表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少女  作者: mizuyuri
第三部
76/252

第九話 エフィの現状

「パーティーに参加させるために、動けなくしてから拉致してくるとか、アンタどんだけ傍若無人なのよ?」


 動けないノゾミちゃんを抱えた状態で、幸の家へと帰宅した私達を待っていたのは、既に幸の家でスタンバっていたサクラの冷たい言葉だった。


「あ、サクラさん。この状況は半分くらいは違うッス」


 サクラの言葉に対して、ノゾミちゃんがフォローを入れ……ってフォローじゃねぇよコレ!?何だよ半分って!?


「そうそう。遅れるけど参加するって、のぞみん言ってたのに、わざわざのぞみんの学校まで押しかけて拉致してきたからなぁ」


 いや、たしかにそうなんだけど……


「その説明だと、半分どころじゃなくて、私が最初に言った事、完全に当たってない?」


 本当だ!言われてみればたしかにそうだ!……って違う!そうじゃなくて!!


「別に拉致してきたわけじゃねぇし!動けなくなったのだって、たんなるノゾミちゃんの自爆だし!!」


 とりあえず、サクラの誤解だけは解いておく。


「ああ、コレ魔力が空っぽになってるだけ?じゃあ魔力をちょっと分けてあげればいいじゃない?」


「魔力を分ける?そんな事したら容姿が変わっちゃうんじゃね?」


 サクラの発言にちょっとした疑問を口にする。


「どんだけ魔力注入するつもりよ!?アンタ等魔法少女って、魔力量や技術は高いのに、基礎知識が微妙よね?」


 その辺は、職務怠慢な浮遊狐に言ってやってくださいよサクラさん。


「魔力無い人間に、魔力注入して新たに魔力核作れば、そりゃあ姿も変わるかもしれないけど、元々魔力核がある人間には、そこに魔力をちょっと分けても変化は起きないわよ。……まぁその魔力核の許容量を超えて魔力注入すれば、容姿変わるか死ぬかするだろうけど」


 そう言いながら、サクラはノゾミちゃんの背中に手を置き、魔力を少量分け始める。


「あ……どもッス!」


 ノゾミちゃんは適当にお礼を言いながら起き上がる。


「ね?簡単でしょ?あ、でもアナタはやらない方がいいかもしれなわね。魔力量が異常すぎて、アナタとしては少量でも、他の人からしたら致死量になりかねないからね」


 幸が今あんな容姿してる理由知ってるかサクラ?私だって気をつければ加減くらいできるんだよ。


「皆さんケーキ持ってきましたよ!料理は温めれば済む状態なんで、温めたらすぐに持ってきますから、ケーキ食べながら待っててくださいね」


 空気を読まない幸が、ケーキを運んでくる。

 家着いた瞬間から姿が見えなくなったとは思ってたけど、すぐさまケーキ用意しに行ってたのかよ。

 ってかどんだけおもてなししてぇんだよ幸。コイツもちょっとは座ってケーキ食っていけよ!?


「幸さん、私も手伝うわよ」


 立ち上がるサクラ。同棲当初はただのヒモだったのに、立派になったなぁ……


「あ、私も手伝うッス!ウチが食堂なんで、台所での手伝いは慣れてるッスよ」


 ほぼ同時に立ち上がるノゾミちゃん。


 そして、運ばれてきたケーキを切り分けてる美咲と、それを取り分けようとしている私は、動きを止めて無言になる。


「アタシ等……完全にダメ人間じゃね?」


「一緒にすんな……と、言いたいところだけど、この状況だと否定できん……」


 三人がキッチンへと移動したのを確認した後で、美咲と一緒に小声で話す。

 手伝いに動いた二人と、食う事しか頭になかった私達二人……

 とりあえず、料理が来るまでの間にケーキを食べずに置いておく程度の事しかできない私と美咲だった。



「そういや、この前のエフィさんでしたっけ?結局彼女どうなったんですか?」


 料理が出そろい、皆で乾杯をした後の雑談中に、幸がふと話題を出してくる。

 そっか、無事発見されちゃったの言ってなかったんだった。


「今治療中よ。身体的な方じゃなくて精神的な方を、だけどね」


 私ではなく、サクラが返答する。


「つまりは生きてたって事ッスよね?」


「んで、案の定裕美に対してトラウマ持ったって事だろ?まぁおおよそ予想通りだな」


 それが当たり前の出来事かのような口調で、美咲とノゾミちゃんが口を開く。まったくもって遺憾である。


「とりあえず今は『魔王の写真見ただけで過呼吸になる』ってのを克服したところよ」


 私の写真だけで過呼吸になってたのかよ!?


