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盗賊とアーティファクト

反応を追っていると、森の奥の古びた小屋に着いた

ミソラには、ここに来るまでの間に事前に殺さずに捕えるよう告げてあるため、完全奇襲で血が流れないのが1番好ましい

魔力探知は相手に魔法使いがいた場合に、魔力を感じとられたらバレてしまう原因となるので使えない

同じ理由で下手に魔法も使えない為、羽根も髪も元の姿のまま気配を消す事になる


(気配を消すのは得意だけど、こう、コソコソと移動するのは、普段魔法に頼ってる分そこまで得意では無いんだよなぁ……)

羽根が音を立てないよう慎重に畳んでから、2箇所あった窓から中の様子を伺うと、

部屋の手前に見張りが1人と、奥に2人ほど横になっていた


(ここまで移動してきて、安心しきってるという訳でも無さそうだ。だからといって、ピリピリと警戒している訳でもない。

追っ手が来ても勝てる自信があるのか、はたまた盗んできた者を休ませているのか……)

後者だとしたらもう少し見張りがいてもおかしくない。故に、前者であると仮定するべきだろう。

だとすると見張りは相当な手練な可能性がある。なにかの手段でおびき出して、静かに捉えるのは難しそうだ。


(だとすると正面突破が1番か……扉を開けて即奇襲が妥当かな)


ミソラに念話を飛ばす事も、なるべく控えたいため、ここに来るまでの間にハンドサインをいくつか美空に伝えてある。

そのハンドサインを使って、中の人数、奇襲の手段を伝えると、ミソラからもハンドサインで了解と返ってきた。


そして、GOサインと同時にミソラがドアを蹴破る

次の瞬間にはミソラは、見張りの背後に立ち、相手の口元を押えていた。

(相変わらず凄い早業。)

思わず感心してしまったが、私は私で寝てる2人へと束縛魔法を放つ。

……と同時に、ミソラが首への手刀で見張りを気絶させようとするが、なにかに気づいて腹パンで気絶させた。


……というわけで、侵入して5秒も経たないうちに、制圧完了したのだった。



捕縛した者たちが魔法の衝撃で起きたので、見張りの捕縛はミソラに任せて、(と言っても声は借りるのだが)2人を更に縄で縛りつつ会話をする

「な、なんだこりゃ?!」

「ぐっ……魔法か……?」

〔「そうです、魔法です」〕

「その声……女?」

「何しやがるんだ離しやがれ!」

女と気づくや否や舐めた口調で叫んできたので、少しイラッとして、ナイフを片方の奴の目に突き付ける

〔「離しません。博物館から盗ったもの、返しなさい」〕

「は?なんの事だ?というかなんで目の前の嬢ちゃんは喋らないんだ?」

「俺たちは森で仕事してるだけの木こりだ、そんなものは知らないぞ?」

〔「……あっ、そう。話さないならいいです見つけ出せるんで」〕

「な、何を……」

探索魔法(サーチ)

魔法を使うと、倒れてる男たちの片方の脚と、見張りをしていたもののポケットから反応がする。

見張りの方の物は念話でミソラに伝えると、私はアーティファクトの嵌った脚が見えるようにナイフで男のズボンを裂いた

「あっ!何すんだテメェ!!」

〔「何って、証拠ですよ。鑑定……この脚についてるの。アーティファクトですね?マスター登録はあなたでは無い。」〕

「何いい加減なこと言って……」

〔「私鑑定魔法が使えるんですよ。しかも最上位。事細かに情報が見えます

アーティファクトの効果も、マスターも、貴方達のご主人も。全部お見通しです」〕

私がそう言うと、最初にナイフを突きつけてた方の男が、動揺した

「ご主人って、もしかして……」

〔「はい。貴方達が奴隷なのもわかっています」〕

……というか、これはナイフを取りだした時点で気づいたんだけどね。

見張りの首に首輪が、他2人の脚になにかに繋がれてた形跡のある足枷が、アーティファクトと共に着いていたのだ。

(これがあったから、ミソラは手刀から腹パンへ行動を変えたのか)


奴隷制度は、人間国には今は無いが、昔は今の他の国のように、犯罪者救済処置としてあったものだ。

事故のような形で犯罪を犯してしまった者や、盗賊落ちした者、意図せず犯罪に手を染めてしまった者達を更生させるための措置、という感じである。

奴隷となった者は、定められた期間ご主人に尽くすことで、奴隷からまた平民へと戻ることが出来る。主人は、尽くしてもらう代わりに衣食住と仕事を与え、犯罪から遠ざけるのが決まり。なのだが……


