白百合姫
あるところに女性しか愛せないお姫様がいました。
「駄目です。姫様。このようなところで」
「僕は全然かまわないけどね。それに君だってこんなに体は反応しているじゃないか」
「そ、それは姫様が御触りになるから・・・」
「それは僕が触るから悪いって言いたい訳?それとも君が触られて反応してしまう淫乱な女だと言いたい訳?」
「違います!私は淫乱なんかじゃ・・・」
「ごめんごめん。僕が悪かったよ。君は淫乱な女なんかじゃない。淫乱な女は僕の方さ。だから、僕が君を滅茶苦茶にしても僕が悪いんだ。許しておくれ。君がどんなに乱れても君のせいじゃない。だから・・・」
「駄目です、姫様・・・ん、あっ・・・くっ・・・ああ・・・」
お姫様は王宮中の女性という女性を食い物にし、王様をほとほと困らせておりました。
困り果てた王様は友人の魔法使いに相談しました。
「どうしたものかのう?」
「では、姫様に、魔法をかけてしまいましょう。貴様ら姫様をここへ連れてまいれ」
「うきゃ♡」
魔法使いがちっこい猿型のかわいい僕たちに命令を下すと、すぐにお姫様は捕まえられて連れてこられました。
「やめろ。放せ!放すんだ!」
「うるさいですね。黙らせなさい」
「うきゃ♡」
ドスッ。
「ぐふっ」
猿型の僕がお姫様の腹にいいパンチを一発入れると、お姫様はぐったりとなって静かになりました。
「して、いかような魔法をかけるのじゃ」
「姫様を男にします」
「ほう」
「しかし、美形ではそこら中の女に手を出しかねませんので、不細工にします」
「なるほど」
魔法使いがちゃちゃっと魔法をかけるとお姫様はブ男になってしまいました。
「それでは起こしなさい」
「うきゃ♡」
猿型の僕がお姫様の顔を往復ビンタし、水をザバーっとかけるとお姫様は目が覚めました。
「うっ、ひどい目にあった。僕は一体・・・」
お姫様は目を覚ますと、僕たちの用意した鏡を見て目をぱちくりしていました。
「これは一体?」
王様が事情を話すと
「こんなの僕じゃなーーーい!」
とお姫様は絶叫して、自分の部屋にこもってしまいました。
それから幾日が経ちました。
お姫様は誰とも会おうとはしませんでした。
心配した王様に心優しき女性が言います。
「私が王子様の心を開いてみせます」
それから心優しき女性はお姫様の身の回りの世話をするようになりました。
初めはお互いの関係はぎくしゃくしていましたが、
「べつあんたのこと心配して、来てやってんじゃないんだからね」
次第に仲良くなっていき、
「一緒にいて居心地いいとか。ただそんな理由よ。別に他に理由なんてないんだから」
なんだかんだあって、
「言葉で言わなきゃ分からないって?そんなのあんたが鈍感なだけじゃない。それぐらい察しなさいよ・・・もう、仕方ないわね。じゃあ、言ってあげるわ・・・その。す、好きだよ・・・」
結婚することになりました。
婚前、魔法使いが王様に言います。
「もう魔法を解いても王宮中の女性に手を出すような真似はしないでしょう」
「そうであるな」
魔法使いがちゃちゃっと魔法を解くとお姫様は元の姿に戻りました。
「どうだい?これが僕の本当の姿さ!」
「・・・ごめんなさい。私、女の人と付き合えません」
婚前でサクッと振られたお姫様は、そのことがトラウマになってそれ以降王宮中の女性に手を出すような真似はしませんでしたとさ。
めでたしめでたし。