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異世界転移4日目〜トカゲ竜撃退〜

~異世界転移4日目~


「爆発ってなんか使えそうじゃない?」


俺は足りない頭で考えた。そして誰でも思いつくような考えに辿り着く。



「こいつらを集めて一気にドカンだ!」


◻︎◻︎


思い立ったら吉日、俺はすぐさま煙毛虫採取に向かった。俺は森中を必死に駆け回った。虫採取に真剣になるなんて何年ぶりだろう。まるで子供に戻ったようだった。


◻︎数時間後◻︎


「ふう、こんなもんか?」


俺の体は擦り傷や噛み傷でボロボロになっていた。


(でも俺にはこの戦利品がある)


(これでトカゲ竜を追い払えるならこんな傷、屁でもないわ!)


(それにしても時間をかけすぎてしまった。日が暮れる前に倒さなければな)


俺は急いで捕獲した煙毛虫こと“ケムリン”を目の前に並べた。


「さて、数えるか。1、2、3……」



「って5匹しかいないんですけどー!」


俺は死に物狂いでケムリンを採取した。しかし、そう多くはいない魔虫だったようで、5匹のみしか採取できなかったのだ。


(体感50匹は捕獲してたんだけどな)


「しかし、こんなんであいつと戦えるのか?でも仕方ない。これしか捕獲できなかったのだから」


「ええい!とりあえずやるしかない!」


俺は気持ちを切り替え、爆弾作りのためにそこら辺にあった雑草やツタ、石、木の棒を集めてケムリンと共に並べた。



(準備完了だ)


「爆弾製造開始!」


俺はあぐらをかき、手作り爆弾の作成を開始した。ケムリンが爆発しないように慎重に作業をすすめた。そしてついにその時はきた……。


◻︎◼︎


特別にケムリン爆弾の作り方を教えよう。

1、木の棒の先にケムリンをツタで巻き付ける。

2、その棒におもりの石と草も巻き付ける。(草は燃えてダメージになるかもしれないからな)

3、5本同じように作り、全部をツタでくっつける。

4、爆弾っぽく草とツタでぐるぐる巻きにしてまん丸くする。


◻︎◼︎


「完成!ケムリン爆弾(Lv1)!」


「ハハ、どうだ。俺はついに爆弾を手にした。恐れおののけ恐竜ども」


◻︎◻︎


俺はそのケムリン爆弾(Lv1)を大事に抱え、トカゲ竜の元へ向かった。


やはり奴らは神殿前で俺を待ち構えていた。俺が戻ってくるとを確信していたように。


個々で散らばっていたようだったが、俺に気づいた瞬間に目の色を変え、集合体になって俺の目の前に立ちはだかった。


「でたな!化け物!これでもくらえ!」


俺は爆弾を両手で持ち、頭上高くに掲げる。そして思い切り体を後ろに反らせ、反動をつけてトカゲ竜の集合体に投げつけた。


「いっけええええええ!」


俺は先ほどの反省点を活かし、直接ぶつけるのではなく少し手前の地面を狙った。



――ドカン


ものすごい音ととも爆発が起き、熱と爆風がトカゲ竜たちに直撃した。


「ギィィィィィエエ」


爆風で手前にいたトカゲ竜たちが吹き飛び、気味の悪い奇声を発しながらそのまま集合体は崩れ落ちた。


「ま、まだやるか?」


俺は倒せなかった後のことは考えていなかった。トカゲ竜が再び集合体になった時、焦りを見せないよう威勢だけは張っておいた。


「え?」


どうせまた集合体に戻るんだろうと思っていた俺は、その光景を見て驚きを隠せなかった。


なんと、トカゲ竜たちは再集結することなく、何故かそのまま散り散りに逃げて行ってしまったのだ。


「は?」


俺は上手くいくとは思っていなかったため散っていくトカゲ竜たちを見ながらその場に呆然と立ち尽くす。


◻︎◻︎


「え?上手くいった感じ?」


俺はあまりのあっけなさに、逆に大丈夫か不安になってきた。


(俺、骨の髄までしゃぶられる覚悟をしていたのに……)


(俺がビビりすぎてただけか?)


どうやら俺は、ひたすらにモンスターから逃げているうちに、弱い敵もとてつもない強い敵だと錯覚してしまっていたようだった。




(まあ、とりあえずは……)



「初モンスター撃退!やればできるじゃないか!」


これは視聴者のアドバイスさまさまだな。


範囲攻撃って言われなければ、俺はちまちまと攻撃していただろう。そして撃退できず、そのまま日は暮れてしまっていただろう。


(感謝!感激!魂の震え!)




