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26話 焼け落ちるガルシアの町

 お気付きかとは思いますが、ナレーションは主人公ダイスケが務めております。

 なので主人公不在時は会話だけになります。

~拘置所 ??室~

 魔法封じの手錠で魔法は使えず、召喚獣も呼び出せない。

 ドアには鍵。窓は無い。土の匂いがする。おそらくここは地下室だ。

 急いで脱出しなければ、ゲドー達に町が襲撃されてしまう。

「せめて手錠が外れれば、魔法で皆に危険を知らせられるんだが…」

 部屋には何もない。本当に何もない。全く使ってなかった部屋のようだ。


「ダイナミックぅぅ…エントリー!」

 ドアに飛び蹴りを喰らわせる。魔法は使えないので、技名を叫んでも威力は上がらない。単に俺の気合いを入れるだけだ。

「ビクともしねぇ。この程度のドアなら壊せると思ったんだが…ゲドーの奴、ドアに細工しやがったな!」


 やはり魔法封じの手錠を外さなくてはならないようだ。

 ここに来る前、ボディチェックをされてナイフを没収されたが、服は着ている。

「何か無いか?上着…ズボン…ブーツ…うん?これは??」

 ベルトにヘアピンが刺さっていた。ローリーもセシールもヘアピンなんて使ってない。

「いつ?誰のヘアピンが?…あ!アイツだ!」

 数日前、発情期の通り魔に襲われた。名前は知らないが、おっぱいが大きかったので『おっぱいお化け』と呼んでいる。

 あのおっぱいお化けと揉み合いになった際に、奴のヘアピンが外れてベルトに刺さってたんだろう。

 運が良い。


 ヘアピンを真っ直ぐに伸ばし、手錠の鍵穴に差し込む。

 専門知識は無いが、この手錠は複雑な構造じゃない。素人でも開けられる筈だ。

「ここだ。引っ掛かりが有る。…開きそうで開かない…よし!外れた」

 左手の手錠が外れた。

「魔法は…ダメか。右も外さないと…落ち着け俺。ヘアピンを折るなよ。…こう来て…そう来て…ここで…こうだ!」

 右手も手錠が外れた。


 急いで通信魔法で連絡を試みる。

「ノアール…ノアール!…ダメか。ローリー!聞こえるか?聞こえてたら返事をしてくれ…クソっ!」

(おい!無事だったか!?)

「マッスルベアー?」

(繋がりが切れたから心配したぞ。早く冒険者ギルドとやらに来い!絶賛交戦中だ!!)

 マッスルベアーが召喚されて戦ってる?俺の他にアイツを召喚出来るのはローリーだけだ…と思う。

「魔法さえ使えれば、こんなドアなんぞ…デスバスター!!」



~冒険者ギルド付近~

「住民の避難、6割完了しました!」

「残ってる住民の避難も急がせるんだ!…クソっ!?何でこんな事に!?」

「敵の親玉にしてやられましたな。まさか憲兵を全て自分の部下とすり替えるとは…」

「唯一の誤算は、私がマッスルベアーを召喚出来たことでしょうね。彼のおかげで南側を奪還して避難路が確保できました。でも、その召喚で私の魔力は空っぽ。ノアールさんも最上位魔法を連射して殆ど空ですから、劣勢です。直ぐに町を捨てる判断をした公爵様は正しかったのかもしれませんね」

「良いニュースだ。東側も殲滅完了。それに囚われの王子ダイスケと連絡が取れた。大急ぎでこっちに向かってる」

「え!?ダイスケさんが?良かった。無事だった」



兵士通りソルジャーストリート 北側~

 十字に大通りを造り、その大通りに主要な建物を集中させる。こうする事でモンスターの襲来時、直ぐに兵士達が準備をして出撃できる。

 この構造を兵士通りソルジャーストリートと名付けられ、この世界では一般的に使われている。


 この構造が今回、仇となった。

 拘置所の地下室から脱出すると、町の面影が無くなっていた

 北門から入って来たゲドーの部隊は、短時間で次々に主要な建物を破壊したようだ。

 あちこちで火の手が上がっている。消防署も有ったのだが、襲撃で燃えている。


 辺りには敵、味方問わず遺体が転がっている。

「クソっ!?もうこんなにも被害が…ゲドーの野郎!!」


 急いでギルドに向かう。

 途中、アイテムショップで略奪に精を出すゲドーの部隊とエンカウントした。

「うん?丸腰の男だ!」「女は奴隷、男は容赦なくぶっ殺せ!金目のものは金歯まで奪い取れ!」

 人は、どうしたらこんなにもクズになれるのだろうか?

「ふん。クズ共が!全員、悪夢を見せてやる。ダークネスサンダー!!」



~冒険者ギルド~

「北側で黒い雷が落ちてるな。闇魔法と雷魔法の合わせ技?あんなの普通の魔道師には出来ないぞ。敵に俺Tueeee系が要るのか?」

「あれは…きっとダイスケさんですよ!暗黒魔術師なら可能な筈です。本人は『俺の魔法はこの世界の理から外れてるから、上手く力が引き出せない』なんてカッコつけて言い訳してましたけど」

「残念なお知らせだ。我の力が尽きた。さらばだ」

「え?ちょっと!?マッスルベアーさん!」

「伝令!西門から敵の別動隊が侵入しました!」

「何と!?まだ戦力を隠していたと!?」

「ウソでしょ!?このタイミングで?ノアールさん!?」

「…ローリー君。皆を連れて逃げなさい。私の『最後の爆裂魔法』で足止めをします」

「そんな!?あの魔法は…セフル・デストラクションを使うとノアールさんが死んじゃいます!それにアレは自殺扱いで…」

「ええ。自殺は地獄に落ちると聞いてます。…大丈夫ですよ。只の言い伝えですし、ホントに地獄に落ちても閻魔大王様に頼んで24時間限定で転生させて貰いますから。ホッホッホ!」

「そんな…止めて下さい!ノアール叔父さん!」

「止せ!ローリー。巻き込まれるぞ!住民の避難も殆ど終わった。私達も逃げるんだ!」

「セシールさん、離して!叔父さん!ノアール叔父さん!!」



兵士通りソルジャーストリート 北側~

「お前で最後だ!ダークネスサンダー!!」

「止せ!話せば分か…ギャーーー!」

 手加減はした。敵は誰も死んでない。

 闇の雷に呪いも込めてあるから、数日は目が覚めないだろう。…起きる前に餓死とかしないよな?

「ゲドーの姿が見当たらないが…逃げやがったか?」


 ドーンっと爆発音が響き、西側で煙が立ち上がる。かなり派手な爆発だ。

「西側?まさか別動隊か!?」


 大急ぎでギルドまで来た。誰もいない。

 やはり皆で西側の防衛に行ったのだろうか?急いで西側へと向かう。



兵士通りソルジャーストリート 西側~

「あの老犬が自爆魔法を使うとは…甚大な被害だ。体制を立て直すぞ。一時撤退!」


 巨大なクレーターが出来ており、その遥か向こう側で敵が撤退するのが見えた。

 クレーターの中心部に光る物が落ちている。クレーターの中に入り、それを拾い上げる。

「焼け焦げた虹色のドッグタグ?名前は…『ノアール・ハウンド』。まさか!?ノアール!何処だ!?返事してくれ!ノアール!ノアーール!」

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