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魔王少女  作者: mizuyuri
第三部
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第二十二話 沈潜する魔王様

 ホテルのベットに寝転がり、備え付けのテレビを垂れ流す。

 別に観たい番組があるわけではないので、テレビをつけている意味は特にはない。

 平たく言うと暇なのだ。

 冬休み中の宿題?そんなものを私がやるわけがない。まぁやらなければ担当教諭から怒られるだろうけど、怒られる程度で楽ができるなら、そちらを選択する。内申点?そんなの知らん!学校卒業したら魔王業に専念すればいいだけで、就職も進学も希望しない私はかなり気楽なのかもしれない。


 そんなわけで再度言おう。暇なのだ。


 魔族や魔法少女関連以外の交友関係の少なさに軽く絶望する。

 魔王軍関係と敵対したら、話す相手がノゾミちゃんだけとか、改めて自分の友達の少なさを実感したよ。

 まぁそれでも、自分から進んで友達作ろうとは思わないけど、何というか、今までの日常が騒がしかった反動で、今の現状が自分の望んだ状態とはいえ、少し寂しく感じたりもする。


「何だかんだ言いつつも、私自身日常を楽しんでたのかもな……」


 自嘲気味につぶやいてみる。

 もちろんどこからも反応はない。

 ただ、垂れ流しているテレビの音だけが静かに響き続ける。


「失ってから初めてわかる、ってこういう事なのかな……?」


 ガラにもなく、意味のないつぶやきをもう一度する。

 タイミングを見計らったかのように、テレビから出演者の笑い声が聞こえてくる。

 馬鹿にされたような気分になり、テレビを一瞥し、黙って電源を切る。


 失ってから初めてわかる、とか言ってはみたけど、実際は別に失ったわけじゃないしな。

 ただ今回は敵対したってだけで、この件が終われば全部元通りになるわけだし、深く考えすぎだろ私。


 ……本当にそうか?


 幸は私に殺される瞬間に何を思った?

 サクラが言ってたように、私は幸の純粋な気持ちを踏みにじったんだよな。

 あの瞬間、幸はどんな顔をしてた?


 美咲もサクラもだいぶキレてたよな……


 あの時は、変にテンション上がってて、先の事を考えずに行動してたけど……いや、考えてはいたな。ただ、何をやっても、この件が解決すればまたいつも通りな日常に戻るって、勝手に考えてた。先の事を軽く考えすぎてたのかもしれない。

 人の心の中を覗けるわけでもないんだから、そんな保証なんてどこにも無いのにな。


 冷静になって考えてみると、ちょっと取り返しのつかない事したのかもな。

 いや、取り返しがつかないって事もないかな?

 ただたんに、交友関係が3年前に戻るだけの事だ。


 あの頃はクラスから完全に孤立してたから友人なんて一人もいなかったからな。

 ただ、あの頃に戻るってだけだ。何も問題はないだろ。


 いや、今は魔王やってる分、魔王軍配下に持ってるだけ、あの頃よりマシかもな。

 ってか、それを考えたら、魔法少女になれなかったら、今頃私どうなってたんだろうな?


 美咲と親友やってるのだって、私が魔王になった事がキッカケだし、あ、それを言ったら幸もそうだな。ノゾミちゃんだってもちろんそうだし……

 私が魔王やってなかったらポチはどうしてたんだろうな?

 私が倒した旧魔王とポチはどっちのが強かったんだろう?旧魔王は最初っから手加減なしで殺っちゃったから、強さのランクがいまいちわからないな。

 まぁ、ヴィグルも加われば、若干ポチが不利だったかもな。


 もし、そうなってた場合サクラはどういう行動をとってたんだろうな。

 まぁ少なくとも、魔法少女になってない私と絡む事はなかったよな。


 もちろんその場合、中二病さんもこの世界に来ることもなかっただろうから、ステラちゃんと出会う事もなかったわけで……


 ああ、いかんいかん……

 ifの事考えだしたら精神的に末期だな。

 そうならなかったからこそ今の私がいるんだ。あったかもしれない過去を想うより、現在(いま)をどう生きるかだ!

 もしかしたら、を考えるのはもうやめよう。


 意味もなく一人でホテル宿泊してて暇なのが悪いんだ。

 いつもと違う環境で、色々考える時間があるのが全ての元凶だ。


 ここは気分転換に、夕飯食いに出かけよう!

 昼も食ったけど、夜もノゾミちゃんち行こう!

 そしてノゾミちゃんをからかって遊ぼう!

 そうすりゃ気分も晴れるだろ……


「……ん?」


 サーチ魔法で、常にマーキングしていたステラちゃんが動いた反応があり、思わず変な声を漏らす。


 今まで抑えていたであろう魔力反応が大きくなり、美咲やサクラのいる運動場の方へと移動していく。

 もしかして夜になるのを待ってたのか?

 まぁ明るい真昼間に攻めていっても、不意打ちにもなりゃしないしな。

 でも、魔法があれば夜目も利くようになるから、魔力持ち相手に夜襲である必要性はあんまり無い気がするんだけどな?

 アレか?『不意打ちといえば夜襲』っていう基本に忠実な考え持ってんのか?律儀だなステラちゃん。でも、まだ夜っていうよりも夕方って感じな時間だぞ。冬で日が短いから、けっこう暗くはなってきてるけど……


「まぁいいか。さて!夕飯はちょっと時間ズラすか」


 軽く今思った事を口に出し、変身する。

 いや、別に口に出した意味は特にはないんだけど、ちょっと気合入れのつもりで、ね。


 まぁ何だ。ウダウダと無駄な考え事しているより、何も考えないで動いてた方が、私としては性に合ってるというか何というか……


 とりあえずアレだ。


 ちょっくら暴れてくるか!!


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