14話 相撲をしないスモウレスラー達
〈キャラクター紹介〉
オーガのサチコ
魔王の国アヅチの有名な冒険者。モンスターだがユニーク個体と呼ばれ、人間達と共存できる知能を持ち合わせている。現在は自分より強い奴探しの旅の途中。
身長2mで筋肉ムキムキ。性別は真ん中で、普段は女口調だがキレると男口調になる。
武器を使わない格闘戦が得意。唯一使える魔法は巨大化で、身長を最大5mまで伸ばせる。
目が覚めると、ローリーと2人でベッドに寝ていた。
はて?昨夜は疲れ果てて…ローリーのベッドを借りて寝落ちした?
「うーん…おはよーございます」
ローリーも目が覚めた。猫耳がピクピク動いている。
「…何だかギルドが騒がしいですね?」
俺には何も聞こえない。しかし窓をから外を覗くと、冒険者達がギルドに集結してるのが見えた。
~冒険者ギルド~
騒ぎが気になるらしく、今日はローリーも付いて来た。
今日は冒険者達が殺気立っている。剣や斧を研いだりアイテムを補充したり、準備が念入りだ。
「ノアールさん!何があったんですか?」
「おや?ローリー君、休暇中の筈では?」
ギルドのオーナー、ノアールに話を聞く。
「どうも最近、ワイルドベアーが集まって異世界の格闘技『相撲』をやっていたらしく、勝ち残ったワイルドベアーが経験を積んで進化してしまって…」
昨日の依頼「ワイルドベアーが墓地で相撲して(以下略)」はホントだったのか!?てっきりイタズラだと思っていた。
「進化した奴の名を『ヨコヅナベアー』と命名。冒険者達には緊急クエストで討伐に行って貰います」
「ヨコヅナ?ヨコヅナって何ですか?ツナマヨみたいで美味しそうな名前ですけど」
ローリーには横綱と言う名前が食い物を連想させたらしい。
「横綱ってのは、相撲で一番強い奴の称号だ。俺も行ってくる。晩御飯はツナマヨサラダで良いぞ」
「え?ちょっダイスケさん!…行っちゃいました。内陸国だからマグロはなかなか手に入らないのに」
「ふむ…少し臭みが有りますが、川マグロで代用するのはどうです?クエストを発注しとけば、釣り好きな冒険者が釣って来るかもしれませんよ」
「そうですね…ノアールさん、クエスト発注をお願いします」
~ガルシアの墓地~
「クソっ!?なんて奴だ!張り手が速すぎて見えねぇ!」
「ロケット頭突きもヤベーぞ!スゲー勢いで飛んで来やがる」
冒険者達は苦戦を強いられていた。
マッスルベアー程ではないが、ヨコヅナベアーもなかなか強い。
しかし、あれは相撲なのか?禁じ手のオンパレードだ。
「喰らえ!雷斬!」
右手に雷属性の魔法を纏い、突進する。忍ばない忍び漫画の技のオマージュだ。
「…フンッ!」
いつも通り、デコピンで吹き飛ばされた。
「だーー!何で毎回毎回、俺の最初の攻撃はデコピンで迎撃されるんだよ!?てかやっぱり相撲の技じゃねえ!物言いだ物言い!!」
言葉が分かるのか、ヨコヅナベアーはヤレヤレとジェスチャーをしている。
「私が行くわ!下がってなさい!」
オーガのサチコ。外国籍とはいえ冒険者なので参加してくれた。連れのオークは来ていない。
「相撲は魔王様が好きだから、しっかり練習してるわよん。それ、上手投げ!」
サチコ…それは上手投げではない!プロレス技のボディスラムだ!!
