4話 物資争奪戦
〈キャラクター紹介〉
閻魔大王(152代目)
地獄の番人。閻魔大王と言うのは名前ではなく役職名。本名はニーガン。
動画投稿サイト『ヘルチューブ』で閻魔チャンネルを設立するも、再生回数、登録者共に伸び悩んでいる。
悪者っぽく閻魔を演じているが、根は良い鬼。
シュワルツ君とは、仕事終わりにジムで筋トレする仲。
~ボンベイ平原~
到着後、空を見上げると気球が飛んでいた。彼らが空間の歪み等、異常を発見するとギルドに報告するらしい。
「キー―!」
突如、後頭部を鈍器で殴られる。痛…くない?これくらいの攻撃なら平気なのか?
「誰だ!?」
振り返ると、そこには緑の小人。サイ○イマンみたいな奴らが居た。武器を構え、明らかな殺意を向けて来る。
こいつ等も空間の歪みから出て来た物が目的らしい。近づく者は排除する構えだ。
こちらも金棒を構え、戦闘態勢になる。魔法で一掃した方が楽だが、謎の空腹が怖い。
「さあ、来い!自爆される前に吹っ飛ばす。ホームランコンテストの時間だ!」
あっという間に緑の小人を殲滅。そんなに強くなかった。
モンスター図鑑で調べる。どうやら『ゴブリン』と呼ばれるモンスターらしい。自爆はしないようだ。
進化すると『ホブゴブリン』になるそうだが、図鑑の挿絵はピッ○ロ大魔王。挿絵はアレックスと言う人物が描いたようだ。会ってじっくり話がしたい。
「ゴブリンの死体に利用価値は無いから、耳を切って討伐の証拠品にする…か。死体とはいえ、残酷だな。やりたくない。…こいつ等、宝石やら短剣やらを持ってるな。これを貰おう」
平原には様々な物が転がっていた。ワームホールから出て来たらしい。
食料品、医薬品、刀剣類、家電にエロ本と様々だ。
少年ジャ○プやサ○デーが有れば嬉しかったが…読む時間もないか。
「おい兄さん?俺達の縄張りで何してんだよ!?」
ターバンやストールで顔を隠してる怪しい奴らに絡まれた。噂の盗賊団か?
「俺か?俺は昆虫学者でな。昆虫採集に励んでいた所だ」
「嘘つけ!歪みから出て来たのを拾ったんだろ?持ってる物を全部寄越しな!さもなくば命ごと貰うぜ」
このセリフからして盗賊団で間違いないな。数は6人。
「断る!俺は、か・な・り・強い。1人で3000体のアンデッドを焼き払う程だ」
「な!?俺TUEEEEE系かよ…」
盗賊達が怯む。俺ツエ―系って何だろう?
「ハ、ハッタリだろ?そんな嘘はバトルスコープで解析すれば…うわっ!?」
メガネ型端末は「ボン!」と音を立てて破裂した。
「こ、こいつマジだ!スコープが壊れるくらい強いぞ」
そうだ!あのセリフを言ってみよう。
「俺の戦闘力は、53万だ。勿論、フルパワーでは相手をしないのでご心配なく」
「ビ、ビビるな!数はこっちが有利だ。一斉に掛かれ!!」
何故、勝てないと分かってて襲い掛かる?こいつ等バカか?バカなのか??
「衝撃波」
魔法で衝撃波を発生させ、盗賊達を吹っ飛ばす。
「うわぁぁぁ!?…クソっ!何て奴だ。近づけねぇ。こうなったら…」
リーダーらしき男はまだ戦う気なのか!?大した根性だ。
こちらも魔法を放つ体制に入る。
「とっておきだ。闇魔法デスボー…」
「すいませんでした!!」
見事な土下座で謝罪して来た。いや、これは罠か?
