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ダンジョン準備とギガヒール

なんでも、そのダンジョンは、視察に出たA〜Bランク冒険者がこぞって大なり小なり怪我をして帰ってくるらしい

それで、入場規制がひかれ、ギルドマスターの許可なく入れないようになってるんだとか。

それなら知らなくても無理は無い。


「本当はSランクダンジョンになる予定なのだけれど、ユウリさんとミソラさんの戦力なら、今のうちに攻略できるんじゃないかしら?面倒な手続きはこちらで済ませておくわよ?」

そんなダンジョンをすすめるなと言いたいところだが、ミソラの事もある。せっかくの申し出だ、行かないという選択肢はないだろう


〔「怪我した冒険者の方は大丈夫なのですか?」〕

「たまたまどのパーティにもヒーラーが居たから、九死に一生を得たけど、欠損までは治らなかったわね。回復までに時間がかかったのだから仕方ないわ。命があっただけでも……って、ユウリさん、ミソラさん、どこ行くつもり??」

〔「その怪我した人に会いに行こうと思って」〕


怪我した人に直接聞けば、どんな魔物だったかの情報が貰えるはず。それに、試してはいないが、ギガヒールを魔力少なめでやれば、欠損を何とかできるかもしれないと思ったからだ。

ダメで元々提案だけでも出来ないかと思ってその旨を話すと、ギルドマスターも着いてくることになった。

……何故?


ーーーーー


診療所に着くと、大怪我をして血が戻るまで入院中の冒険者の元に連れてかれた。

……あの、この数、明らかにダンジョン以外で欠損した方もいらっしゃいますよねぇ……??


「ギルドマスターの名において、

今から見聞きし体験する出来事に箝口令を敷く!

文句があるやつや守れないやつは一旦診療所から出ていくこと!

除き見厳禁だ!」

診療所全体に響く音でそう、ギルドマスターが言うと、

暗く塞ぎ込んでた数名が顔を上げるが、誰も動くことは無かった。

「ユウリさん、あなたがしようとしてることは、それこそ王宮にお呼ばれする出来事になるわ。断言する。

でも、今のこの街の状態……新たなダンジョンを探索しなければならない状態で冒険者を失うのがどれだけダメージになるか、それをわかっているから、こういう形でしか援護できないけど、やってもらってもいいかしら……?」


「わ、分かりました……」


……なんだろう、ヒーラーがただ「回復できますよー」って言っただけなのに事が大きくなりすぎてる気がする。

確かにギガヒールまで使える人は少ないけれども、そんなに慎重になるほどのことなのかな……?

一人一人にギガヒールをかけて、

話しかけられるのが怖いので流れ作業のようにスルスルと隙間を縫って動き続けながら頭を捻ってたら、ミソラが援護してくれた

〔本当にユウリは凄いですね。

ギガヒールでも普通は出来て瀕死の怪我を治す程度なのですよ、ユウリ。〕

「えっ?」

援護じゃなかった、追い打ちだった

〔ユウリみたいに、魔力のゴリ押しで威力を上げることは出来ますが、それでもヒールで普通の怪我ハイヒールで大怪我ギガヒールで瀕死の怪我が直せる程度です〕

「……もしかしてユウリさん、今知ったの……?」

「……はぃ……今知りました」

そんなの知ってたら回復を買って出たりしなかったよ!いや、怪我人を見たら回復したくなっちゃうだろうけど!


状況をわかってから周りを見ると、回復した人みんな唖然としてた

そうだよね、治らないはずのものが治ったらまず目を疑うよね!

そうとなれば今のうちに退散……


「「「「「うぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」」


……できそうにもないです……そうですよね、はい。

やめてそこの人聖女なんて言わないでこんなボサボサの黒髪の聖女私なら嫌だよ。

女神もやめようねー女神様に失礼だからねー。

あらら、泣いちゃってる。治ってよかったねぇ(他人事)

戦乙女(ヴァルキリー)って言ったの誰?私今戦っちゃいないんだけど。もしかしてミソラの事?わかる。かっこいいよね

蛇って言ったの誰だ!噛み付いてやろうか!シャー!(しないけど)


