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2話 魔法の才能

〈キャラクター紹介〉

ダイスケ・レッドフィールド

 本作の主人公。前世の記憶は無い為、この名前は偽名。

 殺人犯として地獄に送られるも、異世界転生のチャンスを得る。

 前世では少年ジャ○プと少年サ○デーを愛読しており、ジャ○プ派とサ○デー派の争いに中立の立場を取っていた。

 異世界転生の知識は皆無。ファンタジーの知識もドラ○エの知識が有るくらい。

~冒険者ギルド~

 建物の中に入ってみた。

 武装した彼らが冒険者だろうか?さっきのフレンドリーな奴とは違い、余所者を見るような目で睨まれる。


「こちらへどうぞ~」

 受付の女の子に声を掛けられる。何だ!?あの可愛い美少女は!?

 猫耳で背が低く、痩せてて銀髪ロングヘアー。しかし胸は巨。超好みだ。デートに誘いたい。

「初めての方ですよね。あら?その武器…」

 受付嬢の目線が金棒に釘付けになっている。そんなに珍しい武器なのだろうか?

「あの~、もしかして…あの世の遣いだったりします?」

 少し表情が強張っている。他の冒険者達からも鋭い視線が突き刺さる。

「遣いって訳じゃ無い。閻魔大王から24時間、人助けしまくったら地獄行きを免除されるって言われて転生させられた」

「ええ!?そんな転生パターンも有るんですか!?」

 転生者は珍しく無いが、俺の条件付き転生は初めてのパターンらしい。


 奥でギルドの職員達が何やら話し合いを始めた。そして…

「あの~、お名前は」

 さっきの受付嬢に訪ねられる。しかし、前世の記憶を無くしてるので自分の名前が分からない。適当に答えることにする。

「ダイスケだ。ダイスケ…レッドフィールド」

「ダイスケさん。素敵なお名前ですね」

 社交辞令なのは分かっているが、好みの娘に言われると照れてしまう。

「24時間の制限付き転生との事なので、ギルドではゲスト冒険者として登録なしでクエストを受けられます。報酬は減ってしまいますが…」

「ああ。それで問題ない」

「分かりました。では、受付横のクエストボードから受注したいクエストをお選び下さい」


 クエストボードを見る。

 書かれている文字はフランス語?読めないはずが、何故か読めてしまう。

 話し声も、日本語に聞こえているが、意識して聞くとフランス語らしき言葉を話している。


 改めてクエストを確認する。

 ドラゴン討伐クエストは既に終了。南の中立国に荷物運搬のクエストが有るが、土地勘がないので論外。時間もない。

 東の墓地で大量発生してるアンデッドの討伐…「危険」と書かれているが、これにしよう。


「え!?これ、超高難易度ですよ!?無謀です!」

 受付嬢に止められた。

「どうしても受けたいと言うのであれば、こちらの測定器で強さを測って下さい。本来、正規冒険者登録用ですけど」

 言われた通り測定器で計測することにした。測定器の魔方陣に手を着く。

 何やら測定器からプシューっと煙が出だした。

「…すまん。壊した」

「え?ええー!?何で壊れてるんですかー!?」

 いや、知らんし。


 奥でギルドの職員達が(以下略)

 暫くして、受付嬢が戻って来た。

「え~と、ダイスケさんの強さですが、さっきの測定器の限界を越えて計測不能でした。最低でもレベル100は超えてます。(ニンゲンの癖に)」

 小声で何か悪口言われたような…いや、気のせいか?