「いやぁ、でもケムリン5匹でこんなにも威力が増すものか?相乗効果でもありそうだな。それとも爆発力の強い特別なケムリンでもいたのか?」


「まあ、とりあえず……拠点奪還成功!」

俺は勝利のガッツポーズをした。


俺は嬉しくなり、すぐにモンスター撃退の報告をSNSへ投稿した。


「うれしいー!俺、もしかして強い?」


俺は浮かれきっていた。


◻︎◻︎



「ん?」


すると突然何かに見られているような気がした。俺は咄嗟に後ろを振り向く。




しかし、そこには誰もいなかった。


「気のせいか……」



(気のせいだよな……)


俺は少し怖くなったがすぐに切り替える。


「……それにしても!俺でもモンスターと戦えるんだな!」


俺は嬉しさを噛み締めながら、その足で神殿の前まで歩いた。


神殿前には焦げたトカゲ竜の亡骸が散らばっていた。


「なんだか香ばしい匂いが……」


しばらく肉を食べていないせいか、鼻と頭がおかしくなっていた。


数十匹程は丸焦げになっていたが、所々丁度良い具合に炙られていたトカゲ竜がいたため、試しに一口食べてみた。


◻︎◻︎


「うん。意外といけるかも!」


トカゲ竜はまるでホタルイカを炙ったような触感で意外にも食べることができた。最高に旨い!とまではいかないが、これでタンパク質がとれるなら十分だろう。


俺は貴重な食料を拾い神殿に持ち帰ることにした。


「食料ゲット!」


今日は水も食料も確保できて最高の日だ。かなり疲れたが……。


「って忘れてた!喉乾いてたんだった!」


俺は急いで神殿に戻り水分を補給した。


「最高!」


◻︎◻︎


「ってゆっくりしてる暇はない!日が沈む前に急いで緑石実採取しないと!」



どうも、あの緑石実がないとやっていけない体になってしまったようだ。


(体が、心が、欲してしまっている。この疲れ切った体に……。あの果汁を……。


俺の体はあの味が忘れられなくなっていた。



(って万能薬じゃないって何度言ったら分かるんだ)


何度言ったら分かるんだ、真白。頼ってばかりじゃだめなんだよ。本当に無くなった時に取り返しがつかなくなるだろ?


俺は自分に言い聞かせた。



「ま、まぁ、どちらにせよ?あるに越したことはないよな?」


俺は、緑石実に頼りきってはいけないと思いつつ、何かあった時のためにととりあえず採取しておくことにした。夜は何かと不安だからな。


◻︎◻︎


「よし、こんくらいあれば十分だろう!」


俺は急いで緑石実を採取しに戻り、ついでに食べられそうなきのみや果実も採取しておいた。


欲張って少し大量になってしまったが、なんとか持ち運び、俺は神殿に戻ってきた。


◻︎◻︎


俺はやっとのことで神殿に到着した。


「はあ。疲れたあ」


日は沈みはじめ、あたりは薄暗くなってきている。


俺はやっと落ち着くことができ、ゆっくりと腰を降ろした。


「疲れたぁ。本当に今日は濃い1日だったな」


俺はあっという間に過ぎた今日1日の出来事を振りかえる。


それにしても、屋根がある安心感は最高だ!


しかも水も食料も確保できたし!4日目にしてかなりの進歩じゃないか?


今日は本当に疲れた。足も腕も疲労がものすごい。明日はゆっくりしよう。


「っとゆっくりする前に日記!」


俺は急いで今日1日の出来事を日記に書き、SNSに投稿した。一つ前の投稿は視聴400を超えていた。しかし、その後のコメントは特になし。



「でも、発信をし続ければ今日のように誰かしらは助けてくれそうだ」


しかし毎回アドバイスをもらえるなんてそう上手くもいかないだろう。少しは自分で何かを考えて行動できるようにならないとな。




「ってやば、眠すぎ……」


俺は急に睡魔と疲労に襲われた。緊張が緩んだからか、今日1日の疲労が一気に体に重くのしかかってくる。睡魔に抗えず俺はそのままスマホを持ったまま寝落ちしてしまった。




ここまで読んでいただきありがとうございます。


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