……とまあ、とにかく騒がしくなるだけなってしまったので、落ち着いたら話しを聞こうかとか現実逃避してたら、

「皆さんお静かに!!」

ギルドマスターの鶴の一声で静かになってくれた

「今回回復してくださったユウリさんは、目立つことを好みません。静かに、箝口令を敷いた意味を噛み締めてください。

どうしても感謝したいという方は、今ユウリさんのパーティが欲してるダンジョンの情報をあげてください。

それが何よりのお礼になります」

「だがよ、ギルドマスター。もう怪我をしたことを外に伝えちまった奴もいる、そういうやつはどうすんだ?」

「私が何とかした事にしてくだされば結構です。全責任は私が負います。」

随分物分りがいいらしい冒険者は、何か言いたげにしつつも黙っていることに決めたようだった。

ギルドマスターに来てもらって本当に良かった、なんで着いてくるのとか思ってごめんめちゃくちゃ役に立ちましたありがとうございます


その後、無事に順番にミソラ越しに話しかけ、ダンジョンの情報を集めた

まとめてみると、

・ライト魔法や火魔法が使えない階層がある

・松明の火も消えてしまう

・自分の手元も見えない

・暗闇からかまいたちのような刃が飛んでくる

・カリカリとした音が周りからし続ける

・足元に何者かが引っ付いて身動きが取れなくなる

・治癒魔法は使える

・おそらく敵は大量に居そうだ

……と、そんなところだった。微妙にホラー混ざってない?


「魔法が使えないフロアね……厄介ね……」

〔「魔法は使えると思いますよ、治癒魔法が使えてるので。」〕

「それなら、何故一部の魔法が使えないの?」

〔「恐らく、使えないのではなく、使ったけど階層の魔法に上書きされたんだと思います」〕

「階層の魔法?雨が降ったり吹雪いたり砂漠ができてたりするあれ?」

〔「はい、多分そのフロアは……暗闇の魔法を使ってます」〕


断言したものの、本当にそうかは試しに行ってみないと分からないが、手元が見えなくなるほどの暗闇、治癒魔法は使える=魔法が不発というわけでは無い、大量にいる事がわかる程度には音は拾えている、という事は、暗闇の魔法を受けた時に似てると思ったのだ。

突然五感のひとつが失われるのだ、気づかなければ確かにパニックになってもおかしくない。


「なるほど……だから松明を持つ手はあったけぇままだったのか」

「そうと分かれば対処の仕方があるね!次は帰ってこなくて済むかも」

「暗闇を見通す薬……いや、この際アンチ魔法の着いた魔道具でも買ってみるか……?」

「ストーップ」

冒険者がザワザワと喋り出すとギルドマスターがストップをかけた


「まず先にあのダンジョンに挑戦するのはユウリさんとミソラさん。再挑戦の方々は身体を癒してからまた手続きしてくださいませ?」

「おう、もちろんユウリ様とミソラ様の邪魔はしないさ!」

「さ、様?!」

待ってくれ、この会話の間の何処に様付けしようという理由が……

……あるね……だめだ、とぼけようにも思い当たる節しかない

それでも様付けは回避したい!

〔「あの、普通に呼び捨てでいいですよ……?箝口令に触れてもアレですし」〕

「そう言われてもだなぁ、ここまでしてくれた嬢ちゃんを呼び捨ては……」

〔「それです!」〕

「は?」

〔「嬢ちゃん呼びしてください。それなら、ここに居ない人が聞いても違和感ないですし。」〕

「あー、……いや、でもなぁ……」

〔「様呼びされたら私泣きます」〕

「は?」

〔「泣きます」……ユウリを泣かせたら(ミソラ)が切ります〕

「わかったわかった!嬢ちゃん呼びにするから!その物騒なのしまえ!皆もそれでいいな?!」

ギルドマスターと会話してくれてた冒険者の方がそう言うと、皆うなづいてくれた

ホッ……これで様付けだけは回避出来た……

そうと決まれば、あとはダンジョンに向かうだけである。

意気揚々とダンジョンに向かおうとすると、ギルドマスターに止められた

「待って。まだ手続き終わってない時から行くのはさすがにダメよ、それにこれだけの人数回復させたのだから疲れているでしょう、今日は宿に戻ってもう休みなさい」

「宿……?」

そうだ、旅に出たのだから寝る場所は何処か借りなければならないのだ、そのことを今の今まで忘れていた

「どどどどうしましょ、あの、宿、ギルドマスター、無くて、決まって、やど、それで、」

思わず言葉が支離滅裂になるテンパってしまって上手く喋れない


「待って落ち着いて大丈夫、大丈夫だから、宿、宿が決まってないのね?」

「(こくんこくん(頷く))」

「ギルドの緊急来客用の部屋が空いてるわ、ベットも少し埃っぽいかもしれないけれど使えるはず。今日はそこで1日過ごしなさい」

「(パァァ(拝む))」

「やめて拝まないで、どっちが助けたのか分からなくなるわ……」

「?」


ジェスチャーでも何とかなるものだな、なんて呑気なことを考えながら、診療所を後にしたのだった。


パルデア地方から帰還しました

(更新再開致します)

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