サチコのボディスラムでヨコヅナベアーは勢い良く地面に叩き付けられ、気絶した。
捕獲したヨコヅナベアーは猛獣使いなる者達が飼い慣らし、町の防衛に役立てる予定らしい。
「あんた達もこれくらい出来るようになりなさい」
ウインクしながら言うサチコ。いや無理だから。
クエスト完了で冒険者達は皆帰った。
ワイルドベアーの相撲やヨコヅナベアー討伐戦で、墓地は荒れ果ててしまった。倒れてる墓石を起こしたり、割れた墓石を魔法で直す。
「おーい、ダイスケ。帰らないのか?ていうか、何やってんだ?」
「うん?セシール??まだ居たのか」
「居たのかって何だ!?」
セシールは今日も元気だ。
「元気なのは良いが、あまり騒ぐなよ。死者が目覚めるぞ」
「そんなわけ無いだろ!?…墓の修復作業はクエストに含まれてないから報酬は出ないぞ」
「問題ない。好きでやってる」
「好きだ。ヤってやる!?いくら何でもストレート過ぎだぞ!ヘンタイ!!」
…何を勘違いしたんだ?
相手にせず、黙々と作業を続ける。
「フゥー。こんなもんで良いか」
「ダイスケ。何で中途半端に直したんだ?魔法で新品にしちゃえば良いのに」
魔法を使うと疲れるのが本音だ。だが他にも理由はある。
「墓石が新品になってたら、墓参りに来た人が困惑するだろ?だからワイルドベアー達が相撲をする直前の状態に戻したんだ。何でも新品にすれば良いってもんじゃない」
「ダイスケって何も考えて無いようで色々考えてるんだな!」
余計な事は言わんで良い!
「さて、俺達も帰…セシール!伏せろ!!」
危険を察知し、セシールを押し倒す。
「ダイスケ!?やっぱりエッチな事やる気満々じゃないか!?このヘンタイ!!」
状況が理解できていないセシール。
直後、風の刃が背中をカスッた。
「冗談を言ってる場合じゃない!立て」
攻撃してきたのは、もう1頭の熊。ヨコヅナベアーより一回り小さい。
「そうだよな。横綱が居るなら大関も居るよな」
奴の名を『オオゼキベアー』と呼称する事にした。
オオゼキは相撲をやる気は端から無いらしく、魔法を連発して来る。
「マジックシールド、展開!」
魔法でバリアーを張り、連続魔法をやり過ごす。
シールド貫通効果で防ぎ切れなかった攻撃が、セシールに襲い掛かる。
「クッ!?セシール!?」
「キャー!ダイスケ、こっち見るな!」
セシールの服や鎧が壊れたり破れたりしてエッチな格好になっていた。
「ナイスゥ!…いやナイスじゃない。この熊野郎、よくもセシールを!」
セシールのエッチな姿に、うっかり本音が出てしまった。
「炎の散弾、避けられると思うなよ!火属性魔法、砲千火!」
無数の火の玉が一斉にオオゼキに襲い掛かる。避けられる筈もなく、オオゼキは炎に包まれた。
火だるまになりながらも、尚もオオゼキは突進して来る。
「まだ戦うのか!?右手に魔力を集中…無属性魔法、螺旋弾!」
手の平に集めた魔力の塊をオオゼキに叩き付け、オオゼキを倒した。
「修理魔法」
セシールの服や鎧を修復した。
「…見たな?」
「…全然」
「ウソだ!バッチリ見た!ガン見してた!ナイスって言ってた!うぅ…もうお嫁に行けないぞ。と言うわけでダイスケ、責任取って結婚してくれ」
「だが断る」
「何でだー!?ハッ!これが例の『ホーチプレイ』ってやつか!」
「バカな事言ってないで帰るぞ」
~ローリーのアパート~
「…そうか、内陸国だからマグロは手に入りにくいのか。迷惑かけたな」
「いえ。大丈夫ですよ。私もツナマヨサラダ食べたかったですし、新鮮な川マグロが手に入ったので」
川マグロとやらのツナマヨを食べてみる。普通のツナマヨと変わらない。
「美味いな!川マグロは魚屋に売ってたのか?」
「釣り好きなダレン・スターバックスさんが釣って来てくれたんです」
「スタバ?」
「ほら!オークの」
サチコと一緒にいたオーク。アイツ、コーヒーショップみたいな名前だったのか!?
何はともあれツナマヨサラダの他、塩焼き、かぶと焼き、刺身など川マグロの絶品料理を美味しく頂いた。
残り時間 3日




