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20話 鬼からの依頼

〈モンスター紹介〉

グレートチキン

 ダチョウほどの大きさの、巨大な鶏。蹴り技を得意とする。回避能力にも長けており、ちょっとやそっとの攻撃では避けられてしまう。

 性格は凶暴で、全然弱虫チキンではない。

~冒険者ギルド~

「おや?ダイスケさん。今日は朝からお疲れの様で?」

 顔色が悪かったか?ノアールに心配される。

「昨晩は色々有ってな」

 この言葉で全てを察したノアールが、受付に居るローリーをチラッと見る。ローリーも眠そうに欠伸をしていた。

「ふむ…亜人と人間では子供は出来にくいので(以下自主規制)」

 ノアールからアドバイスを貰った。ノアールの表情は何故か楽しそうだった。


 クエストボードを見る。

 グレートチキン討伐クエストがまだ募集してるが、2度と行かねー。アイツら素早過ぎて面倒臭い。


「ダイスケさん、さっきはノアールさんと何を話してたんですか?」

 ローリーがクエストボードに新たなクエストを張り付けながら聞いて来た。

「兵法について話してた。どうやって相手の弱点を的確に攻めるかって」

 正直に性教育と言うわけにもいかず、遠回しに答える。

「ノアールさんが兵法を?あんなに熱心に??ちょっと意外ですね」

 ローリーは真面目な兵法だと思ったようだ。


 ローリーが張り付けた新たなクエストは『ニジマス5匹の調達』だった。

 俺は釣りに詳しくないので無理。

 釣りの上手い冒険者が大喜びで受注し、釣りに行った。アイツのあだ名は今日から『釣りキチ』だ。


「俺はどうするか…」

「I'm be back. 戻って来たぜベイビー」

 鬼のシュワルツ君が転移魔法でやって来た。今日はジーンズに革ジャン、サングラス姿。完全にター○ネーターだ。

 職員も冒険者も皆、素早く身を隠す。いつの間にか避難訓練でもしてたのか?かなり慣れた様子だった。

「クエストの依頼を…おい!小娘。獲って食ったりしないから出て来てくれ」

 受付の机の下に隠れてたローリーが恐る恐る出て来てシュワルツ君からクエストの依頼を受ける。


「…その依頼内容だとダイスケさん以外には無理ですよね?ダイスケさん指名依頼でクエストを発注します」

 呼ばれた気がして受付に向かう。

「俺の指名依頼?」

「これです」

 渡された書類を見る。

「地獄の書類?奴隷商人『ゲドー』をA級犯罪者と認定。女地獄の刑に処す。こっちの書類がクエストの依頼書で、俺とシュワルツ君が組んでゲドーを探し出し殺…断る!!」

「何故だ!?」

「俺は転生してから人は殺していない。今後も殺すつもりは無い!」

 元殺人犯だが、だからこそ第2の人生は殺人に関わらないように生きていきたい。

「地獄行きが確定してる奴を殺しても地獄に落ちる事は無いが…嫌なら奴を殺すのは俺がやる。お前は探すのを手伝えば良い」

「そういう問題じゃない!殺人に手を貸したくないんだよ!」


「まぁ、無理にとは言わないが…」

 シュワルツ君も強制はしないようだ。

「ローリー。ギルドとしてはどうなんだ?殺人のクエストは有りなのか?」

「ギルドで殺人は受け付けません。しかし相手が凶悪犯である事、あの世の使いが来ている事から例外となります。それでも建前上は人探しクエストですけど」

 ギルド的には問題無いらしい。


「人探し…何で俺なんだ?他にも冒険者は居るし、俺より人探しの上手い奴も居るだろ?」

「あの世の使いの方とパーティ組んでクエストに行ける強靭なメンタルを持ってるのはダイスケさんだけです!!」

 そんなにシュワルツ君が怖いのか?前もオーラがどうとか言ってたが、俺は特に何も感じない。

「受けるのか?受けないのか?早く決めろ。時間が無い!」

 何やら焦っているシュワルツ君。

「シュワルツ君、どうしたんだ?この前から転移魔法が安定しなかったりソワソワしたり。何か変だぞ?」


 シュワルツ君は少し考えた後、口を開いた。

「これは黙っておきたかったんだが…この町に美人なエルフが居ただろ?」

「エルフは何人も居るが…シュワルツ君が知ってる美人なエルフというと…ユーノか?」

「そのユーノってエルフを最近見たか?」

 そう言えば見てない。ローリーと目を合わせる。

「ユーノさんのパーティはダンジョン探索クエストに行って、まだ帰って来てません。長いダンジョンだと1週間位掛かる事も有るので不信には思ってませんでしたけど…まさか!?」

「ああ。ゲドーの仲間に襲われ、全員捕まっている。早く助けなければ売られてしまうぞ!」

「なんだって!?ローリー、クエストを受注だ。…勘違いするなよ。ゲドーを殺すためじゃない。あのドスケベエルフ達を助けるためだ」


「クエストの手続きは完了しました。お気を付けて」

「ていうか、何でシュワルツ君は俺に直接じゃなくてギルドを通したんだ?」

「鬼が暴れてると憲兵や軍隊を呼ばれたくないからな。こうしてギルドを通しておくんだ。…どこ行っても毎回怖がられるがな」

 シュワルツ君がちょっと可哀そうになる。



~シャムネ湖~

 転移魔法でシャムネ湖まで来た。

「それで?ゲドーの居場所は?」

「このシャムネ湖を更に西へ。その先に廃墟となった町に居る。ユーノもそこに囚われている」

 シャムネ湖を更に西…まだまだ距離が有る。

「よし!飛行魔法で飛んで…」

「ダメだ。先に奴らに見付かったら逃げられる」

 確かにそうだ。

「なら、シュワルツ君の転移魔法で直接…」

「キャンセラーが設置されている。だから転移魔法ではここまでしか来られない」

 キャンセラー?また面倒な物を持っているらしい。

「じゃあどうする?」

「俺もお前もバイクを持ってるだろ?それで乗り込む」

 シュワルツ君が収納魔法から例のアメリカンバイクを取り出した。

「バイクか…いや、ダメだろ。エンジン音や排気音が…」

「その心配は要らない。バイクの音も潜入スニーキング魔法で消せる」

 潜入スニーキング魔法?何やら便利そうだ。機会が有れば真似してみよう。


 俺も収納魔法からオフロードバイクを取り出す。

 バイクに乗り、シュワルツ君と共に廃墟の町へと向かうのだった。



 …あれ?シュワルツ君って、何でユーノが捕まって焦ってるんだ??すっかり聞きそびれてしまった。 

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