〔「貴方達の主人はなんと命令を出したの?」〕

「そ、それは……」

「……い、言えねぇ。……そういう契約だ……」

契約というのは奴隷とご主人の間に交わされるもので、その内容は様々だ。


契約を交わすには契約魔法を使う必要があり、その魔法が使われた契約に背くと、最悪死も有り得る。

解約するには解約魔法が必要だが……

(使えない訳では無いが下手に使ってしまうとあとが面倒だ)

奴隷を所有するのは多くは貴族で、使用人として雇うことが多い。

魔法で縛っている為、裏切られる心配が少ないのがその理由だ。


その為、下手に解約してしまうと、貴族に関わることはほぼ確実として、犯罪者を勝手に解放したとして訴えられる場合だってある。

(そうなったら、今の私とミソラじゃほぼ対処ができない。

……しょうがない、尋問は王子に任せるとしよう……)


時間を与えすぎるとこの奴隷達の主人が何をしでかすか分からない。

その為、主人に繋がる確たる証拠として鑑定結果と共に依頼内容を王子に伝えたかったのだが、今回はそれが難しそうだ。

奴隷達を魔法で気絶させると、脚とポケットからアーティファクトを取り、アイテムボックスへとしまう。

王子へと念話を飛ばした


「王子、魔族国の2品は回収出来ました。」

「ご苦労さま。その2品は、魔族国の王都で王に受け取ってもらうように手配しておくよ」

「え、王子が取りに来るんじゃないんですか?」

「僕は、視察に来ただけでも珍しいぐらい忙しい身なんだ、そもそも魔族国への入国手続きを取らなきゃ行けない。それを待って、王都へ戻るよりは、君達が送り届けてくれた方が安心だろう?」

「それは……分かりました……詳しい状況を説明しますね」

小屋を見つけてから、現在に至るまでの話をすると、王子は「やっぱりミソラもユウリも凄いね。部下に欲しいよ」と言ったので丁重に断っておいた

「それにしても奴隷ね……主人となるものが何をしでかすか分からないというのには賛成だ。そちらの近くの街に通達して身柄を保護してもらうことにしよう。」

「ありがとうございます。それと、主人となるものが何者なのか名前がわかってます人間国の貴族のアレイーノ子爵です」

「わかった。さすがに決定的な証拠がないとなんともできない。こちらでその者の動向を探ることにしよう。」


……と、そこまで言うと、王子は気が抜けたように、ため息を吐いた。

「そちらの吉報に対して、水を差すようで悪いけど、こっちは悪報だよ。場所を教えてもらったもののうち、2つが回収できなかった。」

「回収できなかったって……場所が違ったんですか?」

「いや、場所は合ってたよ。でも、捕らえに行ったもののほんの隙をついて、アーティファクトを壊されてしまったんだ。」

「壊され……それはどんな効果のアーティファクトですか?」

「確か、契約無しに奴隷にすることが出来る奴属の効果と、あともうひとつはわかっていない」

「わかっていないって、どういうことですか?」

「鑑定で結果が出ないんだ。鑑定した者によれば、阻害されているらしい。恐らく、認識阻害とかそういう系のアーティファクトだと思われる」

「そんなものが世に出たら……」

「……?壊されたのだから世には出ないだろう?」

「ああ、コピー魔法の効果を知らないのですね」


コピーが本物に移り代わってしまうことを伝えると、王子の空気が緊張感のあるものに変わる

「もしそれが実行に移されてたなら、マスターのいない行方不明のアーティファクトが2つ生まれてしまったことになるな……しかも、取られてしまった物が物だ。獣人国と連携をとって、事に当たることにしよう」

「獣人国……あっ、私、アーティファクトを追いかけるために博物館から1点、アーティファクトを借りてしまっているのですが、どうしましょう……?」

「博物館のアーティファクトを借りた……?……ふむ……

君の出生が気になる所だけど、それは聞かないでおこう。

それなら、それも魔族国で回収してもらうように頼んでおくよ。」

「ありがとうございます」

出生について触れられるかとヒヤヒヤしたが、王子があまり追求しない人でよかった。

もしかしたら、過去が原因でコミュ障になったのかと配慮してくれたのかもしれない。

それだったら飛んだ儲けものだ

私は念話を終えると、

(コミュ障も人見知りも、小さい頃からなんだよなぁ何が原因だったんだっけ……)

と、過去を思い出そうとした

矛盾点、疑問点等ございましたらご指摘ください。

出来る範囲で対処、返答いたします

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