「それで、さっきのクエストは?受けられるのか?」

「はい。受ける事は出来ますが…無理だと思ったら尻尾巻いて逃げて下さいね。(あ!ニンゲンに尻尾は無いか)」

 気のせいじゃ無いな。笑顔の裏で、何やら差別的だ。


 クエストを受注する手続きを行う。

「地図は有るか?場所や地形を確認したい」

「はい。周辺の地図は無料で配布しております。どうぞ」

 地図を確認する。この町から東に進み、丘を越えて墓地が有るそうだ。この墓地、かなり広大だぞ。


「クエストの受注が完了しました。お気を付けて」

 手続きが終わったらしい。地図を頼りに墓地へと…気になる事が有ったので引き返した。

「どうされました?(怖気づいた?)」

「1つ聞きたいんだが、アンデッドに噛まれると俺もアンデッドになったりする?」

 前世のゾンビ映画でそんなシーンが有ったような気がする。聞きに戻った。

「え?…あ!大丈夫ですよ。アンデッド化は伝染病じゃ有りませんから。貴殿方の世界の『ゾンビ』とは違います」

 それを聞いて少し安心した。そして今度こそ墓地へと向かった。



~ガルシアの墓地~

 小高い丘の上から墓地が見える。

 目の前には幅こそ狭いものの流れの速い川、向こう岸に墓地、その後ろに崖。

 崖をよじ登るアンデッドは居ないようだ。水が嫌いなのか、川にも近付こうとしない。

「超高難易度とは聞いたが、流石に数が多いな。ざっと3000体と言ったところか?」

 墓地に群がっているアンデッドの大軍。正直、キモい。

「魔法で焼き払うか?炎属性が有効だぞ」

「う~ん。俺、魔法のやり方が分からな…え!?」

 聞き覚えの有る声。振り替えると奴が居た。

「シュワルツ君!?何故ここに?」

「撮影用ドローンが故障した…という建前で様子を見に来た」

 もしかして、シュワルツ君って見た目とは裏腹に優しいのか?


「魔力さえ有れば魔法は簡単に使える。手本を見せよう」

 シュワルツ君が魔法を教えてくれるらしい。有難い。

「先ずは妄そ…いや、イメージ。掌から火炎放射機みたいな炎が飛び出すのをイメージする。次に、そのイメージした魔法に名前を付ける。今回は『フレイム』と名付けよう」

 シュワルツ君が右手を天に向ける。

「良く見ておけ。火炎魔法フレイム!」

 掌から天に向かって火炎放射のような炎が飛び出した。

「こんな感じだ。大事なのはイメージ。強くイメージする事が必要だ。だから、普段の生活で暴発するような事は無い」

 てっきり、「魔法回路が~」とか「魔方陣が~」というのを想像していたが、思ってたのと違った。これなら俺でもやれそうだ。


「イメージ…よし!焼き払え!ハイパーナパーム!!」

 爆撃で焼き払うようなのをイメージした。

 何処からともなく現れた戦闘爆撃機がナパーム弾を落として飛び去っていく。

 アンデッドの大群は、一瞬で焼き払われた。


「今のは召喚魔法?…いや、違うな。演出込みの火炎魔法か?」

「え~と…シュワルツ君?」

「あ!すまん。あまり見ない特殊なタイプの魔法だったからな。お前、魔法の才能が有るようだ」

 俺もビックリしている。ナパームを落とすだけのつもりが、ご丁寧に戦闘爆撃機が登場したのだ。魔法って楽しい!

「これでクエストは終了だろう?後はクエスト完了の証拠品として、倒したモンスターの骨なり所持品なりを…業火に焼かれて骨すら残ってないな」

 やり過ぎたらしい。いや、報酬よりも地獄行き回避が目的だから問題ないか?



~ガルシアの町 冒険者ギルド~

「と言うわけで、クエストは完了したが証拠品もろとも消し炭になった」

「何が『と言うわけで』ですかー!?尻尾巻いて逃げ帰ったのかと思ったら既に完了で消し炭にしたなんて!(サルの子孫の癖に)」

 猿と中が悪いのだろうか?確かにこの町で猫耳、犬耳、ウサ耳は居るが、猿っぽい人は見掛けていない。

「証拠品が無いと報酬は…」

「ああ、分かってる。地獄行き免除が目的だから無報酬でも構わない」

 クエストボードを確認する。次は…


「おい!誰か回復魔法使える奴居ないか!?医者が居ないんだ!」

 突如、大声と共に冒険者一行が建物に入ってきた。

 女性が腹部を何かに貫かれたらしく、出血が酷い。長い耳だが、何の動物だろうか?

