28 正義無き戦い
〈キャラクター紹介〉
ゲドーの部下達
元々はゲドーと共にザウス王国で働いていた兵士達。王族に不満を持っていたが、ゲドー追放事件を切っ掛けに離反。
ゲドーと合流後、犯罪者集団『レッドスチール』を結成。
強さとしては王国兵時代の高性能な武具を装備し、過酷な訓練も受けてきた為、一般の冒険者では歯が立たない。
「全員、ぶっ殺してやる!」
「ば、化け物!?」
「怯むな!あんな大技、連続で撃てるわけがない!一斉に掛かれ!!」
魔道士達が遠距離攻撃してくる。魔道士にも用は無い。
収納魔法からバイクを取り出す。これには道具屋から拝借した『爆発する魔石』を大量にくくり付けてある。
バイクに乗り、攻撃を掻い潜りながら敵へ突っ込む。そして途中で飛び降り、魔法で起爆させる。
バイクは魔道士達の陣形の真ん中で大爆発を起こした。
魔道士達も全員、即死だ。
魔道士達の後ろに控えていたのは全て弓兵だ。コイツらには聞きたい事が有る。
「おい!弓兵共!!猫耳に犬の尻尾の亜人を射ったのはどいつだ?たっぷり苦しませてからぶっ殺してやる!」
「あん?いちいち覚えてねーよそんなの。愛人だったのか?お前にも同じ様に毒の矢をプレゼントしてやる。猛毒だからカスったら死ぬぜ!せいぜい頑張って避けな!放て!」
弓兵達が一斉に矢を放つ。
「ふん!避けるまでも無い」
収納魔法を開き、降り注ぐ矢を回収した。
「何!?収納魔法を防御に使っただと!?」
「勘違いするな。防御じゃない。攻撃だ!!」
奴らの頭上で収納魔法を開き、矢を放出した。
「ぐあぁぁぁぁ!」
カスったら死ぬ矢が奴らに直撃する。
「オマケだ。こいつも持って行け!」
収納魔法から、武器屋で回収しておいた剣や槍も放出した。
敢えて急所は外した。だが手足を貫かれた奴等は動く事が出来ない。
「ぐっ!あの野郎、遊んでるのか?」
「遊んでる?違うな。苦しんで死んだローリーの気持ちを、お前達にも味合わせてやってんだ。お前達弓兵にトドメは刺さん。たっぷり苦しんでから冥府に行くがいい!!」
「こ、この悪魔め!こ、殺せ…殺せー!」
直後、弓兵達が爆発した。爆裂魔法のようだ。
魔法を放ったのはケツアゴの男。ゲドーだ。
「ダイスケよ。なぶり殺しにするとは酷いではないか」
「ふんっ!仲間に爆裂魔法をぶっ放したお前にだけは言われたくねーよ」
ゲドーとにらみ合いになる。
「ゲドー。貴様の目的は何だ?なぜ町を襲った?地獄から抜け出したなら、そのままヒッソリと暮らせば良かったろうに」
ゲドーは少し考え、口を開いた
「私は、この世界の人間達を恨んでいる。だから目の前に町や村が有ったら襲う。そして歯向かう者は殺し、忠誠を誓う者は奴隷にする。それだけの事よ」
「そんな貴様らのエゴでローリーは死んだのか…。クソッタレがぁぁぁぁ!」
怒りが爆発し、周囲の空気が歪む。
「ほう?圧倒的な殺意のオーラ…お前も覚醒したか。面白い!楽しい殺し合いと行こうか!!」
「ファイアーキャノン・カーニバル!」
ゲドーの魔法攻撃。炎の砲弾を連射する。
「砲千火・ブースト!」
こちらも無数の火の玉で迎撃する。それも闇属性魔法のブーストを掛けた、強烈な魔法だ。
「地獄でパワーアップして舞い戻った私と互角の魔法を使えるのか…。これならどうだ?核の炎!」
この魔法は…火属性じゃない。核属性だ!
