13話 行方不明者捜索クエスト 後編
~町外れの遺跡~
「こんな雑木林の中に遺跡が?全然、知らなかったぞ」
拾った地図を頼りにたどり着いたのは小さな遺跡だった。
辺りを捜索したところ、粉々にされた馬車の残骸が見付かった。
「たぶん、あの馬車だな。…何があったんだ?」
セシールを見ると、さっきから同じ場所をウロウロしている。
「セシール。どうした?」
「う~ん、おかしいな?探知スキルでは、この辺で反応が3つあるんだ」
「探知スキル?」
どうやらセシールはレベルが上がり、人やモンスターの位置を察知できる能力を身に付けたらしい。
「そうか!アイテムを探す魔法を人の捜索に転用すれば良いのか!探知魔法」
魔法で人の位置を把握できた。この下だ!
「下ってダイスケは高低差までわかるのか!?なんか悔しいぞ!」
下なのは分かったが、入り口が見付からない。
「ダ~イ~ス~ケ~。入り口はどこだ~。魔法でチョチョイノチョイじゃないのか~?」
「だからそんな万能じゃ…いや、遺跡を解析すればいけるか?解析魔法」
遺跡を解析すると、直ぐ傍の柱に仕掛けが有るのに気付いた。
柱のブロックを押し込む。すると床が動き出し、地下への階段が姿を現した。
「やったな!ダイ…」
慌ててセシールの口を手で塞ぐ。
(バカ!下に居るのが誘拐犯かもしれないんだぞ。大声出すな)
(…ゴメン)
~遺跡の地下~
中に明かりは無く薄暗い。だが明かりを着けたら、先に相手に発見されてしまう。
(セシール、見えるか?)
(うん。猫系なら、このくらい問題ない)
猫系亜人は暗闇でも目が見える。ここはセシールに先導して貰う。
(この遺跡、元々は牢獄だったみたいだ)
暗闇に目が慣れてきた。確かに、通路の両脇に牢屋が並んでいる。
(この先だ。ダイスケ、準備は良いか?)
念のため、収納魔法から金棒を取り出す。
(いつでも良いぞ)
警戒しながら進む。3つの反応は牢屋の中からだった。中の様子は良く見えない。
「安全そうだな。明かりを着ける。光の玉」
魔法の光の玉が宙に浮かび、辺りを照らす。
「うぅ…貴殿方は?人攫いではなさそうですが?」
「助けに来た。捜索願の出てるガルムってのはあんた達の誰かか?」
「…いえ。違います。ここに要るのは私ゲン。この娘はフーリン。そっちの子はテオ」
「…人違いか。まあ良い。事情は後で聞く。ここから助け出してやる」
「ダイスケ。助け出すって言っても鍵が無いぞ?」
牢屋の構造を確認する。蝶番が酷く錆びている。
「こんな遺跡の牢屋だ。かなり痛んでる。だから鍵なんて無くても力いっぱい押したり引っ張ったりすれば…おらぁ!」
力業で牢屋を破壊した。
「おおお!流石ダイスケ」
ゲンは犬系亜人の男性。体格の良いおっさん。体調は良さそうだ。
フーリンは犬系亜人の女の子。中学生位の歳でゲンの娘らしい。「お腹空いた」と言ってたので水と食料を分けてやった。
問題は猫系のテオ。歳は小学3年生位。
「魔法で怪我は治せたが、熱が出ているのは感染症か?呼び掛けても目を覚まさない。これは俺の魔法じゃ治せそうにないな…病院に連れて行かないと」
「よし。なら急いで外に…待て!ダイスケ!!」
セシールが探知スキルで何かを発見したようだ。
「反応が3つ。たぶん外。どれもモンスターだ。2対1で争ってる」
「縄張り争いか?終るまで待…てそうにない!」
天井から僅かに砂が落ちてくる。激しい戦いらしく、遺跡が崩れそうだ。
急いで外に出た。
~遺跡の外~
外に出ると、マッスルベアーVS鬼&ブタのプロレスが行われていた。
「おおお!あれは有名な魔王の国の冒険者『オーガのサチコ』だ!けど、一緒に居るオークは誰だ?」
セシールは、あの鬼を知ってるようだ。
どうやらブタがオークと言うモンスターらしい。
鬼だと思ったのはオーガと言うモンスターだそうだ。頭の頭頂部に角が生えてるのが鬼、額に角が生えてるのがオーガらしい。
「くぅぅ!なかなかやるわね。奥義『巨大化』」
身長2mのオーガが4mまで巨大化する。
と言うか、オーガって喋れるのか?それとも、ユニーク個体ってやつか??