「ちょっと待て!私の写真なんてどっから入手したんだよ!?」


「魔王公式ファンクラブのホームページのトップ画像よ」


 咄嗟に幸を睨みつける。


「わ……私じゃないです。ミキさんの仕業です……」


 だったら視線そらさずに言えよ。


「でも、魔力をほぼ封印された状態でどうやって助かったんスかね?」


 ノゾミちゃんがつぶやく。それは私も気になるな。


「防壁を張りながらも、注入された反魔法を少しずつ解呪してったらしいわよ。ヤバくなってきたタイミングで浮遊魔法を使おうとしたらしいんだけど、浮遊魔法が落下スピード相殺できなかったんだって……」


 そりゃあ最終的には音速超えるスピードで落下してるわけだしな。浮遊魔法はパラシュートじゃないし、ちょっとやそっとじゃ相殺は無理だろ?


「それなんで、ギリギリまで反魔法解呪に時間を割いて、海面激突する直前に防壁を最大展開したんだって」


 なるほどね。メンタルは弱くても、魔力の扱いは、いちおうは一流だったって事か。


「それでも、全身の骨はボロボロで、内臓も深刻なダメージを受けて、肺に至っては完全に潰れてたわ」


 ……それ、よく生きてたな。


「使えなくなった心肺機能を魔力を循環させる事で維持して、何とか生命維持してたらしいわよ。魔力の大半を着水の瞬間の防壁に回してたせいで、私達が発見した時は、魔力が枯渇する寸前で、数分発見が遅れたら確実に死んでたレベルだったわ」


 そのダメージで、翌日にはよく普通に行動できるまで回復したな。回復魔法が得意な魔王軍の医療班って優秀なんだな。


「肺が潰れたって事は、呼吸できなくて苦しかったんじゃないんですかね?」


「魔力が酸素の代わりになって細胞を回るから、慣れないと違和感はあるけど、呼吸できない苦しさは少ないわよ」


 へぇそりゃあ遠泳やる時とか便利そうだな。


「というか、私達人間はどっちにも対応してるけど、魔族は基本、肺呼吸無しで魔力循環な身体構造になってるから、眷属な幸さんも、基本魔族と同じ構造になってるんじゃ?」


「えっ!!?」


 言われて、幸は自分の口と鼻を指でつまむ。


「ふぉんふぉふぁ!!?(ホントだ!!?)」


 指を放してから喋れよ!?ってか半年以上その姿なのに、今まで気付いてなかったのかよ!?


「じゃあアレっすか?裕美さんの拘束魔法。呼吸にまで影響してくるッスけど、魔族にとっては、ただ動けなくなるだけって事ッスか?」


 あれ?そういやそうだよな。昔ヴィグルに使った時、苦しそうにしてたような気が……


「あ~……あの拘束魔法は魔力の流れ自体を拘束してくるから、むしろ魔族がくらった方が苦しさが増すんじゃない?」


 自分で使っといて何だけど、そんな事になってたのか……


「そういえばすっかり忘れてたけど、エフィさんの次の段階のリハビリしたいから、写真じゃない実物の魔王を持ってきてくれ、ってヴィグル社長に言われてたんだった」


 物扱いかよ!?


「そんなわけだから、明日また、あのマンションに来てくれない?」


「面白そうだな!アタシも行っていいか?裕美?」


「私も明日は予定ないんで、ご一緒していいですか?裕美様?」


 馬鹿二人のせいで、断れない雰囲気が出来上がってしまった気がする。

 ……大丈夫か?私の冬休み、リハビリに付き合って終わりとかじゃないよな?


「あの……私、明日部活なんスけど……休んで一緒に行った方がいいッスか?」


 遠慮がちにノゾミちゃんが口を開く。


「お前は部活行け!」


 皆の意見を、私が代表して口にするのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