギギィィェ』という気色の悪い鳴き声が聞こえた。


嫌な予感が脳裏をよぎる。


(まさか……)


「ひゃああああ」


俺の足から顔を出したのはぺっちゃんこになったトカゲ竜であった。こいつらは、俺の来た道でも毎度のごとく出会うどこにでもいる顔見知りである。名前のごとくトカゲのように小さくティラノサウルスのような見た目をした小型モンスターである。色は緑色に近い感じかな?目はきゅるんとしており中々に可愛らしい。しかし、その可愛らしい見た目とは裏腹に、鋭い牙を持ち、自分たちより大きなモンスターを集団で襲い食い尽くす。


(そういや、こいつらは戦闘態勢に入ると目が燃えるように真っ赤に……)


時すでに遅し。仲間が瀕死にさせられたと知ったトカゲ竜たちの目は真っ赤に変色し次々と仲間を呼び増殖していた。あっという間に数は増え、トカゲ竜たちは折り重なって巨大なモンスターと化した。


(まるで小さな目がいっぱいついたスライムって感じだな)


俺が、そんな呑気なことを考えていると奴らは液体のようにぐにゃぐにゃと全体を変化させ、ギチギチと気持ちの悪い音を立てながら動き出した。


ぐにゃんとスライムのように下一部が伸び広がり、俺の足元から襲い掛かろうと近づいてきた。


(動きまでスライムかよ)


俺はとっさに後ろに飛びずさった。


一応腰に差してあった木の棒(メイン武器Lv1)とポケットに詰め込んであった小石(サブ武器Lv1)を巨大スライムもどきに向かってぶん投げた。的は大きいため外すはずはないと思っていたが、当たる寸前に穴を作り、綺麗に避けられてしまった。


「くそ」


俺の手から離れた相棒たちは、むなしく地面に転がりそのまま自然に帰っていった。


「ごめんな。今までありがとう。相棒たち。お前たちとの別れは本当に悲しい。俺、強くなるから」


そんな捨て台詞を吐き俺はその場から一目散に逃走した。


◻︎◻︎


「きえええええ」


俺は奇声を発し、目の前だけを一心に見つめ、振り返ることなく巨大化したトカゲ竜たちから走って逃げた。


数十メートルほど走ったところでゆっくりと後ろを振り返る。


「よし。振り切ったみたいだな」


「それにしてもあいつらキモすぎだろ。ギチギチ折り重なりやがって。正気の沙汰じゃない」


トカゲ竜たちは追いかけてくることはなかった。おそらく巨大化する代償でスピードはさほど出ないのだろう。


「これからどうすっかな」


トカゲ竜は一度敵とロックオンした相手には、仲間が全滅するまで戦い続けるという驚異の戦闘魂を持ち合わせていらっしゃるようであった。森の中で何回その場面に遭遇したか。


(おそらく俺がいる限り、奴らはあの神殿からどくことはないだろう。どうせ戻ったところでまた襲われるのが目に見えている)


「まいったな」


(こういう時は?)


「SNS!」


(とりあえず投稿しておいて損はない。こういうモンスターの倒し方は俺より詳しい奴がいっぱいいるだろう。こういう時こそ視聴者ににあやかろうじゃないか)


俺はすぐに現状を発信し助けを求めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【やばいです!!!!神殿の中を探索していたら前にみたトカゲ竜がいたんですけど、いるの知らずに1匹踏んじゃって、怒った仲間がどんどんと増えてって集合体みたいな1つの大きなモンスターになったんです!】


【死に物狂いで急いでにげたんですけど……。追いかけてくる感じはなかったけど神殿に戻ったらまたい威嚇してきて。(何もせずに助けを求めてると思われたくないので盛っておこう。たぶん嘘じゃないし)。見た目は本当に気持ち悪かったです。あそこには湧き水があるのでどうにか追い払いたいんですけど、異世界に来たくせに魔法も使えないし武器になりそうなものもなくて。集合体のモンスターってどうやって倒せば良いんですかね?】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


とまあ、こんな感じで良いだろう。ちょっと大げさでたぶん要素も盛り込まれているが、切迫感があって良さそうだ。


俺はしばらく投稿にコメントがつくのを待った。


さほど時間はかからずコメントがついた。


「よし!きた!」


コメントは1件。俺は期待に胸を膨らませコメントを読む。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【知らんよ、範囲魔法で消し飛ばせばよか】


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(しかもしっかりモンスター討伐のアドバイスじゃん!感謝!感激!)


「なるほど!範囲魔法ね!ムフムフ、範囲魔法……。ん?範囲魔法?」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

少しずつ主人公らしさが出てきました。


毎日続けることを目標に!頑張ります!何かあればご指摘よろしくお願いします。

皆様の応援が力になります。少しでも良いなと思ったら評価やブックマークをお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