「バカ野郎!!それは核禁止条約違反だろ!?ブラックホール・ツインブースト!」
ブラックホールを作り出し、核の炎を吸い尽くした。放射能汚染は無いと信じたい。
「生憎、この世界に核禁止条約は適応外だ。好きなだけ核が使える。お前に私の核が止められるかな?核の爆発・パレード!」
上空から核弾頭のような物が降って来た。数は5発。
「ブラックホール・トライブースト!」
ブラックホールを作り出し、これも全て吸い尽くす。
今の魔法でゲドーから目を離してしまった。
視線を下に落とすと、懐に潜り込んだゲドーの姿。
「しまった!?」
「遅い!インパクトブロー!」
ボディに強烈な衝撃波が襲い掛かる。
後方に吹き飛ばされ、地べたに倒れこんだ。
「くっ…相変わらず姑息な手を…ゲホッゲホッ!」
吐血した。今ので内臓をやられたらしい。
「生きてるのか?普通なら心臓破裂で死んでるのだが…大した奴だ」
ゲドーに褒められても嬉しくない。
「魔力が残り少ないのでな。これでトドメだ。次は全魔力を込めて葬ってやる」
ゲドーが追い打ちの態勢に入る。
こちらも立ち上がり、迎撃態勢を取る。
ブラックホールで魔力を浪費してしまった。俺も魔力が残り少ない。
次の一撃で決めなくてはならない。
「これで終わりだ。インパクトブロー・レクイエム!」
ゲドーが突っ込んで来る。凄い勢いだ。
もっと引き寄せる。ゲドーを確実にぶっ殺すために、刺し違える覚悟で構える。
「今だ!デスバスター・マキシマムブーストぉぉぉぉ!」
相打ちだった。俺もゲドーも、互いに吹っ飛ばされた。
今の攻撃で収納魔法が開いてしまい、仕舞っていたアイテムを全てぶちまけてしまった。
運良く手元に転がっていた回復薬を手に取り、一気に飲み干す。これでなんとか立ち上がれる位には回復した。
ゲドーも回復薬を隠し待っていたらしい。それを飲んで回復し、立ち上がった。
お互い、無言で歩み寄る。もう魔力は残っていない。
「ふんっ!」「おらぁ!」
殴り合いが始まる。
「どうした?辛いならマッスルベアーでも召喚したらどうだ?」
マッスルベアーはローリーに召喚された時に体力を使い果たし、後13時間は召喚できない。
ゲドーのボディブローがクリーンヒットする。
「ゴフッ!…マッスルベアーを呼ぶまでもない。お前は俺がぶっ殺してやる!」
ゲドーの顔面に左フックが入る。
「ちぃ!殺れるもんなら、殺ってみろ!!」
ゲドーの左ストレートと俺の右ストレートが交差し、互いの顔面にクロスカウンターが入る。
そのままどちらもダウンした。
「…私の負けだ。もう1歩も動けん。殺すが良い」
「生憎、俺も動けねぇ。鼻クソほじる力も残って無ぇ」
ゲドーをぶっ殺してローリーの仇を討ちたい。だが、体が言うことを聞かない。
「ぐあぁぁぁぁ!そ、そうだ。それで良い。先に地獄で…待っているぞ」
ゲドーが何者かに殺された。確認したいが、首すら動かせない。
「誰だ!俺の獲物に手を出したのは!?ぶっ殺すぞ!!」
一瞬、黒装束の女性が視界の隅に入った。
「次はお兄さん。残念だけど、殺意に飲み込まれた以上は…あら?」
あの格好に、この声。死神のミウだ。
俺もぶっ殺されるのかと思ったが、直ぐに何処かへ行ってしまった。
「ダイスケ!」
遠くからセシールの声。
少し体力が回復し、起き上がろうする。
すると、体中に痛みが走り、全身にヒビが入る。
「何!?石化?いや違う。これは…ハハ、俺の体が限界を迎えたか」
「ダイスケ!?その体…」
セシールに抱き起こされるが、パキパキと体が音を立てる。
「ちょ!?壊れ物だからソッと頼む…。敵の大将と相討ちになっちまった。体が崩れ始めてる」
「そんな…ダイスケ…ダイスケェ!!」
「セシール、泣いてる場合じゃないぞ。町の復興は任せた。それに死んだ奴等の弔い、残党の討伐と攫われた奴らの救助、憲兵を監視する第三者機関も設置してそれから…ダメだ。全部言い終わる前に死んじまいそうだ」
残された時間は僅か。
「ダイスケが居なくなったら、どうすれば…」
「…何も変わらんだろ?転生者なんて定期的に来るんだろ?俺の変わりは直ぐに来る」
「来るわけ無いだろ!!ダイスケは…ダイスケは私にとって大切な…」
視界がボヤけてきた。セシールの顔も見れない。もう限界だ。
「時間だ。セシール…お前と一緒の時間も…楽しかった…ぞ」
俺の体が砂となって崩れ去った。
「ああ…ダイスケーーー!!」