「これなら…ちょっと!?嘘でしょ!何であんたも巨大化してるのよ!ふざけんじゃないわよ!」
マッスルベアーも同じ様に巨大化した。更に激しい攻防が行われる。
「なあ、セシール。あのオーガって筋肉ムキムキパンツ一丁だけど女なの?」
「いや男…でもなく…真ん中だ」
性別は真ん中か。だからあの口調なのか。
マッスルベアーはオーガとオークを相手に一歩も引かない。それどころかオーガ達が押されている。
「グホッ!…良いパンチだ。だが、お前に、俺は、殺せな…」
マッスルベアーの右フックがオークの顔面を直撃し、オークがダウンした。
これはかなりピンチだ!
「ワゥーーー!ワン!ワゥーーー!!」
突如、ゲンが遠吠えを上げた。
マッスルベアーはゲンを見るなり、一目散に逃げたした。
「アイツ、どうしたんだ?」
「どうも奴は犬や犬系亜人が苦手らしくて、我々の遠吠えで逃げるんですよ。人攫い達は人間だったので、奴になすすべ無くやられましたけど」
「ありがとう。助かったわ。噂のマッスルベアーがあんなに強いなんて…あら?その子、どうしたの?」
元のサイズに戻ったオーガのサチコに、セシールが事情を説明する。
オークも自身が持っていた丸薬と言う薬で回復した。
「遺跡の外なら大丈夫そうだ。転移魔法」
遺跡の中だと方角が分からず、転移魔法が上手く使えなかった。
「えええ!?ダイスケ、転移魔法使えたのか!?何でさっきは鉄の馬を使ったんだ?」
「転移魔法は魔力の消費が激しいんだ。いつまでも開いてられない。早く行くぞ。あんた達は?ガルシアの町行きだが」
サチコ達に来るか聞いてみた。
「ええ。お邪魔させて貰うわ。手酷くやられたし」
~ガルシアの町 病院~
大急ぎで病院に向かった。
だが入り口には『おでかけ中。ごめんね』の札が掛けられ、鍵か掛かっていた。
「…セシール。後でここの医者、ぶっ飛ばして良いか?」
「いや、私が圧力を掛けとくから何もするな。だが困ったぞ。この町に病院はこことヤブ医者の2つだけだ」
「ヤブ医者ってのはどんなレベルだ?」
「どんな症状でも、取り敢えず風邪薬出しとけみたいな」
「なるほど。ク○だな」
~冒険者ギルド~
「え?ダイスケさん。そちらの方々が行方不明者の?」
「いや、別件で囚われてた人達だ。それより、セイラを知らないか?」
受付嬢にセイラを見てないか聞いてみる。
「何よ。騒々しい…急患?」
セイラは2階の食堂で食事をしてたらしい。
抱き抱えていたテオを診て貰う。
「神よ、我に癒しの力を!超回復…これで大丈夫」
「う…ん…ここ何処?」
テオが目を覚ました。
「ここはガルシアの町の冒険者ギルド。もう大丈夫だ」
「お父さんとお母さんは?」
ゲンの方を向く。ゲンは目を瞑り、顔を横に振った。おそらく、あれは亡くなったという事だろう。
「失礼します。連絡を受けて来ました。憲兵3課の者です」
ギルド職員が憲兵に連絡していたらしい。犬系のお巡りさん(?)がやって来た。
ゲン達は憲兵に保護される事となった。
「貴方がダイスケさんですね?誘拐、人身売買の重要参考人として任意同行をお願いします。それとセシール様も」
当然、第一発見者の俺とセシールは仲良く事情聴取される事となった。
事情聴取の際「鬼とどんな関係か?」「閻魔ってどんな奴だ?」「セシール様と婚約するのか?するなら俺を倒して行け」等、今回の件以外にも取り調べを受けた。
~ローリーのアパート~
「………疲れた」
「災難でしたね。憲兵…特に3課に目を付けられたら、取り調べで口を滑らすまで質問責めに合うらしいんです」
ローリーのベッドをちょっと借りて横になる。
若干、獣臭さが有るが、ホワイトムスクのような良い香りだ。このまま寝てしまいそうだ。
「そういえば、例の行方不明者、シャムネ湖で『見付かった』そうですよ」
「そうか…『見付かった』か」
無事ではなかったらしい。残念だ。
しかし西のシャムネ湖か。そんな所まで捜索範囲を広げていたとは、発見した奴は推理の達人だろうか?「名探偵コゴロー」の称号をくれてやりたい。
「…お邪魔しま~す」
ローリーも一緒に、ベッドに横になった。
「ダイスケさん?…寝ちゃったみたいですね。ふぁぁ…私も寝ちゃいそう。このベッドだと狭いけど…今夜は…2人で……Zzz」
残り時間 4日
名探偵コ○ンみたいなのって書くの難しい。よく長期連載出来るな~と尊敬します。
ちなみに私が好きなキャラは赤い奴の妹さんです。