「今、セイラさんもクエストに出たばかりだ。回復魔法が使える奴は居ないぞ!この怪我だと普通の回復薬では治らない」

 回復魔法か…やれるか?いや、やるしかない。でないと彼女は死ぬ。


「どけ。俺がやる」

「え?ちょっと、ダイスケさん!?無茶です!回復魔法は…」

 傷が治っていくのを強くイメージする。

応急処置ファーストエイド!」

 うまく魔法が発動した。傷がみるみる治っていく。

「うそ…傷痕すら残らないなんて」

「う…ん…私、死んだ?」

 耳の長い女性が目を覚ました。

「いや、生きてる。死んだら筋肉ムキムキゴリマッチョ鬼に連れて行かれるぞ」

「さっきそんな奴に出会ったような…貴方は?」

「俺か?俺は…通りすがりの大魔導士だ」

「その歳で大魔導士?」

「ああ。今、決めた」

「プッ…何それ。痛!…笑うとお腹が痛む」

「あくまで応急処置だ。病院行って診て貰え」

「うん…有り難うね。坊や」

 耳の長い女性は仲間に付き添われて病院へと向かった。


「ダイスケさん、前世で大魔導士だったんですか?」

 受付嬢の目がキラキラしてる。

「冗談だよ。転生してから魔法の才能に目覚めたらしい。というか、さっきの耳の長い女性は俺を『坊や』と呼んだよな?見た感じ年齢は同じくらいだろうに」

 坊や扱いがちょっと心外だった。そういえば、まだ鏡を見ていない。俺って凄く若いのか?

「ダイスケさん、エルフを知らないんですか?」

「エルフ?知らないな。それどころか異世界だのファンタジーだのの知識は無いに等しい」

「エルフって言うのは種族名です。人間より妖精に近い存在で、寿命は800~1000歳。さっきの人は250歳くらいかと」

「なんだって!?そんな種族も居るのか」

「転生者って、皆さんエルフや亜人どころか、スライムやドラゴンの知識まで豊富で『俺tueeee!』とか言って偉そうですけど…ダイスケさんは変わってますね」

 悪口ではないようだ。笑顔でこっちを見つめながら話している。


「それよりクエストだ。地獄行き回避のためには、まだまだイイネを集めないと」

 見つめられるのが照れ臭く、話を逸らす。

「そうだ。まだ10イイネしか貰ってないぞ」

 背後にシュワルツ君が居た。転移魔法で来たらしい。

「○✕□△※αβγμ∀」

 シュワルツ君を見た受付嬢が声にならない悲鳴をあげて机の下に隠れた。他の人達も隠れたり、建物から逃げたりしている。

「あぁ、いや、ごめん。別にこの町を滅ぼしに来た訳じゃないから。コイツに用が有って来ただけだから。用が済んだらすぐ帰るから」

 鬼は恐れられる存在らしい。シュワルツ君が少し可哀想になった。

「あ~と、お前、スゲー美人なエルフを知らないか?三途の川に来たはずなのに居なくなってしまってな。こっちの世界に戻されたようなんだが…」

「美人なエルフ?それって…」

 シュワルツ君に、さっきのエルフの事を話す。


「なるほど、お前が回復魔法を使ったのか」

「ああ。何か不味かったか?」

「いや、問題ないが…体は何とも無いのか?」

「俺の体?いや、何とも」

 シュワルツ君が不思議そうにしている。

「下手な回復魔法だと『リバース』と言って、回復魔法を使った奴が怪我をするんだ。それが無いとは…地獄に送るには惜しいな」

 幸い、リバースはしていない。

「地獄行きが嫌でも無理はするなよ。地獄と言っても、俺の抱き枕にされるだけで済むんだから」

 それが嫌なんです!!と心の中でツッコミを入れる。

「用は済んだから帰る。I'll be back(また来るからな)!」

 発音良くアイルビーバックと言い残して、シュワルツ君は帰って言った。

「もう来なくて良いから!!」

 机の下に隠れていた受付嬢が、ツッコミと共に出てきた。



  残り時間 21:00


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