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18話 始まった期限なしの異世界生活

~冒険者ギルド~

 ローリーは休暇も終わり、今日から受付の仕事をしている。

 一生懸命に仕事してるローリーも可愛い!


「ダイスケさん。正規冒険者の手続きが出来ました。コレが正規冒険者のドッグタグです」

 地獄行きを免除で異世界暮らしとなり、正式な冒険者として登録できた。

「うん?金色のドッグタグ?」

 他の冒険者を見る。皆、銅や銀のドッグタグを身に付着けている。

「なぁ、ローリー。何で俺のドッグタグは金色なんだ?」

「冒険者にはランク付けが有ります。ダイスケさんは金色のSRランクです」

「いや、おかしいだろ?最初はアルミのDランクからだ」

「ダイスケさんは飛び級です。マッスルベアーを倒したレベル200の超人を銀(Sランク)以下になんて出来ません!」


 金色のドッグタグを受け取り、身に着ける。

「金色以上になると、売店で魔剣とかも買えるようになりますよ」

 え?魔剣ってそんな手軽に買える物なのか?


 早速、売店に顔を出す。

「ほら、コレが噂の魔剣大根ソード」

どう見ても、ただの大根だ。

「ぶっ○すぞ」

「ハハハッ冗談だ。ホントの魔剣はこっちだ。『魔剣ガイラルギア』」

 黒いだけのシンプルな形状の剣が出てきた。これが魔剣?

 手に取って刀身を眺める。もちろん解析魔法を使う。

「お値段は…」

「要らん。贋作だ。焼き入れに失敗してる。これだと直ぐに切れ味が落ちる」

「な、ならこちらの妖刀ムラマサはいかがでしょうか?異世界の妖刀ですよ」

「そいつは俺の居た世界の物だが、大戦時に大量生産された質の悪い軍刀だ。誰だ?妖刀ムラマサなんて言った奴は…」

 結局、売店で新たに買えるようになったのは殆どガラクタだった。



~ボンベイ平原~

 今日はモンスター討伐系のクエストが無い。パトロールのつもりで平原まで来たが、モンスターが暴れまわっていたりもしていない。

「平和なのは良いが…退屈だ」

 丁度良い大きさの岩に腰掛け、マタタビ煙草に火を着ける。この煙草はニコチン、タール無し。疲労回復効果が有る健康的な煙草だ。ただし、味は不味い。

 時間を潰し、新たにクエストが出てないか確認に行く事にした。



~冒険者ギルド~

 午後になり、クエストボードを見る。モンスター討伐のクエストが出ているが、既に先客が受注したようだ。

「あ!ダイスケさん、丁度良い所に」

 ローリーに声を掛けられる。

「新しいクエストか?」

「はい!物凄い強敵です!!」

 強敵と聞いてワクワクしてきた。

「よし!何でも来い!」


~冒険者ギルド 事務室~

「なあ、ローリー。強敵ってのは、この書類の山か?」

「はい。この書類の誤字脱字等のチェックをお願いします」

 書類を1枚、確認する。クエストの報告書だ。下に小さく『3ヶ月保管』と書いてある。

どうやらこれらの書類はファイリングして一定期間、保管するらしい。


 書類を次々にチェックする。ローリーが優秀だからか、誤字脱字はほぼ無い。

「ふぁ~…睡魔が…確かにこれは強敵だな」

「はい。油断したら夢の中に引きずり込まれます!」

 大袈裟に言うローリー。本人は冗談ではなく、真面目に言っている。

「そう簡単に夢の中には…何だこの書類?」

 それは『婚姻届』と書いてあった。亜人って基本的に結婚しない筈…そもそも何でこんな物がここに?

「誰です?亜人のプライドを捨てた人間かぶれは?」

 ローリーが不機嫌そうな顔になる。

「書類に書いてある名前は…セシール!?」

「あの男爵家のドMですか?まぁ、貴族なら結婚も仕方ないですね。相手は公爵家の?」

「相手は…」

 そこには『ダイスケ・レッドフィールド』と書かれていた。


「ダイスケさん。急用が出来たので行ってきて良いですか?」

 ローリーはお怒りで頬を膨らませている。

「止めとけ。また厄介なお家騒動に巻き込まれ…」

 ローリーの頬が気になってしまい、つい頬っぺたをプニプニしてしまう。

「ふみゅう…ダイスケさん、何するんですか!?」

「あ!すまん。怒ってるローリーが可愛かったから、つい」

「か、かわ…もう!ふざけてないで書類整理して下さい!」


「書類はこれで全部です」

 書類も残り僅か。

「すいませーん。報告書の中に婚姻届混ざってませんでしたか?」

 事務室にセシールが来た。

「これですか?私に断りも無く、勝手にダイスケさんの名前を書くなんて良い度胸してますね?」

 不機嫌なローリー。僅だか殺気を感じる。

「違う!?これはその…ダイスケの名前を見て妄想に浸る為の物であって、提出するものではない!」

 つまりアレだ。黒板の日直の所に相合い傘書いちゃう思春期の乙女みたいな奴だ。

「この変態貴族!貴女は妄想で我慢しときなさい!ダイスケさんは私の恋人です!!」

「何!?」

 殆どの亜人は恋愛をそれほど重視しない。発情期に気に入った奴を見付けたらガッと行くだけだ。

 ローリーも俺にガッと襲い掛かって来たが、好きとか恋人とか言われた事は無い。

 もっとローリーの本音を聞きたい。



「…スケさん。お…下さい」

「ん…」

「ダイスケさん。起きて下さい!」

 ローリーの声で目が覚める。いつの間にか眠ってしまったようだ。

 書類は全て片付いている。

「ダイスケさんったら、ものの5分で夢の中でしたよ」

 ローリーに呆れた顔で見られる。

「5分?…婚姻届は?」

「婚…何ですか?その届け出は?」

 マジか。そこから既に夢だったらしい。

「手伝えなくて申し訳ない。今度から事務仕事は回さないでくれ。俺には向いてないようだ」

「いいえ。私こそ無理にお願いしてごめんなさい。ところで…どんな夢を見てたんですか?凄く幸せそうな寝顔でしたけど?」

「…ナイショ」

 時刻は夕方。

 小腹も空いたので、そのまま2階の食堂へ行く事にした。


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