9話 ローリーVSセシール
〈モンスター紹介〉
ゴブリン
異世界と言えばコイツ。緑の小人で、基本的には知能は低く、暴行や略奪を繰り返す厄介者。例外で良いゴブリンも居る。
ダイスケは異世界の知識が無く、少年ジャ○プばかり読んでいた為、ゴブリンをサイ○イマンと勘違いした。
「鬼さん、帰りました?」
机の裏にローリーとノアールが、ヒョコっと頭を出す。
「ああ。帰ってった。というか、隠れる必要あるのか?別に町を滅ぼしに来たわけじゃ無いんだし」
「前も思ったんですけど、ダイスケさんは鬼のオーラを真っ向から浴びて平気なんですか?」
何の事だろうか?
「いや、全く何ともない。オーラって何だ?」
「オーラと言うのは…」
「ノアールさん。お客様です」
「あ!今行きます。私は失礼します。ダイスケさんはゆっくり休んでて構いませんよ。ローリー君、後を頼みます」
ノアールの退出後、ローリーVSセシールの戦争が始まってしまった。
「で、何なんですか?貴女は?」
セシールを睨むローリー。
「何度も言ってるでしょ?彼の妻です」
「亜人は結婚なんてしないでしょ!?」
え?ローリーの一言が強烈だったんだけど。
「亜人って結…」
「ダイスケさんは黙ってて下さい!」
女同士の争いに介入できない。
「亜人でも偉い人は結婚するでしょ?私はそういう地位なの。頭が高いぞ、雑種!」
「雑種って言った!?犬系と猫系のハーフです!貴族は貴族らしく引き籠ってなさい!ダイスケさんは私が狙ってたんです!」
ローリー、今なんて?
「狙ってたって、発情期になったらエッチな事しようとしてただけでしょ!?このビッ○猫!」
「ビッ○!?ビッ○って言った!!」
「セシール、言い過ぎだ!」
セシールの尻尾を掴む。
「ニャァァァァァ!?」
セシールが膝から崩れ落ちる。コレが、どうやら弱点らしい。
「ダイスケさん!何やってんですか!?」
ローリーが両手で顔を覆って見ないようにしている。まるでエッチな物を見てしまった女の子のように。
「いや、この下僕を大人しくさせようと」
「ダイスケさん…亜人の尻尾を掴むのは『今からエッチな事するぞ』て意味が有ります」
マジか!?だから前にセシールの尻尾を掴んで「スケベ」「ヘンタイ」と言われたのか!
「因みに、耳を掴んでフニフニするのも同じ意味が有ります」
さっきやっちまったよ!
「3回目はキャンセル不可です」
なん…だと!?
「あれ?…そういえば3回目だ!高貴な私ともあろう者が、ニンゲンに汚されるなんて…キャー(照)」
「何がキャーだ。セシール、忘れてないか?俺が主で、お前は下僕」
「ダイスケさん!さっきも言おうと思ってましたが、奴隷は亜人権侵害です!やめなさい!!(怒)」
ローリーに怒られた。
「いや、やめないでくれ!その方が興奮する」
「…え?セシールさん??」
ローリーにセシールの残念な性格を説明する。
「つまり、この人は没落貴族みたいな扱いを受けると興奮するヘンタイさんなのですか?こんなのが貴族なんて、世も末です」
ローリーがゴミを見るような目でセシールを見る。
一方のセシールは興奮している。
「何、喜んでるんですか?私はビッ○猫ですよね?ビッ○猫に見下されて喜ぶなんて、ホントに性根の腐ったヘンタイですね」
何だろう?ローリーが怖い。
「あ!そういえば以前、空間の歪みから出てきたアイテムが…有った!」
あ、あれは!?そのピンク色の拷問器具はダメな奴!
「ローリー!?待て!それは…」
「使い方は分かってます。ダイスケさん、暫く退出してて下さい。女同士で話し合いたいので」
ローリーは笑顔だが、眉毛の端がピクピクしている。ビッ○と言われて、かなり不機嫌なようだ。
セシールには悪いが退出することにした。
「この泥棒猫ー!あんたなんかにダイスケさんは勿体ないのです!これで我慢しときなさい!」
「え?ちょ!?やめ…あ゛ーーー!?ご主人様!助けてー」
部屋の外までセシールの悲鳴が聞こえた。
…大丈夫だ、セシール。その拷問器具で死にはしない。意識が飛ぶくらいだ。
「ちょっと!さっきから何騒いでんのよ!?」
あんた誰!?清掃員っぽい格好したウサミミ亜人のオバさんに声を掛けられた。ギルドの掃除のオバちゃんだろうか?
「え~と、ちょっと拷問を…」
「拷問?…Wao!なかなか刺激的な拷問をしてるみたいね。オホホ、ごゆっくり~」
ウサギ系亜人は猫系よりも耳が良いのだろう。中でナニが行われてるか察して何処かへ行ってしまった。
~ギルドのロビー~
部屋を追い出されたが、特に行く宛も無い。
収納魔法に仕舞っていたモンスターの素材やら戦利品を、購買部で買い取って貰う事にした。
「買取価格は全部で15万ゼニだ」
「え!?何がそんなに高値付いたんだ?」
予想外の高値。どうやらゴブリン退治の戦利品の中に、出来の良い短剣が混ざっていたらしい。
大金を手に入れたのだし、せっかくだから町の店を見て回る事にした。
残り時間 7日