「ご迷惑をお掛けした上で図々しいのは分かっています。しかし、お願いします!!どうかエッチでスケベな芸術品だけでもお譲り下さい!」
…え?何?こいつ等、エロ本欲しさに命狙って来たの??異世界って怖い。
「う~ん、別に『盗賊団を捕まえろ』とか『エロ本を回収しろ』とは言われてないから良いか…ほら、くれてやる」
「5冊も!?しかもエロマンガ!?良いんですか?エロマンガって1冊30万ゼニくらいしますよ?」
いくら何でも高過ぎるだろ!?
「…この世界にエロ本は無いのか?」
「ありますけど、歪みから来る『エロマンガ』みたいにエロエロじゃありません。そして、この国では御法度です。我々亜人は強制的に発情期になってしまうので」
猫耳やウサ耳の人達はアジンと言うのか?発情期まであるとは…ローリーの発情期を想像してしまった。ゴメン、ローリー。
「タダで貰うのも申し訳ないので、これと交換で」
盗賊団は律儀にも物々交換を申し出た。意外と悪い奴らじゃ無いのか?
盗賊団がアイテムバッグたら出したのは、2台の壊れたバイクだった。前にワームホールから出て来たものらしい。
1代目はメーカー名が読めなくなっているが車種名に「TIGER893」と書かれているオフロードバイクだ。
2代目は「ハレルヤ・デイビットソン」という謎メーカーの「BADBOY」というアメリカンバイク。何だかシュワルツ君が似合いそうだ。冥土の土産に持って行こう。
「錆や破損箇所が有るが、部品は揃ってる。何とかなるな…修理魔法」
2台のバイクが魔法で修理され、乗れる状態になる。エンジンを掛けてみたが、どちらも良いエンジン音だ。
「ええーーーー!!あんな魔法が有るの!?」
どうやって持ち帰るか…アイテムバッグに仕舞うと、ギルドに回収されてしまう。
そういえば、アイテムバッグは収納魔法とやらを応用したものだったな。
「収納のイメージ…収納魔法ON」
魔法のゲートが出現し、中にバイクを入れる。ゲートの先は巨大な倉庫になっていた。これだけ広ければ収納スペースには困らないだろう。
「収納魔法OFF」
「あれが収納魔法!?初めて見た…」
「未回収の品は早い者勝ちで良いか?」
「はい。それで構いません」
「…お前達、盗賊団だよな?」
盗賊団にしては、何とも礼儀正しくて義理堅い。
「本業は雑貨屋です。盗賊は仕入れの時に軽くやる程度です」
「お前達には向いてない。やめてしまえ」
「雑貨屋をですか?」
「盗賊をだよ!!」
やはり、こいつ等バカである。
「うわぁぁぁぁ!ワイルドベアーの群れだ!食料品を狙って来やがった!!」
盗賊団の1人が悲鳴を上げながら走って来る。
次に回収の邪魔をしに来たのはワイルドベアーだった。10頭は居る。
「下がれ!俺が殺る」
ワイルドベアーは打撃武器で後頭部を殴って討伐すれば、素材が高値で売れるらしい。
1体のワイルドベアーに回り込み、背後から襲い掛かる。しかし…
「受け止められた!?こいつ、後ろに目が有るのか?」
ワイルドベアーは人差し指を立てて「チッチッチ」と言いたげに指を振る。
そして、デコピンで吹っ飛ばされる。
「うわーーー!…回復魔法。クソが!!これじゃ前と同じじゃないか。光の剣」
結局、魔法の剣で切る事にした。
仲間をやられたワイルドベアー達。敵討ちの為か、一斉に突撃してくる。
「この数はキツイな。転移魔法で逃げ…ダメだ。盗賊団が殺される。広範囲攻撃魔法も巻き込んじまう。接近戦でやるしかないか…闇の剣!」
光と闇の双剣でワイルドベアーを相手にする。
「こっちだ熊ども!…なんか増えてる!?」
ワイルドベアーは仲間を呼んだらしい。5体増えていた。
その後も、ワームホールから出て来た物資目的にゴブリンやらゴリラやらが現れ、取り囲まれフルボッコにされるという悲惨な目にあった。
残り時間 17:00