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11話 発情期の亜人

〈キャラクター紹介〉

ゴリラ系亜人

 亜人の中でも人間に一番近い亜人。見た目もマッチョな人間と見分けがつかない。犬系亜人だけが、亜人独特の匂いで判別できる。

「おはようごさいます。良く眠れましたか?」

 ローリーの声で目が覚める。

「ん…おはよう」

 こんな可愛い女の子に抱き枕にされて、良く眠れるわけないだろ。少々寝不足だ。


 朝食後、ローリーは買い物に出かけた。

 俺は何をするか…


~冒険者ギルド~

 特に行くところも無いので、ギルドに来てしまった。

 クエストボードを確認する。特にコレと言ったクエストは無し。


 ふと、背後に強烈な寒気を感じた。殺意?いや違う。何だ今の?

「こんにちわ~。配達クエストで来ました」

 受付に話しかけている、白いローブを着ているコイツからだ。女の子だが、只ならぬ何かを感じる。

「お待ちしてました。時間通りですね。え?…金色のドッグタグ?」

 今日はローリーの代わりに金髪メガネの、いかにも仕事できます系お姉さんが対応している。長い耳からして、あれはエルフだ。


 正式冒険者はドッグタグが渡される。俺はゲスト扱いなので貰ってない。

 ランクで色が違うらしく、金の奴は始めてみる。高い戦闘力を持ってるらしい。寒気の原因は彼女の戦闘力か?

「確かにお受け取りしました。あ!ついでと言っては何ですが、こちらをロンメルのランバ様までお願いします」

 次の配達物を受け取ったようだ。何を運んでるのだろうか?



「おい、姉ちゃん見ねえ顔だな?俺達もうすぐ発情期なんだ。ちょっと付き合えよ」

 何やら酔っ払ったマッチョ達が、さっきの子にチョッカイを出している。

 しかし、もう少しオブラートに包んで表現できないのだろうか?


「なあ、あいつ等は何の亜人だ?」

 近くに居た冒険者に訊ねる。

「うん?ああ、アレはゴリラ系亜人だ。子供の見た目は君たち人間と変わらないけど、大人になると男女問わずムキムキになるんだ」

 ゴリラ系…そんなのも居るのか。


 ゴリラ系亜人と女の子は、何やかんやのやり取りの後、乱闘になった。

「やっちまえ!」

「もう!これだから発情期の奴等は!」

 5人も居るゴリラ系が勝つかと思っていたが、女の子が柔道や合気道、更に影分身等の技を使い、なかなか良い勝負をしている。金のドッグタグは伊達じゃないようだ。


「兄ちゃんはどっちに賭けるかね~?1口500ゼニだよ~」

 その辺にいた爺さんに、お金の入ったバケツを差し出された。賭け事をやっているようだ。

「…女の子に100口だ。ほら、5万ゼニ」

「あい。確かに~。ほんじゃ、この札を持っといてね~」

 木製の札に黒で「100」と書かれた札を渡された。


 暫くして、決着が付いた。女の子の勝ちだ。

「バカな!?俺達『筋肉英雄マッスルヒーローズ』が、たった1人の女に負けただと?」

「何処がヒーローズよ!?酒に酔って女の子にチョッカイだして、思いっきり悪人ダークネスじゃない!」

「…全くもってその通りで、返す言葉もありません。ご迷惑をお掛けして、誠に申し訳ございませんでした」

 ゴリラ系も酔いが覚めたらしい。全員で見事な土下座だ。

 彼等は酔いが覚めたら紳士になった。ゴリラ系は酒癖が悪いのだろうか?


「おめでと~。賭けは兄さんの勝ちだよ~。賞金の50万ゼニだよ~」

 賭け爺さんに、木製の札と引き換えに賞金を貰う。10倍になってしまった。



~ローリーのアパート~

「と言うわけで、今日の収入は50万ゼニだ」

「何が『と言うわけで』ですかー!?…あれ?こんなやり取りを前もやりましたよね?凄いデジャブ感が有ります」

 内容は違うが、確かに転生初日にこんなやり取りをした。

「あの時は確か『サルの子孫の癖に』とか『ニンゲンの癖に』とか悪口も言われてたな」

「え?…ダイスケさん、犬笛聞こえるんですか?」

「犬笛?聞こえな…いや、転生して超人的な体になってるからな。聞こえるかも。それがどうかした?」

「ご、ごめんなさい!転生者って傲慢な人が多いから、人間には聞こえない犬笛レベルの周波数で悪口言っちゃって。でも、ダイスケさんの事は見直しましたから!他の転生者とは違うって分かってますから」

 ローリーがかなり取り乱している。あたふたしているローリーも可愛い。


「大丈夫。ローリーが直ぐに手の平返したチョロい奴だって分かってる」

「チョロいって何ですかー!?私はダイスケさんを、ちゃんと見極めた上での判断です!」

 こうやってローリーをからかうのも楽しい。


「それで、例の女の子は何者だ?メチャメチャ強かったぞ」

 ローリーが、自身のアイテムバッグからファイルやらメモ帳やらを取り出し、確認する。

「この国のギルドのファイルには、それらしい人物の登録が有りません。外国の冒険者ですね。中立国シュナイゼルの『テトラ』さんがそれっぽいです」

 ローリーにメモ帳を渡される。そこにはテトラなる人物の情報がまとめられていた。

「チート系転生者?メタルドラゴン討伐の参加者…メタルドラゴンって強いのか?」

「詳しくは分かりませんが、マッスルベアーとは違った強さで、正規軍が返り討ちに合うくらいには強いです」

 そんなのと戦ってた奴に、ゴリラ系5人で勝てるわけ無いな。


 夕食、シャワーも済ませた。

 今日こそはローリーとニャンニャンイチャイチャキャッキャウフフな展開に持って行きたい。そんな事を考えていた。

「ダイスケさん、服を脱いで下さい」

 突然、ローリーに脱げと言われ、思考が停止してしまう。

「…えぇ!?いや、俺は別にローリーとなら全然OKなんだけど、心の準備が…」

「あ!勘違いしないで下さい。マッスルベアーにやられた傷の手当てです」

 何だ。勘違いか。エッチでスケベな事を想像してしまった。

 手当ての為にシャツを脱ぐ。……待て。マッスルベアーにやられた傷はサキュバスの回復魔法で完治している。


「ローリー?俺の傷は完治して…何だ?体が動かない!?」

「夕食に混ぜたシビレキノコ。時間通り効いてきたみたいですね」

 体が痺れて動かない。そのままローリーに押し倒される。

「ローリー!?一体、何を…?」

「ダイスケさん。知ってますか?発情期になった亜人は手段を選ばないんですよ」

 ローリーの目の色が変わっている。比喩表現ではない。ホントに緑だった瞳が赤くなっている。

「ローリー!?待って!俺はイチャイチャラブラブの方が…」

「それは明日にしましょう。今日は私のやりたいようにヤります」


 この夜、ローリーに発情期を迎えた亜人の恐ろしさを徹底的に教えられた。



 残り時間 6日


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