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旅立ちと戦力

アーティファクトの登録証を発行すると、所持者専用の通行手形が渡される。

これは、アーティファクトがどこかの国に偏ったりしないようにするための措置らしいが、恐らく本来の目的は所持者との接触の機会を図るためだろう


だがしかし、ギルドに寄ることのできない今は、ミソラに身分証明書みたいなものを作れない以上、通行手形を持って外に出ることになるのだが…


「ちょっと待ってろ」


なんて言われるとは微塵も思っていなかったわけである。

(え、なに、なんかダメだった…?情報の行き違いとか?)

盛大に焦ってしまった私だったが…だからこそ、すぐ気づいた




兵 士 が 王 子 を 連 れ て き た




私は強化魔法を使ってミソラの手を掴んで、猛ダッシュで街を後にしたのだった。


ーーーーー


ある程度走った所で、魔力は残ってるものの、体力が尽き、

浮遊魔法で体を浮かせての移動に変更する。

格好で言うと、透明な板に座って、足を投げ出してるようなポーズだ

(思わず走ったけど、これ不敬罪になったりするのかなー。そもそもなんであんなところに件の王子がいるの?)


せめて王都に居るのなら、いくらでも避けようがあったのに、初っ端で会うのはさすがに無理である


ラスボスから倒す遊戯がどこにあると言うんだ


「とりあえず、どこに向かうかだけど…」

世界地図をマップで広げて見てみる。

世界は、十字架のような形をしており、中心地(十字架のクロス部分)に王都がある構造になっている。

上部分には獣人族が住み、左部分にはエルフ族が、下部分には魔族が暮らしている。海部分にはマーメイドが暮らしてるなんて話を聞いたこともある。

昔は戦争なんかもあったようだが、今では住み分けをして仲良くやっている状態だ。

その証拠に様々な種族と王族や王都の民とが結婚し、王都には様々な種族が溢れている。


ちなみに現在地は右のいちばん端の街。なので、向かうとしたら王都なのだが…

「別に道に反っていかなきゃ行けない訳でもないし、王都はスルーして別の種族の領地に行ってみたいな」


浮遊魔法で海を渡れば、別の種族の領地に入る事が出来る。

王都と先端の街には関所があるが、王都の関所を通らずとも行くことは出来る。なので、問題はどこに向かうのかなのだが…


「治癒のエルフの国は他の国経由しないとだから今回は却下だとして、戦闘の獣人国、魔法の魔族国そのどちらかだなー。ミソラはどっちに行きたい?」

〔是。ユウリの向かうところに着いていきます〕

「あー、うん。そう言うと思った。ありがとね」


…さて、どうしよう。

ここまで迷うのは先程言った通り、それぞれの国が戦闘に関して何かしらが特化した国だからである(因みに人の国は、防御の国と言われてる)

過剰戦力を持ってしまったからこそ、この2箇所の国で普通の戦力と手加減というものをミソラに教えたいところだが、

どちらかの国に行けばもう片方の国に行くのに王都を超える必要が出てくるため、迷っているのだ


(獣人の国で握力や殴る力のコントロールをできるように修行をさせれば、もうダンジョンの壁を壊す心配はしなくて良いだろう…だが、脱出手段がそれしかないというのなら、それは後回しでもいいのかもしれない。

自動人形(オートマータ)が魔力で動いているらしい事は、魔法を使ってる身からすればすぐに分かる。魔力操作を覚えさせて、自動人形だと悟られないように魔力をコントロールできるようになると、移動が楽になるだろう。それに、ミソラも浮遊魔法や収納魔法をつかえる。私と同レベルまで上げれば、移動が楽になるはずだ。

あと、確か未踏破のダンジョンが魔族の国にはあったはず。何か、ミソラ関連のものが見つかるかもしれない

…よし、魔族の国に行く事にしよう)

ひとしきり迷ってそう決断をすると、道沿いに浮いて移動していたのを一旦やめて、高度を上げる。こうすると、次の目的地(町家村)が見やすいからだ。


「…あれ?」

進行方向の先に、妙なものを見つける。

「っ!ミソラ!900メートル先戦闘!」

それが何か分かった時、私はミソラと急いでそこに向かった。


それ(・・)は、横転した馬車とオークの群れだった


ーーーーー


到着するやいなやミソラは収納魔法から取り出した2対のナイフでスピードのままにすれ違いざま2体の首を狩る。

ほかのオークがそれに気づいた頃には、既にミソラはスルスルりと踊るように合間を抜い、5体のオークの首を跳ねていた

何科に群がっていて反応が遅れ、やっと仲間がやられたことに気づいた残り3体オークが当たりを見回した頃には、ミソラはオークの後ろに回り、スッ…と音もなく首を狩られたのだった。


「おぉ…。」

ミソラがいるから支援でいいだろうと防御魔法をかけるとこまでは出来ていたが、あとはミソラの戦い方に見惚れてしまっていた


なんというかこう、美しかったのだ。踊るように舞うようにスカートを翻しそっと触れた(ナイフ)ですべてを狩り切る。

そして、何より美しいのが、そんな素早い技にもかかわらず、いや、素早いからこそか。

服にも髪にも一切の汚れをつけることなくそれを完遂したことであった。


倒れた後にやっと、首を切られた事が分かり、傷口が開く。そんな感じで全てのオークが地に伏せった時、

まるでナイフに僅かにもつかなかった血を振り払うように動かしたあと収納魔法にナイフをしまったミソラは、こちらに礼をして言った


〔対象の排除を確認。

ご命令を。ユウリ〕


「ミソラすごい!かっこいい!!」

浮遊魔法を解いて思わずミソラに抱きつくと、ミソラが抱き締め返してくれた

…なんだろう、なんだかすごくホッとする。

〔かっこいい…ですか?〕

「うん!あ、それと美しかった!」

〔美しい…?〕

「うん。本当にすごいよミソラ、私が強化魔法を使ってやったとしてもあんなスピードは出ないもん。

やっぱり鑑定魔法の判断は正しかったんだ、戦闘に関しては私よりミソラの方が強いんだね!」

私がはしゃいで思わず言葉をまくしたてていると、

微かに「うぅ…」と人の声が聞こえた


「あっ!そうだ、無事な人がいるか確認しなきゃ」

美空に抱きつくのをやめて、先程オークが何かをしていたところを見ると、人影が3つ。

2つは子供で、怯えているようだ。

そしてもう1つは…

「大変、エリアヒール!」

遠目にわかるほどの重症だった

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