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魔王少女  作者: mizuyuri
第三部
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第一話 ノゾミちゃんの行動

「そういや狐ちゃんの用事って何だったんだろう?」


 翌日学校で、浮遊狐が来たかどうかを美咲に確認したところ、こんな返事を受け取る事になった。


「何だよその発言は?結局来たのか?来てないのか?」


「来たよ……うん、まぁ、来たんだけどさ……そん時アタシ寝ててさぁ、途中で起こされたから、ついカッとなっちゃって、ぶん殴って追い返しちゃってさぁ……」


 まぁ、しゃあないわな。寝てるところにいきなり不法侵入されれば、キレるのが一般的な反応だろ。


「ああ……だから私のところに来た時、頬をはらした状態で、半泣きだったんですね」


 隣の席の幸が会話に加わってくる。

 そして、そのままご丁寧に、美咲に、浮遊狐が言っていた事を説明しだす。


「……順番からいくと、その後ノゾミちゃんのとこ行ってるよな?幸、浮遊狐が帰ったの何時だった?」


「えっと……確か夜中の2時半くらいだったと思いますよ」


 幸の家を出たのが2時半って事は、ノゾミちゃんの家に着くのは、下手したら3時過ぎてるよな……


「よし!ノゾミちゃんが、浮遊狐を殴ったか、ちゃんと話を聞いたか賭けよう!」


「何を賭けんだよ?金か?」


 案の定というか何というか……私の賭けの話に美咲がのってくる。


「ジュースとかにしておきませんか?」


 ベット品の内容によっては、意外と幸も加わるようだった。

 だんだんコイツも私の行動パターンに感化されてきてるな?


「ノゾミちゃんちのラーメン一杯奢りってのはどうだ?」


 たぶん、この程度だったら幸ものってくるだろう、というラインをチョイスしてみる。


「……希美さんは意外とマジメですからね。眠くてもちゃんと話聞いたと思いますよ」


 コイツ、参加・不参加の意思表示吹っ飛ばして、いきなり参加してきやがった!?


「じゃあ私は、遠慮なくぶっ飛ばした方に賭けるか……美咲は?」


「うっ……のぞみんは意外とキレやすいから、アタシも殴った方に賭けようかと思ったんだけど、裕美とかぶるのは、何か負けた気がするから、ちゃんと話聞いた方に賭ける事にするわ」


 何だソレ?どんだけ天邪鬼なんだコイツ?


「美咲の言ってる事がいまいち引っかかるけど、まぁいいか。じゃあ出そろったな?今からノゾミちゃんに電話するぞ。覚悟はいいかお前等?」


 私の発言に息をのむ二人。いや、そんな緊張するような内容でもねぇだろ?

 スマホを取り出し、ノゾミちゃんの番号を呼び出し画面をタッチする。

 数コールした後、電話に出たノゾミちゃんに、事の経緯を説明する……


『え……っと、聞いたッスよ……ちゃんと話は聞いたッス!……でも、その後で殴ったッス……』


 …………どういう事だよ?


『いや……だって、寝てるところたたき起こされてまで話聞いたら「それ別に明日話してもよくね?」って内容だったんで、寝起きでイライラしてた事もあって、ついカッとなっちゃったんスよ!』


 うん、まぁ……そうだよな。


「すまんノゾミちゃん……ちょっと待っててくれ」


 電話越しに、ノゾミちゃんに待っててもらい、私は視線を二人に向ける。


「これ……賭けとしては、どっちが正解だ?」


「これって両方正解ですよね?……無効、でいいんじゃないですか?」


 まぁ、しゃあないか……


「じゃあ狐ちゃんが泣いたか怒ったかに賭け内容変えね?」


 どうやら美咲は意地でも賭けを成立させたいらしい……


「「「泣いた!」」」


 全員の声がハモる。

 賭けになんねぇよ!!?


『あの……それなんスけど……』


 スピーカーで会話していたため、私達の会話を聞いていたと思われるノゾミちゃんから反応があった。


「どうしたのぞみん?のぞみんも賭けに加わりたくなったか?」


 知ってたけど馬鹿か美咲?答え知ってるノゾミちゃんを賭けに加えてどうすんだよ?


『いや……えっと……ッスね……』


 微妙に歯切れの悪いノゾミちゃん。浮遊狐が何かやらかしたか?


『寝ぼけてたせいで、私、常に魔力持ってる事忘れてて……魔力纏った状態で殴っちゃったんス……』


 ……死んだか浮遊狐?


『それなんで、泣くとか怒るとか以前に、ぶっ倒れて気絶したッス……』


 何だ……生きてたのか。つまんねぇな。


「で?その後どうしたんだ?」


『とりあえず眠かったから寝たッス』


 意外と神経図太いなノゾミちゃん。


『んで、朝起きてもまだ気絶してたんで、とりあえず部屋に置いたまま学校来たッス』


 いや、とりあえず回復魔法くらいかけといてやれよソレ。


「それ死んでんじゃね?」


 わきから美咲が、もっともなツッコミを入れる。


『あ、白目はむいてたッスけど、一応は呼吸があるのは確認してるッス』


 ……なおさら回復魔法かけてやれよ。

 ってか白目むいてぶっ倒れてるUMAの隣でよくグッスリ寝れたなノゾミちゃん。


「じゃあアレか?もしかしたら、浮遊狐まだノゾミちゃんちにいる可能性あるのか?」


『かもしんねぇッスね』


「OKわかった。とりあえず学校終わったらノゾミちゃんち行くわ……」


 とりあえず、その一言を最後にノゾミちゃんとの通話を終了する。


「お前等も、学校終わったらノゾミちゃんち行くぞ」


 簡潔に二人に命令する。


 それからは、気が気じゃない状態で授業を聞き流しながら放課後を待つ。

 まぁどんな気分だったとしても、基本授業は毎回聞き流してる状態なんだけど……


 そんなこんなで、その日の全授業が終了し、幸と美咲を引き連れて、一目散にノゾミちゃんの家を目指す。

 そして、ノゾミちゃんの家の前で立ち止まり絶句する。


「あの……私、ちょっと前に似たような展開を見た気がするんですけど……」


 幸が小声でつぶやく。


 私達の目に入ってきた風景、それは……


 ノゾミちゃんちの店の前にある、食品サンプルが並ぶガラスケースにへばりつきよだれを垂らしている、見慣れない顔と見慣れない服装をした少女。

 もちろん通行人は避けるようにして、遠巻きに、その風景をチラ見しながら通り過ぎている。

 コレもう営業妨害もいいところだろ?ノゾミちゃんちに入ろうと思ってる客も、早足に去ってってるぞ。


「アレほっとくと、ガラスケース壊して、中の食品サンプル食べだすんじゃね?」


 うん、たぶん美咲の発言は正解だと思う。


 ってか、何?異世界人って、皆してこんなのばっかなの?計画性なさすぎだろ?少しは異世界での、衣・食・住くらいは何とかしてからコッチ来いよ。


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