ギルドの部屋とダンジョン
ギルドマスターに案内してもらった部屋は、多少埃っぽいものの必要な家具が揃っていてそのまま住めそうな部屋だった
ベットもダブルベットで広いしソファーも机もついてる。
化粧台までついてることには少し驚いたけど、使う人によっては必要なのかもしれない
大きなベットに興奮してダイブしたら、ホコリも舞い上がってしまった。くちゅんっ!
広いベットは大の字になっても端に届かないほどで、とても贅沢な気持ちにさせてくれる。
それにとてもフカフカだった。貴族の人が来ても申し訳ない程度にはいい家具を揃えているようだった。
「……と、そんなことより、ダンジョンのことだよね」
アンチ魔法を使えはするが、アンチ魔法を使ってる間はその場から動くことが出来ない仕様になっている。
魔力でゴリ押しして何とかならなくもないが、途中の階層で魔力を使い切るのは流石に冒険者としてどうかと思う
浮遊魔法で浮いてからアンチ魔法を使えば、私が物理的に動けないことは避けれる。だが、
いつもなら、浮遊魔法に風魔法で移動してたけれど、アンチ魔法を使ってる以上風魔法が使えないのだ。
浮いた私をミソラに押してってもらえばアンチ魔法の範囲が移動できるだろう。でも……
アンチ魔法を使うエリアでは、戦闘を全てミソラに任せることになるので、あまり重荷にはなりたくない
「うーん」
〔どうしたのですか?ユウリ〕
「いや、ダンジョンの攻略法を考えてて……」
〔それなら、私の技能が役に立つかと〕
「技能?」
そういえば、鑑定した時見れなかった事を思い出して、聞き返すと、はい、と件のスキル技能を教えてくれた
「えーっと、状態異常無効……無効?!」
無効ということは、暗闇魔法が全く効かないということである
なんだそれ私の出番がないじゃないか。ってそういう問題では無い。この戦闘力でなぜ状態異常にここまでの体制が必要だったのか……
〔恐らく、洗脳防止の対策でしょうが、今回このスキルが役に立つのではと思いました〕
「役に立つどころか作戦の要だよ、本当にミソラは凄いなぁ……」
そうなると、アンチ魔法を使う必要性は無くなってくる。逆に、大量にいるらしい敵を、美空の視界を魔法で借りて、私が全体魔法で一掃するぐらいがちょうどいいのかもしれない
「うん。この作戦で行こうかな」
アンチ魔法を除けば、複数の魔法を同時に使うことは出来るので、ぷかぷか浮きながら大量の魔物を一掃、ミソラが親玉をやっつける。それでいい。
作戦も決まったことだし、そろそろ寝るとするか……
思えば今日街に来たばかりなのにもうAランクまで上がってしまって気疲れもしてる。
ふわぁ、とあくびが出たのを手で軽く隠しながら、ミソラに寝ることを伝えて部屋の電気を消した。
ミソラと寝ないのかって?私も気になって聞いたけど、睡眠の必要は無いらしい。やんわり断られてしまった。
パパやママに添い寝をしてもらった時期が懐かしくちょっと人肌恋しい気もする(ミソラは何故かちゃんと体温がある)ので少し残念だったが、本人の希望で見張り見してくれるそうだ。
……ギルドで見張りはいらないと思うんだけどね
ーーーーー
それから数日経って、やっとダンジョンに入れるようになった。
手続きが面倒なのって、時間がかかるからという意味だったようだ
支度を済ませて、ギルドの部屋の後に借りた宿からでて、ダンジョンに向かう
ここ数日で街の観光も済ませたし、その間に、ミソラ越しに話す様子も周りに慣れて貰えたと思う。
そのかいもあってか、結構気楽に検問まで来た
「身分証明証の提示を」
「はぃ」
……話すのはまだダメダメだった。声が裏返ってしまった
ギルドカードを出すと特に何も言われず外に出して貰えた
ダンジョンの入口まで来ると、ギルドマスターが待っていた
〔「ギルドマスター、何故ここに?」〕
「立ち入り禁止にしてあるって言ったでしょ?私が預かってる鍵を使わないと中に入れないようにしてあるのよ。」
ほら、と言って見せてくれたのは、ロックした一定空間に通り抜けできない壁のような結界を貼ることの出来る、レアリティの高いマジックアイテムの鍵だった。
ここで間違えないで欲しいのは、マジックアイテムというのはアーティファクトとは違って、一般的に普及してる、現代に生きる人が作ったアイテムのことだ。
アーティファクトに関しては、大昔の人が作ったと言われるものもあれば、神が作ったと言われるものまである。とにかく、今の技術では作れない唯一無二のアイテムの事をアーティファクトと称するのだ。
ごほん、話が脱線してしまったが、マジックアイテムの中でもかなりレアリティが高いであろう、鍵を使う程、このダンジョンでの被害は酷かったということだ、これは気を引き締めた方がいいかもしれない
…………なんて思ってた時もありました
結果ですか?
私が浮遊魔法を使ってる隙にミソラが雑魚を一掃し、大型の魔物一体を私が倒してる間に残り五体もの大型魔物をミソラが片付けてしまいました。
魔物はカマキリに似てました。
やっぱりミソラは凄いなぁ……
〔ユウリ、こちらへ〕
魔物を収納していると、急にミソラが腕を引いてきた
ちょっと待って、と言って魔物を全部収納した後、ミソラの元に向かうと、足元が光り、懐かしい魔力を感じた
これはそう……ミソラと会った時と同じ魔力……
って待って足元光ってる?!
……気づいた時には、また出入口のない謎の空間に飛ばされていた。
前回と違うのは、広いだけの空間にぽつんと宝箱があるだけなのと、ミソラが一緒に居ることである。
「宝箱か……罠とかが怖いけど……」
〔否。罠等は設置しないと創造主様は仰ってました〕
「そうなの?いくらなんても不用心……でもないのか。」
この空間に入るための条件を考えれば、下手な罠などいらないということかもしれない
「んじゃぁ、まぁ、何が入ってるのか確認してみますか……」
スっと1歩宝箱に近づくと……
スススッ
……と、宝箱が逃げた
「あれ?動いた……?罠はないんだよね?」
〔是。罠はありません。ただ、簡単に手に入ってはつまらないからと、試練と呼ばれるものはあるそうです〕
「試練??」
〔この部屋の試練は……逃げる宝箱からアイテムを奪え、ですね〕
「え、なにそ……」
ニョキっ!
私の声と同時ぐらいに、宝箱に足が生えた
そして……
猛スピードで部屋中を駆け回り始めた
遅くなってしまい申し訳ございません
体調を崩しておりました